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9話 ベルデ村

村についた。看板がある。

「ベルデ村」

この看板も読める。つまり「文字」の問題はクリア。成功転生!


周囲1ヘクタールほどに木造一軒家が20軒ほどある素朴な集落。

その周りに家畜の柵と、広大な農地が広がっている。


第一村人発見!この世界初めての人間だ。

姿かたちに違和感はない。よく見る人間のおじいちゃんだ。が、

おじいちゃんなのに背筋がしゃんと伸びている。


先手挨拶。言葉は通じるのか?

「こんにちは」

「?・・・こんにちわ」

通じた!成功転生!


「たっ、旅のものです。初めまして」

深くお辞儀をした。

「おお!よく来なさった。私がここん村長のホーカンです。なぁんもなか村ばってん、ゆっくりしていきなっせ」

最初の出会いが村長さん!なまりが強いが今のところぎりぎり理解できる。


「ばぁさん、ばぁさんて!おきゃくさんきたつけんおちゃばいれてくれんね」

ばぁさんを呼んだところまでは分かった。


ほどなく、おばあさんが、そこの家から出て来なさった。

この人もなんだか、背筋がしゃんとしてる。


「あら、あらあらあら!こらぞうたんのごつ!魔法使いの先生ばい!」

カナハを見て、おばあさんが色めき立った。


嫌な予感がする。

コスプレ魔法少女(Lv:0)になにか緊急クエストが発生しそうだ。


「ちょいまうちんまごのたいぎゃなこつなっとっとばってんがいったんうちんちきてから話ば聞いちゃらんですか?」

話を聞いてもらえないか?という部分だけわかった。


言葉が分からないふりをしたかったが。。

「うん、いいよ!」

なぜかカナハが目を輝かせていて、ふんすと鼻息荒い。


おうちにお邪魔した。

「お、お邪魔します」


中には、おばあさん、多分そのむすめさん、

そしておそらくむすめさんの子供が

大量の汗をかいて、苦しそうにベッドに寝ている。


「旅の方、ようこそいらっしゃいました。わたしはアルマと申します。私の母ライラと、息子マグヌスです。」

寝込んでいる男の子のお母さんが挨拶した。標準語ができる人で助かった。


「はじめまして。フタマタセと言います」

つい苗字で名乗ってしまった。

「カナハです」


「この子が3日前急に倒れて、それからずっと寝込んでいるんです」

あかん、これ医者のポジションなんだが!何話せばいいの?


「ん~・・どこかに傷とかある?」

ナイス!カナハがそれっぽいことを母アルマに聞いた。


「倒れたときにおでこと頬をけがしたのと、右の胸に印みたいなものがあるんです!」

服をすこし開けて男の子の右胸を見せてくれた。

たしかに何かの印がある。


「ふむ・・」

カナハがうなずいた。


「見覚えがあるんですか?」

「・・ない」

でしょうね!


カナハが男の子の印に手を置いた。


「ハルミチ」

「はい」


「私の手の上に君の手を置いて」

「はい」


カナハの手の上に自分の手を重ねた。

「想像して。この子の体を正常に、すこやかなる姿を」

「!?」


え、でも生物には力は働かないんじゃなかったか・・


「できないのは生物の創造、組織の再構成なら生きているものでもできる」


なるほど、人体は水、タンパク質、脂、物理的に構成されている。

彼の体を物理的にピカピカにすればいいんだな!


「そう」

カナハが心を読んだ。

「わかりました」



集中して、イメージする。

この子の健康な体。傷一つ、病一つない体。

バッキバキのギンギンになって、この広大な大地を元気に走り回っている姿を・・


「・・生成」


小さくつぶやいた後、

男の子の胸からもくもくと、どす黒い煙が沸き立った。

「ううっ・・」

男の子が苦しそうにしている。

母アルマとライラおばあちゃんが心配そうに見ている。


「ごめんね。苦しいね。でももうちょっとで終わるから頑張って!」

「ハルミチ、イメージ切らさないで」

カナハが男の子を励ましながら俺を叱咤した。


やがて湧き出てきた黒い煙が大きな塊になり、

黒装束で赤い顔の、大きな鎌を持った、

いかにも悪魔っぽい物体が現れた。


「なんだこれ」

「なに?」


「みんな離れて!カナハ!みんなを別の部屋に!」

「うん!みんなこの部屋から早く出て!」


俺はナイフを取り出した。ナイフごときでどうにかなる相手なのか?

黒い物体は浮遊しており、下半身はない。


『ィイイイイイイイイ!!!』

耳をつんざく奇声を上げて、その黒い物体は俺に鎌を振り下ろした。


「まじか!」

カ”ァアアアアアアアアン


とっさに分厚い鉄の盾を生成して受けた。受け止められたが、

盾が少し貫通している・・盾から鎌を抜こうとしているその物体にナイフを突き刺した。

が手ごたえがない!鎌を手放し、フラッとよけられた。


何かないか・・なにかできないか・・この力で!


奴に触れることができれば、奴を燃やすなり凍らすなりできないか?

そもそも触れて大丈夫なのか?いや、そんなこと考えてる暇はない!


みんなは無事、部屋の外にいる。よし!やってみるか!

もう一本のナイフを取り出し、ナイフを投げた。

と同時に奴に飛びかかった。

奴はナイフをよけた。

予測通りによけた方向に俺が向かって奴の首をつかんだ。


「凍れ!燃えろ!芯から凍り芯から燃えろ!」

『ィイアアアアアアアアアアア!!!』

「あっつ!!」


凍ったり燃えたり、バグったゲームキャラみたいになっている。

手が熱い!冷たい!でも今は離せない!たのむ!消えてくれ!


「灰になれ!塵となれ!その存在ごと消えろ!」


『ヴォァアアアアアア・・・』


シュー・・

奴は灰になった後、黒い砂のようになって消えた。


「ハルミチ!」

カナハとアルマが入ってきた。


「皆さん無事ですか?」

「はい!フタマタさんは大丈夫ですか?」

「フタマタセです。ハルミチでいいですよ」

「なんやったんあれ!」


手にやけどを負ったくらいだ。とはいえ手の感覚がない。

さっきマグヌスを治した方法で自分の手も治してみたら治っちゃった。

ヒーラーの能力を新発見。

挿絵(By みてみん)

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