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32話 馬車をいじりたい

快い眠りから覚める肌寒い朝。

台所から聞こえる朝食を作る音と、ふわりと漂う温かな香りが俺の部屋まで届いてきた。


耐えた!

耐えきったぞ俺!


最上級の欲望に耐えた。

レベルが15くらい上がった。

INTも200くらい上がった。


一晩明けてよくよく考えてみると、

『もしアルマが俺の寝室に来たら?』とか思っていた自分が、おこがましすぎてめちゃくちゃ恥ずかしい。


「おはようございます!」

「あ、おはようございます!もう朝食出来てますよ!」


「すいません。起きるの遅くて。すごくいいにおい!」

「今お弁当も作ってますので、先に食べててください」

「お弁当!」


俺は、お湯を沸かしてお茶を淹れて、アルマを待った。

……まるで新婚みたいだな。

アルマの旦那さんは、きっと幸せだったんだろうな。


「いただきます」

「はぁぁ……うまい!」」

「いつもおいしいって言いながら食べてくれると、凄く嬉しいです」


この世界では、基本の食事は朝食。

昼はティータイムとおやつ、そして夕食。


村長に至っては、食事は朝しか取らず、夜はほとんど酒を飲むだけらしい。

宴会などのときはたくさん料理が出るが、普段はもっと質素な食事だ。


つまり今このテーブルに並んでいる朝食や、昨日の夕食は、

この世界では明らかにごちそうの部類になる。


「いつも通りのご飯でいいんですよ?」

「ハルミチさんの食べっぷりがいいんで、つい作りすぎちゃいますね」


確実に俺の胃袋をつかみに来ている。

いや!すでにガッツリつかまれている!どうしよう!


『どうしよう!じゃねんだよ!キモキモキモキモ!オヤジキモ!』


素行の悪い架空の次女が、突っ込みをいれて来た。

テンポいいなぁ。力強いバイブスだ。


「ごちそうさまでした!」

「ではお出かけの準備してきますね」


片づけをして、服を着替え、

馬車の馬にあいさつした。ニンジンとリンゴをあげてみた。


「今日は遠出します。よろしくお願いします」

「ブフゥッ」


生のニンジンをボキボキ食べている。おいしそうに食べてる。

馬は元気だが、荷車がくたびれてるなぁ。気になるなぁ。いじりたいなぁ。


「お待たせしました!馬車がどうかしたんですか?」

「いえ、この荷台部分がだいぶ使い込まれてて」


「そうなんです。たまにうちの村に来ていただいてた鍛冶師さんがお年であまりあまり来られなくなったので……最近は手入れできてないんです」


「なるほど、俺がちょっといじっていいですか?」

「はい、ハルミチさんそんなことできるんですか?」


「い、いじるのが好きなだけで上手ではないかもです。ダメだったら元に戻しますんで」

「ぜひお願いします!」


うっし!オーナーの許可が下りた!


前世では人並みにクルマ好きだったし、ロボ好きだった。

機械好きで、なんでも分解しては組み立て直していた。


だからと言って、そういう職業についた就いていたわけでもなく、専門知識もない。その程度だ。

だがせっかく自分にこういう能力があるなら、活用したくなるのは必然である。


荷台はカーボン!メンテ製はないが・・壊れたらあとで考える!後ろは開閉可能だ!

カーボンフレーム、カーボンホイール、カーボンシャフト、車軸受けにベアリング、

そして板バネとリバウンドを抑えるバンプラバー、

バネレートは空積載の時を考えて柔らか目に。そしてゴム製のエアレスタイヤ。


ここからが最大のポイント!!

『現状のままの見た目』だ。オーパーツは目立ってはダメ!


タイヤも木の色、スポークも木の色の8本スポーク。

カーボンも木の色、フレームも荷台も木にしか見えない腐食防止ペイント!いけ!


「スナッップオン!」


ちょっと仕様を欲張ってしまって不安だったが、メキメキっと音が鳴り、無事完成した。

リヤカーの経験が生かされてる。元素材がある状態からの改造は、イメージが比較的楽だ。


板バネを装着した分、少し車輪を小さくしてフレームを下げた。


見た目はきれいになった――

ただの荷馬車だ。


「わっ!きれいになりました…なんとなく何かが変わってるような…とにかくありがとうございます!」


フッフッフ。アルマも大きな変化に気づいてないようだ。成功転生!


「それでは出発しましょうか!」


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