「経緯」
最初は些細な事だった。
移動教室時に自分だけ連絡が無かったり、
シャーペンや消しゴムなどがちょくちょく無くなったり。
気のせいだと思った。
自分の迂闊さに苦笑していた。
そう……思い込みたかったのだ。
まさか自分がイジメの対象になってるとは絶対信じたくなかった。
でも冷静に観察すれば分かる。
僕が被害を受ける度に嫌な愉悦を浮かべる者達の存在。
首謀となってるのはクラスでも最下位を僕と争う橋本達のグループ。
やはりヒエラルキーピラミッドの底辺と云うレッテルを張られるのは、どんな者でも嫌らしい。
彼等も自分を取り巻く環境が怖いのだろう。
だからといって他人を陥れていい理由にはならない。
まあ主だって群れる事がない僕はさぞかしいい標的だったのだろうけど。
幸いなのはクラス全員が加担してる訳ではないという事。
いや、これは違うか。
特進科などというだけあって成績が何より優先され、
皆は他者に関心を抱かないというのが正しい。
そういう意味で橋本達はまだまともなのだろう。
被害を受ける僕からすればたまったものじゃないが。
そうして日々鬱積していく昏い感情。
目に視えぬ澱み。
いつか最悪のカタチで暴走するかな……
黒板に照らされる無機質な内容を板書していた僕がそんなことを考えた時、
その運命の時が訪れた。
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こっちはのんびり短めに更新していきますので「勇者シリーズ」などと共に
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