第2話です
サイキは朝から自分の執務室で書類と睨み合っている。
サイキの総督補佐なので、前線で戦うだけでなく事務仕事も仕事の一つである。
剣は相変わらず逃げてばかりだ。
「サイキ総督補佐っ。」
部屋にすごい勢いで鞘が入ってきた。
「今から緊急会議が始まります。急ぎ会議室へ。」
緊急会議後の総督執務室。
「今回はやっかいだな。」
カイリが大きなため息をつく。
緊急会議の内容は簡単に言うとこうだ。
工業に特化した国、ゲバルト。そこの国王の三人の息子のうち三男が王の座が欲しいため反乱を起こした。なので、鎮圧に力がほしいということだ。ただ面倒なのは意外に反乱軍の人数が多いこと。
三男には剣、鞘の同族がついているらしく、その者が反乱軍の指揮をとっているとのこと。
「サイキが率いる1番隊、鞘が率いる2番隊に任せたい。」
「はっ。」
サイキと鞘はカイリに敬礼し、部屋を出た。
サイキは自室で準備をしながら、今回は剣をどうするか悩んでいた。剣は気にしていなかったけれど、サイキの想いは前回と変わらない。
「剣…」
「なんだ?」
「へ?」
真後ろに剣がいて変な声が出た。
「何処に行く気だ。」
「剣っ、やっぱり俺はっ…」
全部言わせてもらえず、後ろから顎を掴まれキスで塞がれる。
「ふっ…ん…。」
剣の舌がサイキの舌を捉えて離さない。何も考えられなくなる。無意識に剣の首に腕をまわす。時間を忘れるほど二人はお互いの唇を求めた。
「ゲバルトへ向かうんだ。」
ベットの中。剣の胸に顔をのせてサイキは説明した。
「剣と同族がいるらしい。」
剣は何も言わずサイキの髪を撫でている。
「剣と鞘は知り合いだろ?もしかしたら相手も知り合いかもしれない。友人かもしらないだろ?だから一緒にと言えなかったんだ。」
「安心しろ。鞘は仲間だが、他は敵だ。仲間などいない。」
「言い切れるのか?」
「言い切れる。」
剣の瞳から絶望と憎しみが伝わる。サイキは思わず剣に口付けた。
「サイ…。」
「もっと抱いて。」
サイキは剣の絶望と憎しみを消したかった。