表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

刺身の短編集

二脚型のロボットばっかり活躍してずるいからたまにはタンク型のロボットや多脚型のロボットが活躍してもイイんじゃね?

作者: 彼方の旅路

西暦3XXX年。

突如、異星生命体襲来。

地球に飛来した直後に、人類に対して無差別攻撃を開始。必死の抵抗も虚しく、ドイツは壊滅。宇宙から来た来訪者、彼等を日本政府は「Alien」と呼称。

2年後、人類は対Alien用決戦兵器・人型ロボット「DA-ME-DA・CORE」を開発。量産に成功。この物語は、DA-ME-DA・COREに命と情熱を注いだ男の物語である。





「フゥーッ、フゥーッ、ハアッ!」


ガガガガガガガガガ!!


鼓膜が破れんばかりの雑音。巨大なDA-ME-DA・CORE(以下DC)用銃器から、目標(Alien)に向けて容赦なく弾丸が飛んで行く。Alienは、全長20m程の巨大浮遊生物で、かなりのスピードで飛行が可能である。その姿形は、全身真っ黒で目玉が赤いイカのような生き物という事が確認されている。主な攻撃方法は、体の至る所から何本もの触手を出現させ、獲物を触手で搦め捕り、常識はずれな怪力で引きちぎり、捕食・破壊する。おまけに、口から超高温のレーザービームを吐き出し、ありとあらゆる物を切断・溶断できてしまう恐ろしい宇宙生物だ。

対するは、人類が開発した人型ロボット・DCである。こちらも全長20m程で、一言で言うならば、鉄の巨人。人間をベースに設計された戦闘兵器であり、高速飛行が可能なAlienとの戦闘を視野にいれ、耐熱装甲で身を固め、機体の随所にジェットエンジン・ブースタを設置して機体の重量を軽減。自重で地面には減り込まず、地上では高速機動戦闘が可能。さらに、安定して歩行を行う為、脚部には折りたたみ式の追加安定板を取り付け、重心を安定させるので二足歩行で移動しても安定した歩みを実現。


「くっ、ロックオン距離から外れやがった!」


地上はAlienの攻撃で荒廃し、もはや人間がまともに生活できる環境では無くなった。今ではAlienが平気で地上をのし歩き、それを奪還しようと人類が意地と尊厳を賭け、DCに搭乗して戦う。荒れ果て、変わり果てた地上を取り戻す為に。


「リーダー、2時上方から回り込んで来ます!」


コックピットのモニタから、Alienの接近を知らせる部下の叫び声が聞こえると同時に、備え付けのコンパクトシールドを展開。

Alienを目視。それと同時にAlienがDCに取り付き、衝撃でコックピットが大きく揺すられ、DCがバランスを崩し倒れそうになる。すかさず、安定板を展開。バランス感覚を取り戻したDCは、Alienを引き離そうと右腕で殴りつけるが、怯みもせず口から高温のレーザービームを発射。DCの耐熱装甲はいとも簡単に溶解され、右腕が手持ちの武器と共に溶けながら地面に落下する。コックピット内は異常な程に過熱され、全身の毛穴から汗が滝のように流れ落ちる。パイロットは、まるでオーブンにぶち込まれ、そのまま体を焼かれるような暑さを体感する。

緊急冷却装置が、異常な高温を察知。コックピット内に膨大な量の冷気を噴出。


「これだけ接近すれば、避けられまい!!」


生き残った左腕で、超硬質で精製されたブレードを振りかざし、Alienの眼球を狙い、突き刺す!


「リーダー、離れて下さい!ガトリングレールキャノン砲の巻き添えを喰らいますよ!!」


後方に控えていた別のDCが、明らかに異質なモノを構える。細長い、筒のようなモノが6本まとめて束ねられ、DCの背中には丸形のガスタンクらしき物を背負っている。片膝を付き、安定板を展開。さらに衝撃軽減の為、固定アンカーを地面に射出して、安定性能を高める。すると、背中の丸形の物体から、落雷のような爆音が響き渡り、筒のようなモノから蒸気が発生する。刹那、筒の周囲に電気がほとばしり、6本の筒が高速で回転。筒の中から、電撃を纏った弾丸が次々と、休みなく発射されていく。弾丸は、目にも留まらぬ速さで、Alienを襲う!Alienは、眼球をえぐられた痛みで、フラフラと空を漂うだけだ。そこに、容赦無く電撃弾がAlienの体を貫く。


「イョーッシ!直撃だぜ!!ザマーミロ!!」


大量の電撃弾を喰らったAlienは、見るも無惨な姿に変貌し、完全に絶命していた。まさに、蜂の巣状態である。


「油断するな!9時方向から4体接近。取り付かれる前に迎撃しろ!」


「ええ!?マズイっす…この超重量装備じゃ、接近されたら死ぬっす。」


彼の言葉通り、ドが付く程に派手で巨大な武器を装備して、ガチガチに装甲を固めた彼のDCでは、火力は満載だが、その代償に機動力は通常装備のDCに比べて、遥かに劣っていた。しかも、彼のDCには、近接戦闘用の装備は装着されていない。つまり、纏わり付かれ、接近戦に持ち込まれたら、成す術がないのだ。


