3話 特殊能力
俺の名前は「二又瀬 晴道」49歳
ナニモノでもないサラリーマンだった。独身。
人並みに時代の奴隷側として働き、
漫画を読み、アニメを見て、ゲームをして育った。
充実した人生だった。
人類が滅亡し、俺も死んだので次の世界に転生した。
ところが転生術を施した神様がポンコツだったので、
前世の姿のまま転生してしまった。
その代わりと言っては何だが、特殊能力を授かった。
能力は錬金術。魔法ではないらしい。
もともと神様の能力だったが、俺にその能力が移ってしまった。
力を失った神と力の使い方を知らない人が降り立ったこの世界は
彼らにどんな試練を与えるのか?
次回、はじめての共同作業、
君は、生き残ることができるか・・デンデンデケデケデン♪
「自 己 紹 介 乙」
生成した布を羽織ったカナハが、頬杖ついてニヤニヤしながら俺を見ていた。
「それでこれからどんな共同作業するの?」
「雨風をしのぐテントを作りましょうか」
とはいえ、何ができるかわかんない。
いまのところ木から布を生やしただけだ。
この能力についてカナハに聞いてみた。
「そもそもこの能力ってどんなこと出来るんですか?」
「物を作ったり、形を変えられる。想像力次第でいろいろできるよ」
言葉が少ない。要は俺の想像力次第だと。
サバイバル知識ゼロなんですけど、まぁやってみよう。
四角錐に丸太を組んで紐でさきっちょ結んで布をかぶせる。
「ていう感じで合ってますかね・・」
「わかんないw」
ですよね。
材料は、ここにある木。
木からいいかんじに皮を削って、いいかんじの高さに切った丸太。
木に手を当て、丸太をイメージした。
メリメリと木が変形していく。できた。あと3本同じものをつくる。
木のから紐できるよね。いや、できるだろ!常識的に考えて!
という確固たるイメージをする。麻で編んだっぽい茶色い紐ができた。
なんというか、強い紐ができたように感じた。感情も乗るのか?まさかね。
丸太4本を並べて寝かせて、片方の先端を紐で束ねる。
2本をおこしていくとテントの柱の完成。これに布をかぶせる。
木に手を当てて、布をイメー・・ちょっと待ってよ。
この柱にただの布をかぶせられるのか?、なんかこう、
このピラミッド型にピッタリ合うように縫い合わせてあって、
くるっと巻けるような布・・・
すると、手を当てていた木が布に変わっていく。
ただの布ではない。三角の布がピラミッドのように四面あって、
それぞれの辺が縫い合わされた麻布っぽい布だ。
「おいおい!同時に二次加工も可能なのか?しかも縫製されている!」
「フフ♪」
カナハが頬杖ついて、俺が一人でジタバタしているのをニヤニヤ見ている。
「カナハ、これをテントに巻きます。そっちの端を持ってください」
「はーい」
カナハと一緒にその布を柱に巻いて、紐で結んだ。完成!
「わぁ。。これ、どこから入るの?」
「あ」
しまった。入口がない。いや、これって修正も可能だよね・・
布に手を当てて、出入口用の・・なんていうんだっけ・・とにかく開閉口!
すると、ミチミチと開閉できる切れ込みが入った。修正も可能。
何度か錬金しているうちにいろいろ発見があった。
形もイメージどおりに生成でき、
木から、紙、水も少量だが生成できた。
縫製など、2次加工的なこともできる。
作った後の修正もできた。
「これって食べれる?」
カナハが木の実や果物などを採取してきた。
「たすかります!これで、料理試してみてもいいですか?」
「うん」
ここでも検証開始だ。
これらの食糧から料理ができるか。
まずリンゴからリンゴジュース。できた!
いやいや、これ錬金じゃないやろ!絞っただけや!
つぎに、どんぐりのような木の実、これはどうしたものか・・
昔は食用だったらしいけど、粉にして小麦粉の代わりになるか?
いったんクッキーをイメージしよう。
「・・・できた」
見た目はクッキーだ。味は・・苦い。
そりゃそうだ。砂糖がない。
しかし熱を介さず、皮も剥かず、ここまで生成できる。
なぜだ!?しらん!
日も暮れて暗くなってきた。
木から薪を作って、焚火で明かりを作ろう。
火は?おこせるのか?
薪に手を置き、火をイメージする。
すると、「あ”っっつ!!」薪から火がおこった。
彼女は、さっきから魔法”が使えるか試している。が
どうやら魔法は使えないようだ。
「パルプンテ!」
「こら!魔力あったら一大事ですよ」
何で知ってんだそんな呪文。
地面に手を置いて陶器の皿をイメージしてみた。出てきたw
なんなんだよ。これ。
でも、木の皿とか木のコップのほうが雰囲気良いので、
木から木の食器を生成した。
「いたーだきーます」
「にがいー、すっぱいー」
「ハハハ」
「そういえばこの世界にきてから、あまりおなか減りませんね」
「この世界の理かな、そもそも君の前世の世界は食をむさぼりすぎ。」
たしかに、食糧難になるとか何とか言ってる割には、食料は捨てるほどあった。
自分は一日一食か二食だったので、
三食も食べる必要はないというのは、なんとなく感じていた。
「そのほかにこの世界の情報はありますか?」
「ここがボクが飛ばした世界なら、星の構成とかはだいたい前と同じ、
星の大きさは地球より小さい」
「あと・・寿命は長いはず」
「地球人と比べると?」
「3倍くらい?、そもそも地球の人類が極端に短い」
「地球人が短い理由とかあるんですか?」
「魂のレベルが低いと寿命が短い傾向にはある。例外の人もいるけど」
”魂”って言葉が出ると、どうにも思考停止になってしまう。
「そういえばカナハは俺の前の世界と時代、わりと知ってますよね。」
「うん、滅亡するかしないかの分岐点だったからみんなで注目してたよ。」
結果、滅亡した。
「・・・バッドエンドだったんですよね。」
「どうだろう。地球をボ-ドゲームのようにして、いろんな種がせめぎあってた?」
あえて話をぼかしてるような感じがしたが、パンピーには縁のない話だな。
俺も滅亡したので一体どう滅亡したんだか分からない。が、正直どうでもいい。
あの石と鉄と爆発の時代にもはや興味はない。
この世界がそうでないことを望むばかりだ。
「ふぁ・・」
「今日は寝ますか」
「うん」
木から、敷布団と掛け布団のイメージで布を生成した。
2枚を縫い合わせて、中に落ち葉を刻んだようなものを詰めて、閉じる。
というようなイメージで、形だけは膨らんだ布団ぽくなった。
木で編んだ糸で縫製するイメージ。
ちょっとゴワゴワするが、無いよりマシレベルの布団。
その布団を2セット作って、テントに入り、二人は寝床についた。




