40話 事情聴取
「すげぇなおっさん……これ一人でやったのか……」
「一人じゃ相手できないから、こうするしかなかったんだよ」
「カシラぁ!助けてくれー!!」
……さすがに強そう。さっきまでみたいに釘バットで遊んでる場合じゃなさそうだ。
刀、出すか――
「おい!あそこにもいるぞ!ここに三人縛られてる!確保しろ!」
警備隊らしき連中が駆けつけてきた。
遅いよ!……でも助かった。
「スカッドがいるぞ!今日こそ逃がすな!!」
パパパンッ! パンッ!
警備隊が“スカッド”とかいう船長に向けて銃を撃つ。
――が、奴は身を低くして軽々と回避した。
「チッ……!」
……ピィイイイイッ!!
甲高い笛の音が響いた直後、
ボンッ!
煙幕が一気に広がる。
「――またな!おっさん!」
バサッ!
視界の向こう、巨大な鷹のような鳥が舞い降り、
スカッドはその足に掴まって一気に空へ逃げていった。慣れてるな。
警備隊がオレに話しかけて来た。
「冒険者か!これは一体どういう状況なんだ!」
海賊たちが、モグラ叩きみたいに顔だけ地面から出して、三十人ほどまとめて生き埋めになっている。
「これは……私の研究中の土魔法で、足止めに使ってみたんですが」
「なんと!い、いずれにせよ助かった。生きて捕らえられたのは大変ありがたい!」
「こういうこと、よくあるんですか?」
「ああ、たまにな。キャプテンスカッドがああいうやつだから、なかなか捕まらん」
キャプテンスカッド!昭和のにおいがする名前だ。
「そうだ.あなたの名前を聞かせてほしい」
「いえ、私はただの通りすがりの旅の者ですので」
やばい。これは領主とご対面コースだ。
「そうはいかん。良くも悪くも、あなたはこれだけの功績を上げた。もしスカッドの敵対勢力の海賊だった場合、見過ごすわけにはいかんからな」
……そういうことか。
「フタマタセ・ハルミチです」
警備の人は姿勢を正した。
「フタマタ氏。この町を守ってくれて感謝する!すまぬが少しお時間をいただく」
「は、はい」
「ハルミチさん!すごい!何あの首の集まり」
アルマが馬宿の事務所から出てきた。
「アルマ、ああ、あれは埋まってるだけだよ。少し事情聴取されるんだって、帰れなくなっちゃった」
「うふふ、残念だね!」
めっちゃ嬉しそうだ。
街の中央にある警備隊詰め所。
被害状況を確認する者、後片付けに追われる者、
あらゆる人間が慌ただしく行き交っている。
そんな中、俺たちは隊長室で事情聴取を受けることになった。
ここで【ベルデ村村長の娘、アルマ】の名前が俺の身元保証人として活躍した。
「では大変お時間取らせてしまい、誠に申し訳ありませんでした」
「警備隊の方々の日夜精励、大変感謝しております」
……アルマが貴族モードになってる。
「本日帰郷される予定と聞いておりますが、今からでは遅くなります。領主様が宿をご用意しておりますので、ぜひ本日はそちらでお過ごしください」
「高配賜り、痛み入ります」
こうして俺たちは、結局――領主の城に泊まることになった。




