愛の形
男は黒
憎しみや恨み
負の象徴
嫌い疎まれる存在
“悪魔”と呼ばれる存在
女は白
無垢で純粋
正の象徴
誰からも愛される存在
“天使”と呼ばれる存在
哀れ二人は恋に落ち
お互いに侵してはならない
禁忌に溺れた
それはとても重く
大きな罪
二人はそれを知りながら
叶う事のない永遠に焦がれてしまった
許されない恋
引き裂かれる二人
それぞれ罰を受け
生きているのがやっとの状態
天使は翼を焼かれ
空から落とされた
手を切り落とされ
祈ることも許されない
地面に縛り付けられた
堕天使となった
彼女は泣きながら空を見上げた
“空へ帰りたい”
だが
悪魔を愛した事実は消えない
残された道は
長い月日をかけた餓死
もしくは
神に与えられる
最後の制裁
悪魔は羽をもぎ取られ
悪魔としての力を失った
暗い洞窟に繋がれ
何も言わず
何をするでもなく
ただ座っていた
“天使を愛した哀れな悪魔”
彼を待つのは
長く果てしない苦悩の日々
餓死を迎えるまでの飢えと乾き
唯一自由な片腕が
何かを訴える
天使はただ
誰かを愛してみたかった
自分と違う存在に憧れた
疎まれるとしても
悪魔のような存在が
うらやましく感じた
そんな悪魔に恋をした
罪だとしても
愛していた
悪魔はただ
誰かに愛されたかった
人間が持つ暖かい感情
自分が持たないモノを知りたかった
人間がうらやましかった
天使に憧れた
天使を本当に
愛していた
だから
悪魔は繋がれていた腕を
自らの爪で切り落とし
堕天使となった彼女の元へ
天使ではないが
彼女を愛する想いがあったから
そんな悪魔の姿を見た彼女は
彼女は
悪魔の爪で胸を貫かれた
悪魔は横たわる彼女に涙し
自らの喉を切り裂いた
悪魔は何故彼女を殺したのか
彼女が悪魔より
空を望んだから?
彼女があまりに不憫だから?
一度死んで
いつか巡り会うため?
可能性はいくらでもある
悪魔が涙した理由もそう
この二人の恋は形にも受け取れる
それによって
二人の結末はどんな形にもなる
いろんな方向から見て
いろいろ感じてもらえたら幸いです
終