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未来のハイテク使ってみませんか?



「ある日、パソコンで友達からのメールを読んでいたときのことである。受信箱に新着メールが入った。

差出人 ・SESスタッフ  件名 ・「ドロラクシー」モニター募集


SES って何?? 「ドロラクシー」 って化粧品?何?? これって怪しいけど・・・

迷惑メール報告にしようか? 削除にしようか? 迷っていると・・なぜか?勝手にその

本文が開かれてしまった。不思議に思いながら・・リンク先の表示もなかったのでとりあえず読んでみることにした。


 「ドロラクシー」モニター募集  ・SESスタッフ


 私たちは、地球から遥か16万5千光年彼方の銀河にある・ホーキング星から来ました。

SESというのは、「Space Ecology Service」「宇宙エコロジーサビース」の略称です。

今回、地球に私たち12名が第一次のスタッフとして派遣されました。

私たちは、「ドロラクシー」というものを地球のみなさん届けるためにやってきたのです。


 まず、私たちの星のことを聴いてください。

私たちのホーキング星は、地球とよく似た自然環境をもつ惑星です。しかし、海の面積は、少なく、星表面の5割が「シュロ」というヤシ科の植物で覆われています。「シュロ」というのは、地球でもその幹の繊維をほうきに利用してあるようにほうきの素材としてたいへん適しています。最近では、バイオエネルギーの原料としても利用しています。有り余る「シュロ」の木のお陰でホーキング星人は、みんな、ほうき作りが得意です。掃除もよくするのでホーキング星は、いつもピカピカです。ところが最近「シュロ」の木の成長が早くなり、早期に伐採しなければホーキング星が「シュロ」の木に覆われてしまう危険性が出てきました。原因は、現在も調査中なのですがあと数十年は、続くと思われます。

 

そこで私たちの星のホーキング大王と同じ銀河に属する文明の進んだクナガーマ星の科学者たち、24光年先のブラックホールの管理人が集まり「シュロ」の利用方法について話し合いをすることになりました。


「シュロ」から造ったバイオエネルギーを保存する施設を作ろうという意見やほかの惑星に原料として輸出する意見がでました。しかし、どれもホーキング星の実情に合うものでは、ありません。「シュロ」を伐採してそのままブラックホールの管理人に引き取ってもらい、ブラックホールに直接「シュロ」を吸い込ませるという案もでました。それは、クナガーマ星の科学技術の助けを借りれば可能なことでした。


しばらくの沈黙のあと、思い悩んだ表情でホーキング大王が科学者たちと管理人に問いかけました。

『これまで、ホーキング星を支えてくれた「シュロ」せっかくの宇宙の恵をすぐに捨ててしまうのは、もったいない。なんとか宇宙のために役立てられないだろうか?』


その後も話し合いは、続き「シュロ」を有効利用し「宇宙のエコロジー」に役立つ方法を考えようということになりました。次回の話し合いで具体的な提案をしたいとクナガーマ星の科学者は、「シュロ」で作られたほうきを300本持ち帰りました。


 クナガーマ星の科学者たちは、過去に「物質とエネルギーの等価性・E=mc2」という論文があったことを思い出しました。「ほうきのゴミを掃く機能その性質を保ったままでエネルギーに転換することができないだろうか?」科学者たちの挑戦は、始まりました。来る日も来る日も「シュロ」のほうきを使った実験が繰り返されました。そしてついに実験開始から5ヶ月後、新しい技術の開発に成功したのです。物質の姿からエネルギーに転換されたほうきは、「ドロラクシー」と名づけられました。


早速、ホーキング星を本部に「宇宙エコロジーサービス」が共同創設されました。

第一次スタッフの研修、ほうき作り、エネルギーへの転換作業、宇宙空間移動の準備、ブラックホールとその出口となるホワイトホールの調整がそれぞれの星で行われました。このプロジェクトは、三つの星のコラボによって進められました。

クナガーマ星には、立派な宇宙情報局があります。そこの惑星環境データ解析装置で第一次の派遣先が選ばれました。そう、それがあなたたちの星、地球だったのです。


 クナガーマ星とホーキング星の人々の会話は、しばらくこの話題でもちきりでした。

(新聞誌面)

  ホーキング☆彡News

  「宇宙エコロジーサービス」第一次スタッフ12名・派遣先決定

  ◎ 遥か16万5千光年彼方 太陽系第三惑星・地球

  ◎ 知的生命体・地球人 70億人  ◎ 複数の民族からなる単一星人

  ◎ 直径・ホーキング星の約3倍 

  ◎ 宇宙開発を行うなど高度な文明あり

 やがて、地球環境のついての詳しいデータも公開されるようになりました。

(新聞誌面)

