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10話 戦いの後

「は!?」

男の子がバッと起き上がった。

「なんなん?なんがおきたと?」


「この先生たちがあんたばなおしてくれんしゃったとて」

ライラおばあちゃんが答えた


「ばりすご!せんせい!ありがとうございます!」

「フフ、げんきになったね」


「ありがとうございます!」

アルマが涙ぐんで俺の手を握った。


「お構いもせずいきなりこんな事させてしまってすいません、どうぞ、あちらでお茶をご用意します」


元気になった男の子はバンッと家を出て「じぃいいちゃあぁぁん・・」

第一村人おじいちゃんのところに走って行った。

おばあさんはマグヌスの部屋を片付けている。散らかして申し訳ない。


俺たちはリビングへ案内され

アルマがキッチンからお茶とお菓子を持ってきてくれた。

カナハがボリボリお菓子を食べ始めた。


実は、男の子にあった印を見たのは2回目だという。

彼の父、つまりアルマの夫にも印が現れ、その後すぐに亡くなったらしい。


「旦那様はその印が現れる直前、なにかいつもと違う行動されてましたか?」

「いえ、特には・・ただ、村の前を通りがかった商人に、何かの誘いを受けたみたいなんですが、詳しくは聞いてませんでした」


「息子に印が現れた時はもうだめかと思いましたが、まさかこんな奇跡が起きるとは思いませんでした。この出会いに感謝を・・・・」

アルマは手を組んで祈った。


この件は何か陰謀めいているが、俺の手には負えそうにない。


「先生方は旅の途中ということですが」

「はい、ま、魔法の修行で師匠といっしょに旅をしております。」

1から10まで嘘なんだが。どうしよう、もう引き返せない。


本当は親子設定で行こうと思ってたんだが、おばあさんがカナハを崇め奉ってたので、

このままカナハが師匠のほうがそれっぽいかなと思って。いちお神だし。


「フフ」

カナハがリスのようにお菓子をいっぱいに詰め込んだ口でほほ笑んだ。


「現在、この先の山の中に小屋を建てて、そこで修行を行っておりまして」

「まぁ・・お近くに居を構えていらっしゃるのね」


アルマがキラキラした目で俺を見つめながら話を聞いている。

ていうかこの人、言葉遣いが標準語どころか、お嬢様みたいな言葉遣いだ。


「はい、当面そこで生・・修行しようと思っているのですが、畑を作って農作物を育てたいのです。」


「なるほど。種ですね」

「はい、余っているもので構いません。少し売っていただけませんか?」

「売るなんてとんでもない!あるだけ持って行って!」


納屋に連れていかれた。


そこにはおじいちゃんとマグヌスがいて、

リヤカーに野菜や果物をどっさりつんでいた。


おじいさんがおれたちに歩み寄ってきて、ガッと手を握った。

「おお!先生ど!ありがとうありがとう!」

「たいぎゃんこつできんけんくさ、こいば残らずもっていきなっせ!」

「大したお礼できないけど、これ全部持って行ってって」

アルマが通訳してくれた。


「こんなに?!ありがとうございます!でもこんなに持って帰れないので」

「おれもてつだうけん大丈夫て」

マグヌスがぴょんぴょん飛び跳ねた。


「おとうさん、種が欲しいらしいんだけど、野菜の種を見繕ってくれる?」

「おおよかよか、あるだけ全部持っていきなっせ」


なにかの種いっぱいと大量の野菜をゲットした。


「ほかに欲しいものはありますか?」

「・・そうですね。この村に市場はありますか?」


この地域の物の取引の仕方とか通貨とか相場を知りたい。

今日も持っていくのにかさばらない取引できそうな金属や、塩や砂糖は持ってきてはいるが・・


「ありますよ。でも朝しかやらないので」

「なるほど。ではまた明日の朝に来ます」


そうして、今日はこの村を出ることにした。

だが、いただいた野菜を家まで運ばなければいけない。これは骨が折れる。


「よし、いくばい!」

マグヌスがついてくる気満々だ。


「ほんとに手伝うの?」

「もちろん!」


「着いたらおそらく日が暮れるから、泊っていくといい」

「うぇーぃ!!」


「いえ、そこまで甘えるわけにはいきません」

アルマが口をはさんだ。


「いえいえ、かまいませんよ。明日まで息子さんお借りします。一人泊る広さは十分ありますので」

「そうなんですか・・何から何までありがとうございます。お気を付けて。また明日お待ちしております」

また俺の手を握ってきた。この村の人は良く手を握る。長い。近い。はなして・・


こうして俺とカナハ、マグヌス3人は村を後にした。


マグヌスの力がすごい。リヤカーをゴンゴン押して前に進む。とても子供の体力とは思えない。

引っ張っている俺が小走りになるほどだ。


「ちょマグヌス、もうちょっとゆっくりでいいよ」

「あははごめん、なんか力がありあまっとっちゃんね」


「ハルミチのせいだね」

「はい?」


カナハが何かを俺の責任にしようとしている。


「健康な体、ムッキムキのビンビンで大地を走り回れる体ってイメージしたでしょ?」


なんか、微妙にニュアンスが変わっているが

「オレ体弱かったっちゃん!起きたらバリバリでびっくりした!」

そういうことか!あの村の伝統フィジカルかと思ってたけど。


この力は人にも影響を与えることができる。そこに生物が「あれば」、それは改変可能?


なんだかもう素直に喜べない。むしろ戦慄を覚える。

使う時と場所をわきまえないと、やばい状況に巻き込まれそうだ。


街道から家に向かう山に入った。ここからは家までずっと上りだが、

マグヌスはヒャッハァとでも言わんばかりの勢いで

リヤカーを押し続け、あっという間に家が見えてきた。


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