「だったら、接近される前に撃ち落とせ!」


「無茶苦茶だなぁ〜…某地球を防衛するゲームの本部みたいな事言わないで下さいよ。」


ぶつくさ言いながらも、再びガトリングレールキャノン砲を構える。


「取り付かれたら、俺が何とかしてやる。」


「片腕吹っ飛んだ機体が何とか出来るンすかぁ〜?まあ、接近される前に全滅させてヤるンすけどね!!」


唸りをあげて、大量の電撃弾がAlien目掛けて飛んで行く。片腕が吹っ飛んだDCは、重装甲のDCの隣に陣取り、ライフル銃を構えて待機する。鈍足なDCを庇うように立ち回るリーダーの機体は、どうやら護衛機の役割を果たしているようだ。

まず、一匹が電撃弾の餌食になり、バラバラのミンチに成り果て絶命する。大量の薬莢を地面にバラ巻き、絶え間無い射撃を続ける。


「駄目だ!一匹取りこぼした!!」


電撃弾の弾幕をかい潜り、一匹のAlienが高速で重装甲のDCに接近する。即座にブースタを吹かし、回避行動に移るが、Alienはすぐ目と鼻の先まで距離を縮めていた。

刹那、ゴゥッ!と限界までブースタを吹かし、爆発的な加速力で機体を移動させ、Alienと重装甲の間に割って入るリーダー機。彼のDCは、標準的な装甲・装備で、いかなる状況においても無難に立ち回れる汎用機だ。ライフル銃はパージ。かわりに左腕にはブレードが握られ、Alienと真っ向からぶつかり合う。Alienはレーザービームを吐き出しながら、重装甲のDCに向かって突き進む。Alienをがっしりと掴み、勢いは殺したものの、レーザービームはリーダー機の左足を直撃!左足丸まる一本融解されるが、それでも掴んだAlienを離さない。異常警報がコックピット内に鳴り響く。機体が機動限界を告げる叫び。それを全て無視して、全ての武装をパージ。Alienに引きずられるリーダー機だが、小判鮫のようにぴったりくっついて離さない。もはや、ぼろくそに大破しているDCが、まともに動いている事自体不思議だ。いつまでたっても自分から離れないリーダー機を欝陶しく感じたのか、Alienは振り払いにかかり、巨大な体を左右に揺さ振る。


「ハハッ、俺から目を離した事がお前の失敗さ。大人しく星に帰りな!」


Alienがリーダー機と格闘している隙に、十二分に距離を離した重装甲のDCが、ガトリングレールキャノン砲をAlienに標準を合わせ、嘲笑う。その笑みは、勝利を確信した勝者の笑み。彼は、笑いながらトリガーを引いた。瞳に映るAlienは、みるみる内に穴だらけになり、着弾の衝撃で不規則によろけ、絶命する。


「ハァーッ……リーダー、生きてます?」


目標、Alienを殲滅。レーダーに敵の反応、すなわち、Alienの接近はナシ。部下の男は安堵のため息をつき、力を抜きながらコックピットのシートに体を預ける。


「……なんとか、な。」


モニターの先には、男の憔悴しきった顔が映る。太い眉に、髭を蓄えた厳つい顔つきの男。髪は戦闘の衝撃と汗でボサボサに乱れ、顔から滝のように汗が流れ落ちている。


「とりあえず、帰還しましょうや。……って、動けませんね、その状態じゃ。背中の装備が邪魔で背負えませんので、引きずりながら移動しますよ。乗り心地は最悪ですが、Baseに着くまで我慢してください。」


「……生きて帰れるだけマシだ。」


Base。地上をAlienに支配され、生活圏を奪われた人類は地下深くに逃げ込み、そこに居住する事にした。DC生産の為の施設や、人類の居住を確立する目的で地下深くに建設された、一種のコロニーである。その総称をBaseと人々は呼んでいる。また、Alienの攻撃から安全に身を隠せ、対迎撃砲台が随所に設置してあり、居住要塞と呼ぶ者も多い。Baseは、各地に存在しており、Alienの情報や戦況などを互いに通信し合い、なんとかAlienの侵略を防いできたのだ。


「橋元と木田、帰還しました〜」


何もない、広大な平野が二人の前に視界一杯広がっている。部下の男……橋元の腑抜けたような帰還報告。すると、突然二人の目の前の地面がひび割れ、まるで地割れのような裂け目が出現する。その割れ目から、巨大な竪穴と共にリフトが出現。このリフトこそが、地下にあるBaseへの入口なのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