25話 神様は神の遣い
のんびりと息づく村の外れに、 地平までほどけるように畑が広がる。
雲ひとつ残さぬ朝の空は澄みわたり、 光は静かに大地を撫でていく。
要はベルデ村の朝だ。
「カナハ!おはようございます!今日は祭りですよ」
「うう・・・・頭痛いよぉ・・・」
はーやれやれ。カナハのおでこに手をおいた。
頭痛もなく、昨日の酔いを醒まし、食べ過ぎ、飲み過ぎ、胃のもたれを洗い流し、
ピンピンな体でスッキリ快便!よしイメージ!
「パル〇プンテ!」
「ちょっと!ハルミチ!」
カナハは元気にトイレに駆け込んだ。何度も言うが呪文に意味はない。
「おはようございます!よく眠れましたか?」
アルマが来た。
「おはようございます!おかげさまでよく眠れました。昨日は御馳走になりました」
「今日のほうがごちそういっぱいですよ!祭祀よろしくお願いします」
「はい!」
「オハヨ」
カナハが出して戻ってきた。
「おはようございます!お二人とも早速着替えましょう、私たちがお手伝いします」
俺とカナハは、それぞれ別の部屋で祭祀用の服に着替えた。
めっちゃ複雑な着物だ。一人で着れる自信がない。
しかしこれは・・あがる!
「ハルミチさん、素敵。すごく似合う!なんで?」
「ありがとうございます!似合ってますか?」
フハハそれは日本人だからな。和服は剣道着くらいしか着たことないけど。
これは浄衣という祭事で着られていたものらしい。
さすがは女衆。サイズピッタリになっている。
カナハも装束を着て部屋から出てきた。
「こっこれは・・・巫女!!」
「コレフサ様の従者の方の祭祀用の装束だったらしいです」
ふぉおおお!やばいかわいい!化粧してるし!俄然大人っぽくなった。
普段髪の毛ボサボサで、当然化粧なんかしないので、いつも起きたままの姿だ。
しかも神様が神の使いの服を着ている・・そのギャップがいとなまめかし!
「ハ、ハルミチ?・・顔キモい」
「知ってます。師匠とてもよく似合ってますめっちゃかわいいです」
「う、うん」
「では御神木に行きましょう」
御神木には、しめ縄が巻かれ、神棚が置かれ、
とんでもない量の供物が置かれている。
村人全員と周辺の住人がわらわらと御神木の前に集まっており
その真ん中で村長が俺たちを待っている。
村長も、相撲の行司みたいな装束を着ていた。
「おお!先生どがきなさったばい!」
村人がどよめき始めた。カナハに注目が集まる。
カナハはなんだかんだ神様だからな。
少女の姿でも、そのたたずまいに底知れぬオーラを感じる者もいるだろう。
しかもこの巫女姿でカナハのかわいさ5割増しだ!
フハハハかわいいだろう!ポンコツだが、オレの自慢の神様だ!
みなのもの!またとない我が御神のこのお姿!!
しかとその眼に焼き付けよ!!
「ハルミチ?きょ、今日どうしたの?」
「え?なにがですか?」
「なんか・・浮足立ってるよ」
「そうですか?確かにテンション上がってますね!」
あ!そうか。さっきからずっと心読まれてるのか!
確かにこれはキモかっただろうな。ちょっと落ち着こう。
御神木の前に二人立たされた。その前で村長が祝詞を奏上する。
-天と地を結び、世を潤してきたる御神よ
-とこしえに命の息吹を授け給え、
-根は大地を抱き、枝は天を仰ぎ、葉は光を受け、
-実を結び、この世界に実りと繁栄、
-そして尽きせぬ恵みをもたらし給え
あれ?これ昨日の俺のインチキ呪文じゃん。パクられたw
そんちょう!これ何も効き目のない呪文なんですよー
「大丈夫だよ。ちゃんと効くよ」
カナハが小声で俺にささやいた。ほんとに?
その後、収穫祭の儀式も行い、祈祷が終わった。
「よし!飲むばい!」
「うおぉおおおおお!」




