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スカンク vs(?) オオカミ

お久しぶりです!

一か月ぶりの投稿です………

「けっこう暗いな。これは日が沈む前には帰らないと迷いそうだな」

 周りにそびえ立つ木々はどれも天高く伸び、太陽の光を遮っている。

 そんな森の中、俺たちはクエスト達成のためマンドゴドラの薬草を探し歩いていた。

 え? ギルドであの後どうなったのかだって?

 うん。なんか受付のお姉さんがすごい励ましくれた。

 まだまだこれからです!とか、気づいてないだけできっとまだ隠された力があるかもしれませんよ!! とか。

 俺が少し元気を取り戻した時、めちゃくちゃ汗かいてて、息も切らしていたのを見たときはちょっとどこまで力注いでくれたのとちょっと引いたが、それくらい頑張ってくれた。

 それを見て、さすがにもうこれ以上落ち込んでいたら悪いなという思いがこみ上げてきて今に至るわけだ。



「ねえねえ。マンドゴドラってどんなのなの?」

 隣で雅が周りをキョロキョロとしながら聞いてくる。

「もらった資料によれば赤い花びらが特徴的でそこそこ大きな花らしい。一応絵はあるんだけど………」

 雅に手元の資料に描かれた絵を見せる。

「……………な、なにこれ。手書き?」

「なんか図鑑に貼ってあった写真が剥がれてたみたいで受付のお姉さんがその場で書いてくれたんだけど………」

「こ、これなに?」

「マンドゴドラ………らしい」

 その絵はなんとも言えない禍々しいオーラを放っており、あえて言葉で表すならば「ドロドロ」した絵と言ったらいいだろうか。

 ドロドロした絵ってなんだ。

「は、花には見えないけど……」

「うん。そうなんだけど、お姉さんが『我ながら力作です!!』って言うから………」

「そ、そうなんだ……」

「まあ、あまり当てにはできそうにない」

「そうだね」


 絵を見ながら探すという案は自然消滅した。

 これは「赤い花びら」「そこそこ大きい花」という二つの特徴のみを参考に探すしかないようだ。

「これだけで見つけれるかな?」

 雅が「うーん」と首をかしげる。

「なんか花の近くまで来たらすぐわかるはずとは言ってたけど」

 見たらすぐわかる。なら分かるけど近くまで来たらってどういうことだ?

 あ、匂いとかかな。

 臭いとかだったらやだな……いや、それで見つけることができるのはいいけど、採って持って帰る最中ずっと臭いのは考えるだけで嫌になる。

 甘い匂いとかだったらすごい嬉しいけど。

 うん。少し匂いも気にしながら進んでみよう。




「なんかいい匂いする?」

「するな」

 匂いも気にしよう。とさっき思ったばかりだが、意識するまでもなく、どこからか嗅いでいて心地よい、いい匂いが漂ってきた。

 なんだ?

 まさか本当にマンドゴドラが発する匂いだったりして。


「あ、おい雅!」

「あっちからする………! 匂い!」

 雅はそう言って草木をかき分けて茂みの中に入っていく。

 そんな雅を追いかけ俺も茂みの中を進む。

 と、少し歩くと前を歩いていた雅が急に足を止め、右の方を向いたまま固まった。

「ど、どうした?雅?」

「か、か…………可愛いっ!!」

 横顔の雅を見るとその目がキラキラと輝いている。

 俺がいる位置からではまだ雅の視線の先が草木に覆われていてよく見えない。

「お兄ちゃん! お兄ちゃん!! ほらこっちだよこっち!!!」

 雅が俺の方に手を招きながら、小声で早く来るように促してくる。

「なんだあれ……リス?」

 雅に促されるがままその視線の先を見ると、そこには白と紫からなるまだらな毛並みに覆われた、尻尾のフサフサした動物がいた。

「スカンクだよ! スカンク! 全然違うじゃんっ!」


 怒られた。

 いやまあ、リスじゃないことは分かってたけどね? リスしか出てこなかった。

 それにしてもスカンクとは。見たことないからわからなかった。


「スカンクってあの臭い匂いを発するやつだよな? 別に今臭くないぞ? むしろさっきからずっといい匂いが続いてるんだけど」

「スカンクはいつも臭い匂いを発してるわけじゃないんだよ? 敵を撃退する時だけ匂いを出すの」

「へぇー詳しいな」

「ま、前にテレビでやってたの……だからかなっ。……ん? でも、あのスカンク……」

 雅は俺の言葉に対し少し照れ笑いをして見せたが(かわいい)、すぐに何かに気づいたようにスカンクの方に向き直った。


「やっぱり……! お兄ちゃん、さっきからのこのいい匂いあの子からするよ!」

「え?」

 いい匂いを出すスカンクなんて聞いたことないぞ?

 あれか?やっぱり異世界だからか?

「見た目が愛くるしい上にいい匂いを出すとか、さぞかし森の中で大人気だろうな」

「もうほんっとに可愛すぎるよっっ!! あのフサフサの尻尾とか触ったら気持ちよさそう! 触れないかなあ…………」

「さすがに近づいていったら逃げるんじゃないか? ああいう小動物って警戒心強いイメージあるし」

「そっかぁ………やっぱり難しいよね…………」

 そう言って雅は俺の言葉にがっくりと肩を落とす。

 こんなにも落ち込むとは。そんなにも触ってみたいのか。

 うーん………………

「あー。まあでもやってみる前から無理っていうのもあれだよな。もしかしたら人懐っこい可能性も無きにしもあらずだし」

「お兄ちゃん………!! うんっ! ありがとう………っ!」

「別に礼を言うほどのことじゃないだろ」

 俺はそう言いながら、落ち込んでた雅が顔を上げ、パァッと顔一面に笑顔を浮かばせる姿を見てついつい目をそらしてしまう。

 そんなに嬉しそうな顔を見たらこっちが照れるわ。


「それじゃあまず俺が先に行ってみるぞ?」

「うん! あ、待って!!」

 スカンクに向かって歩き出そうとした俺だったが、すぐに後ろから雅に止められた。

「ど、どうした?」

「あ、あれ………!」

 そう言って雅はスカンクを挟んで俺たちのいる場所の反対側を指さした。

 その先の茂みの中からオオカミのようなモンスターがスカンクを狙って飛び出してきた。

「助けに行かなきゃ! 食べられちゃう!」

「ちょっと待った!」

 スカンクのピンチを察して茂みから出ていこうとする雅を止める。

「え? でも!」

「いや、なんか様子がおかしい」

 スカンクはオオカミの存在に気付いているようだったが、一向に逃げ出す態度を示さない。

 逃げても無駄だと悟ったのかと思ったが、そうではなかった。


 飛び出してきたオオカミ型モンスターを見てみると、その足取りがスカンクに近づくにつれ、どんどんとふらついてきているように見える。

 いや、そう見えるのではなく実際にふらついていた。

 まるで意識が朦朧としているかのような感じだ。

 

 そしてオオカミ型モンスターがふらふらな足取りで、ようやくと言っていいほどの時間をかけて、スカンクの目の前まで来たとき、ついにバタッと力尽きたように倒れた。

 

 



 

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