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29話 アルマの休日

アルマの馬車に乗って家に向かった。


「ハルミチさんの故郷はどちらなんですか?」


あかん!そうだった。故郷の設定してない。

そもそもこの世界はまだベルデ村しか知らんし。


「じ、実は俺、記憶を無くしたまま山の中で目覚めたんです」

「え?」


よくあるラノベ設定・・


「そこに師匠が来て、助けてくれたんです」

カナハごめん!巻き込んじゃったわ。


「生きるための知識なんかは覚えてるんですが、この世界のこととか、生まれた場所とか育った環境や親の顔も思い出せなくて、それ以来、師匠と一緒に生活して魔法を教えてもらってます」


「そうだったんですね、ではカナハさんは?」

「カッ!師匠はぁ・・両親を早くになくして、俺が目覚めた山でおじいさんに育てられたそうですだ」


・・そろそろ嘘の積み木が崩れる・・話題を変えたい!そうだ!


「そういえばこの山に来て早々、ドラゴンに遭遇しまして」

「ドラゴン?」


あれ?こっちではドラゴンは通じないのか?


「すごく大きい長さ20メートルくらいある飛ぶトカゲみたいなやつです」

「それ竜神じゃないんですか?!」

え!竜の神?


「それで、どうされたのですか?」

「襲われそうだったので倒しました」


「た、お、し、た?」

「や、やっぱりまずかったですかね、でもぎゃぁぎゃぁ吠えるだけで、ものすごい勢いで襲ってきたので、話が分かるような生物ではなかったですよ」


「そうですか・・竜神ならば人と話す事が出来ますし、人と彼らの領域をお互いに侵さないという協定を結べるほどの知性があります。でも大きな飛ぶトカゲはまさに竜神ですね」


「いずれにしろさすがにもうこの辺にはいないですよね」

「もちろんです。私たちも遭遇した事ありませんし、ここは人の領域ですので」

「そうですか、安心しました」


家に着いた。

荷物を降ろし、一旦家の中に入って暖炉をつけた。


「ハルミチさん、台所お借りしてもよろしいですか?」

「はいどうぞ」


アルマは俺たちも使ったことのないグリル台で暖炉から薪を一本取り出し、ちゃっちゃと火を焚いてお湯を沸かし始めた。

いいなぁ・・奥さんいるとこんな感じなのか・・


「はいどうぞ、粗茶ですけど。あとおうちからお菓子も持ってきました」

「ありがとうございます。さすが、なんでもささっとできちゃいますね」


「これでも一応主婦ですから」

「はぁぁ・・あったまる」

しあわせばい。


「そ、それでハルミチさん・・私10日間お休みもらってまして」

「はい、トマトチームでしたもんね」


「お義父さんがたまにはどっか遊びに行ってこいと言われまして」

「村長男前!」


「家事はお義母さんがやるので休みでいいって言われまして」

「ライラさん素敵!」


「マグヌスも母ちゃん行ってこいって言われまして」

「どこに?」


「今日こちらに泊めていただけませんか?」

「はい?」


どうりで今日のアルマは余所行きの服だったのか。

ダメです!ていう理由もないし、カナハいないから一人寂しいし、

家族にも伝えてあるみたいだし、断る理由はまったくない。


「いいですよ。むしろ助かります!」

「あ、ありがとうございます!!!」


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