ルナ=カルティエ
短いです
とても短いです
かはっ。
おもしろい。
実におもしろい。
二人が去っていくのを見ながら、儂は気持ちが高ぶるのを抑えられないでいた。
駆け出しの冒険者兄妹。
儂に自己紹介させておいて自分らは名乗らずに行ってしまった彼ら。
ふん。いったいどんな教育を受けてきたんじゃ。
じゃがまあ、儂にとって彼らは本当に名乗る必要はなかった。
名前、年齢、レベル、スキル………………
儂は彼らを知っている。
すべて見えている。
それにしても実際会って近くで見れば、彼らの異常さがよりはっきりと伝わってきた。
一日にしてレベルが5に上がっている妹。
確かに最初はレベルが上がりやすいが、一日で5までレベルが上がるやつは見たことがない。
いってレベル3が限界じゃろう。
ましてや、ここは始まりの街とも呼ばれるオリジンの街。周りに強いモンスターがいるわけでもなく、それ故に手に入る経験値も少ないはずじゃ。
もう明らかに妹の方、ステータス高すぎじゃろう………
妹の身体的異常さもさる事ながら、兄の方もおもしろいほど異常じゃったの。
あの固有スキル…………
かはっ。
あやつはまだ気付いとらんようじゃったが、あれは使い方次第で強力なものとなる。
…………さて、いつ気付くのじゃかのう。
それにしても、つい甘やかしてしまったのう。
スキルをやるのはちと手を貸しすぎたか………
最初は彼らを少し見るためだけにこの街に来るつもりじゃったのじゃが…………
さてこれからどうするかの。
この街を出るか…………
いや、しばらくはこの街におっても退屈はしなさそうじゃな。
もう少し彼らを見物するのも悪くはない。
かはっ。あやつらがこの世界でどう生きていくのか………実に見ものじゃ。