01
面白いと思ってくれれば幸いです
「桜、皆でカラオケ帰りに寄ってくけど行く?」
しまった。場所の選択まずったな。一人カラオケに流れかねんぞ。
「えっ、あっ、うん。行く行く。」
「上原と白沼も行くってさ。」
すまん上原、白沼。巻き込んだ。埋め合わせは必ずするから。
「へーそう。すっごい楽し」
チャラチャラチャラチャーチャラララー
「ごっごめんなさい。」 謝んなくていいのに。むしろグッジョブ会話続きそうになかったからな。
「いいよ出て。」
「はい……あれ苅野さん?……えっ先約あるんですけど……いやでもそれくらいなら私じゃなくても……そんな……あっちょまっ……切りやがったあいつ。」 かなり熱くなってるな。口調荒くなってるし。口滑らさないように先手打っとくか。
「アルバイト先から?」 「う、うん店長?さんから。ごめんね。雑魚…じゃない仕事が入っちゃてカラオケ無理みたい。」
止めろそれ言っちゃてるから。言い直してもそれかよ建前のアルバイトはコンビニのはずだろ?前言ってたじゃん。そこはヘルプだろ。
「カラオケ……。」
そんなこの世の終わりみたいな顔せんでも。
「まっ、まぁ次行けばいいよ、な。」
「本当!?絶対だよ!?」
うお、顔近いな。こいつのパーソナルスペースどうなってんだよ。
「ああ、だから頑張ってヘルプ行ってこい。」
「ヘルプ?」
おい。
「ああ!うん行ってくるね。」
夕闇に溺れる間際の道を走って行ったが俺としては安堵しかない。ったく。……心ん中で上原と白沼に謝ったの損したな。
防衛省め、面倒なこと押し付けやがって。
今回の事はおおざっぱに言えば慰問である。
国のために闘う桜だがあいつだって学生だし、友達くらい居なきゃ辛いよね!的なはた迷惑この上ない思いつきらしい。
てな訳であいつら曰く幼馴染みの俺に白羽の矢が立ったわけだ。
うん、冗談じゃない。ツッコミ所満載である。
そもそも桜をボッチ危機に突入させたのは防衛省が学校説明会で勇者在学中ですとか桜の秘密にする希望を無視して暴露したのが原因で目をつけられ、いじめになりかかった所を勇者補正で害をなす者を片っ端から教育委員会が良けりゃ学校追放悪けりゃブタ箱の恐怖政治を展開しやがったもんだから、生徒達は触らぬ神に祟りなしと桜が座ればさざ波の如く引き、桜が通ろうとすればモーゼの海割れの如く道を開ける。それを上から友達がいないだぁ、ふざけんなよ誰が後始末に奔走したと思ってる。学校説明会で暴露したせいで皆にばれたことを桜にばれないようにするために頭を下げ捲り、いじめの時はファンクラブを小数しかいなかったが結成させ対抗し、そして誰もいなくなった時は、教師は引くなと説教して何とか授業の体裁を保った。その上友達をつくらせろだぁ?お前らこの状態でどうしろと?具体策を示せ具体策を!幼馴染みだから出来るだと?一つ言わせてもらう俺と桜はご近所さんだ!なぜに俺が一度も同じクラスなったこともないような奴のために奔走せねばならんのだ!
まったく防衛省や教育委員会や悪の組織バハルカや勇者なんてこの世界から滅んでしまえばいいのに……。慰問が必要なのは桜じゃなくて絶対に俺だと思う。
はぁ……。明日もう一度誘わなきゃいけないと思うと気が重くなるな。こんだけ色々しなけりゃならんのなら俺一人でバハルカ壊滅を目指した方が楽だったんじゃないかな。
……帰ろ。
ギュオオオン キキィ
家に足を向け始めた俺は俺の横を猛スピードで走って来たバンが赤信号でもないのに俺の前三メートル先に止まったのをみた。
物凄い既視観だ。確か防衛省の東間さんが同じ事をして俺を拉致ったはずだ。誘拐されるならもっと運転の上手い人が良かったなぁとあちこち擦ってキズだらけの車を見ながら思ったのを覚えている。
俺が東間さんなのか東間さんと同じ位運転が下手な人なのか判断つかずにいると、黒ずくめでサングラスをかけた、近所の夏に何を着ているんだという視線に立ち向かう勇気のある人達が降りて来た。
とりあえず逃げようとはしたのだが筋肉バカ達らしく、抵抗らしい抵抗が出来ずにあっさり捕まってしまった。日頃の運動不足がただただ憎い。
「安藤優也だな。バハルカまで来てもらう。」
トラブルという奴は明日まで待てんのか!?




