17話 カーボンリヤカー
俺はリヤカーを見つめていた。
「このまま返していいものかどうか・・」
ベルデ村から借りたリヤカーは現在、チューンナップされている。
・カーボンフレーム
・ロードバイクのようなマグネシウムホイール
・後部が開閉できるアルミ製の荷台
・無駄に黒いリヤカー
「正直やりすぎた」
元のリヤカーの半分以下の重量だ。軽さは正義だ。
既に原形の面影は微塵も残ってない。
もう合金だろうが、合成繊維だろうが、無機物なら何でも来いだ!
ただ、本当にその素材かどうかは未だにあやしい。
「かっこいい!」
カナハがぴょんと荷台に乗って『はよ引っ張れ』
という目で俺を見つめている。リヤカーに乗せられて散歩する犬だ。
「いきますよ!」
俺は全力でリヤカーを引いて走った。
「うぇーい!」
ゴムのタイヤを装着、振動が少なく、ガラガラうるさくありません。
究極の軽量化により、積載総重量は大幅に増加されました。
車軸にはベアリングがあり、転がり係数を極限まで抑えました。
これが未来の荷車、これが『ハルミチカーゴ』
『10人乗っても『大丈夫×10』』
「はぁ。。。はぁ。。。」
「どうしたハルミチー、まだ家すら出てないよー」
30メートルくらい走って息切れした。
「ううううう!チャリだ!チャリつくるぞ!」
「自転車?」
「はい、こんなん引いてられませんよ!」
「物質にとらわれてるね-・・」
カナハは頬杖ついてあきれていた。
もう地面に手をつかずに物も出せるようになった。
そもそも足が地面についているからね。
大切なのはイメージ力のみ!
イメージできれば何でもできる!1,2,3!
「生成!」
自転車が、いや、自転車のパーツが中途半端に組まれていたり、
組まれていない状態のものがバラバラと落ちてきた。
「あれ・・」
イメージ不足?
落ちてきたパーツも初期のa.i画像のような溶けているパーツがある。
よくよく考えたらギアやチェーン、ブレーキ、変速機、サドルやペダルでさえ、
自転車はリヤカーなんかと比べ物にならないくらい、精密パーツの塊だ。
一発でそこまでイメージする事は今の俺には不可能だ。
自転車を完全に舐めてた。
ならば、パーツ毎に生成して、組んでいくならアリなのか?
「生成」
まずはシンプルなパーツから
ハンドル、フレーム、サドル、ブレーキ・・
一個ずつ生成していった。あ、ボルト類・・・
これは・・あとで家の中でじっくりやろう・・
カナハは俺がガチャガチャしているのに飽きて、釣りに出掛けた。
結局チャリは後回しにして、
リヤカーは元のリヤカーをゴムタイヤで新しく作り直して村に返した。




