8話 いざ、下界へ
そうこうしながら転生から5日たった。
「おはようございます」
「・・・ぅぅう・・おはよ」
結局彼女は、今でもこうやって俺の布団に入って寝ている。
たまにリビングのソファで、俺があげた金の玉を握って
一人で寝てる時もあるが、大抵一緒に寝たがる。
ここ何日かで生活レベルが上がった。
服も前世のようなデザインを何着か作った。楽だし。
染色もできる。
食生活はというと、最近はもっぱら河魚を食べている。
釣りは子供の頃はまっていたバス釣りの知識しかないし
そもそも俺に釣りの才能はなかった。が、
カナハが猛烈に釣りにはまった。彼女がめちゃくちゃ釣るのだ。
なので竿、ライン、リール、ルアー、ワーム、フライ、
知り得る限りの釣りガジェットを作ってあげた。
前世で見た釣竿は、ほぼカーボンだったので
必然的にイメージはファイバーやカーボンの竿のほうが簡単だ。
つまり合成繊維が作れた。これはでかい。本当にカーボンかどうかは怪しいが。
リールは苦労した。最初スピニングリールをイメージしたが、
機構が複雑で、見た目はそれっぽくできたが、巻くことしかできない。
ベイトリールのほうが仕組みがシンプルなのでベイトリールを作った。
最近は嬉々として、クーラーボックスと竿とタモを抱えて
「本流のほうが釣れるから」
と朝から日が暮れるまで本流まで出かけて釣りをしている。
またドラゴンがあられると厄介なので、たまに付き添っている。
家の近くに釣った魚を泳がせる大きな円形の石水槽を作り、
食べる用の大きな魚だけ水槽に入れて飼っている。
釣り用具を収納する小さな納屋を作った。
しかし、そろそろ魚も飽きて来たし、農耕やるにも種がいる。
食物の種は何千年も品種改良してできた人類の英知だ。こればかりは錬金では出せない。
いや、出せたとしても種を出せるイメージが沸かない。
そう考えると、49年も生きてきて、オレ何も知らないな・・と思った
いよいよ街に繰り出して”物質の世”にどっぷりつかるか。
ふたりで朝食を食べながらカナハに尋ねた。
「今日は、下界に降りようと思うんですけど、一緒に行きますか?」
「う”ん”!」
カナハがクッキーをリスのように口に含んだまま返事した。
「服装は、さすがにこれじゃ目立ちますね」
最近の俺とカナハはパーカーにジーンズにスニーカー。ゴム製品も作れるようになった。
完全に前世のライトウェアだ。
「ここがボクが飛ばした世界なら、アニメとか小説でよくある異世界の設定かな」
設定いうなし。中世ヨーロッパ的な何かの世界観だな。それなら分かる。
「じゃぁカナハは錬金術師っぽい格好にしてみますか」
「・・ふーん。いいよそれで。」
何だか不満げだが、緑のフードコートにポシェット。
なるべく目立たず、庶民になじむようなデザインでイメージ。
俺はファンタジー系の女の子の服にはうるさい。
『キモ!』
架空の娘の罵倒が聞こえる。
「・・生成」
テーブルに手を当ててイメージすると、もしゃもしゃと服ができる。
いまや手がどこに触っててもだいたいの無機物は生えてくる。
以前、カナハが力を発動しようとして
極大魔法を唱えるように天に手をかざしてたので、
最終的には、何に触らなくても能力が使えるのだろう。
・・できた。
邪念が入り、魔法使いのとんがり帽子もつくった。
MMOでは俺は好んで自分のムスメにとんがり帽子をかぶせていた。
ただの俺の趣味。一応恐る恐る聞いてみた・・
「こっこれ・・・かぶります?」
砂糖を入れた甘ったるいどんぐりコーヒーを飲んでいたカナハが
ガタっと立ち上がった。
「!?そう!これだよ!こういうの待ってた!」
とんがり帽子は喜ばれた。
錬金術師じゃなくて魔導士がよかったのか。
ついでに形だけ魔法の杖も作ってあげたらもっと喜んだ。
カナハ:緑魔導士 Lv0
能力:読心能力
魔法なんか使えないので、ただのコスプレだ。
俺は、よくあるファンタジーのNPC服を生成して着た。
マイホームが山の中腹にあり、300メートルほど下に降りると
街道があるのを、先日見つけたので
家からその街道へつながる道を作っておいた。
「さぁいきましょうか!」
「ヴァモスヴァモス!」
街道まで降りた。どちらに進む?◀左 | 右▶
「◀左!」カナハが言った。神様の言う通りなら間違いない。
ためらいなく左の道を進んだ。
2キロくらい歩いただろうか・・すると看板が見えた。読める!成功転生!
【▶この先:10km「ベルデ村」】
「・・・カナハ、来た道戻りますよ・・」
「エヘヘ、ごめんなさい」
2キロ進み、2キロ戻り、8キロ歩いた。つまり12キロ歩いた。
そして村についた。