  ホーキング☆彡News                                                                

  「太陽系第三惑星・地球の環境について」

 ◎ 異常気象、地震、津波、惑星のエネルギーバランスの乱れによる自然災害の増加

 ◎ オゾン層の破壊、放射能による汚染など多数の難題あり

 ◎ 人口増加が懸念される一方、先進国では、少子高齢化が進んでいる

 ◎ 戦争、テロ、飢餓、貧困、領土問題など国際問題多数あり

 ◎ 友好関係に基づき国際問題を話し合う機関多数あり    

 ◎ 肉体的にも精神的にも疲れている地球人が多いと思われる


私たち第一次スタッフは、派遣先のこの現状を知って急に不安になりました。

地球には、平和なホーキング星にない言葉がいっぱいで、すぐには、その意味を理解することができなかったからなのです。誰もが「もう、手遅れじゃない?」そう思ったのです。

そんな時にちょうど、クナガーマ星とホーキング星のみんなから私たちにメーセージが寄せられたのです。


第一次スタッフのみなさんへ 

  「早く、地球人にほうきを届けてあげて!!」

  「きっと、地球は、ドロラクシーを必要としているはず、がんばって!!」

  「宇宙のエコのために活躍してきてください。」 

  「クナガーマ星のハイテクほうきできっと地球もピカピカになるわ」


このメッセージに励まされた私たちは、「ドロラクシー」の普及が一つでも多くの問題を解決できることを期待して、地球へ旅立つ決意を新たにしたのです。

それから、私たちは、長い旅を続け、やっと地球にたどり着きました。そういうわけでいま、私たちは、みなさんとコンタクトを取れるようになったのです。


 地球のみなさんにホーキング大王よりメッセージを預かってきました。


『地球のみなさんへ

 この度、私ども「宇宙エコロジーサービス」では、心の掃除道具として「ドロラクシー」というほうきを開発いたしました。このほうきは、目には、見えません。あなたの言葉であなたの心の中に作用して負のエネルギーとなっているネガティブな感情を一掃してくれます。そして、みなさんの心の中で集められた「負のエネルギー」をSESスタッフがお預かりします。その「負のエネルギー」は、特殊技術によりブラックホールで再生され「美しいエネルギー」となってホワイトホールより放出されます。それから、また、みなさんそれぞれの心にお納めします。

私どもは、「ドロラクシー」の普及により地球上の様々な問題が一掃されると信じています。なぜなら、目に見える世界は、鏡に映し出された心の姿だからです。心こそ現実の前に実在する未来なのです。地球のみなさんが「ドロラクシー」をご利用されるとことによって未来は、美しいエネルギーによって輝くのです。それは、きっと、「宇宙で最も美しい科学実験」として歴史に残るに違いありません。地球という惑星が本来の環境を取り戻しみなさんが平和の中で仲良く暮らす未来がくることを私どもは、熱望しております。そしてそれは、宇宙の意志でもあるのです。

ホーキング星 大王より


あなたも早速、ユーザー登録をおこなって「ドロラクシー」を使ってみてください。

なお、このサービスは、モニター募集期間中、無償で提供いたしております。

「ドロラクシー」モニター募集期間 2013年 12月20日 まで 


この文章のあと、ユーザー登録の手順、「ドロラクシー」の使用方法でメールは、終わった。



 なんだか、よくわからないが「美しいエネルギー」という言葉に心惹かれるものがあった。私がこれを使うことで少しでも地球の環境が良くなるのなら。と思い、ユーザー登録をして使ってみた。次の日、私の心の何かが動きだした。今まで不満に思っていた出来事が思い出され、不思議と相手を思いやる感情が湧き上がってきたのだ。まるで新しい服を着たときのように心が弾んだ。目を閉じると私のカッチカッチの心がブラックホールに吸い込まれている様子が想像できた。きっとこの心は、ふかふかになってホワイトホールから私の胸にもどってきたのだ。そして、私は、今までずっと宇宙の深い愛に包まれていたんだと気づいた。世界中の人たちがこんな気持ちになったらきっと争いごとなんてなくなる。私は、そう確信した。


 「SESスタッフ」からのメールは、地球上のあらゆる国に送信されていたようでユーザー登録をして実際に「ドロラクシー」を使った人からの口コミで瞬く間に世界の人々が

知るサービスとなった。そして、今まで人々を悩ませていた問題が次々と解決していったのだ。それは、きっと「ドロラクシー」のユーザーが増えた証拠なのであろう。

 モニター募集期間を一年残し、地球の環境も国際情勢もそれぞれの国や人が抱えていた問題は、嘘のようになくなった。世界が平和になったのだ。それは、奇跡としかいいようのないできごとだった。


 時空を超えて地球に「ドロラクシー」を届けてくれた宇宙人たちは、「この美しい科学実験」を楽しんでくれただろうか?


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