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ゾンビの中にも笑いあり

作者: たっつん

「今回の開催はあそこだな」

2025年10月31日、ゾンビ化ウイルスが散布されてから10年、日本の主要な都市は壊滅して人類は細々と生き残っていた。


そして現在2035年10月31日、私こと須田未来と黒部武人、沢村利一の3人で渋谷を訪れていた。

「では第50回、くだらない物探し選手権を開催します!」

リーダーの武人が楽しそうに宣言をした。

私と利一はまた始まったかという顔で武人を見る。

「いや食い物は?」

「あきらめよう利一、どうせ食べものなんてどれも腐ってるよ」

「ゾンビだけに?いややかましいわ」

「あっはっはっはっは」

このやり取りも何度しただろう、武人だけは絶対に笑ってくれるから定番のネタになったが。


「しかし50回か、キリもいいし記念すべきものを拾いたいな」

しみじみとしている。

「でも武人、正直もうネタ切れじゃないか?最優秀のやつは15回目16回目だったかのやつだろ?」

「なんだったっけ?」

思い出せない、というか最優秀ってなんだ?初めて聞いたけど。

「忘れたのか未来!うんこの形をした瓶のかけらだ!利一が見つけてきたやつ」

「あれか…あれは笑ったね」

利一がキャラに似合わず飛び跳ねながら見せてきた記憶がよみがえった。


「まぁあれほどとは言わないが、今回は特に期待しているということはわかってくれ」

「いや頑張りはするけど…」

利一は少しげんなりしている。

しかし武人はにっこり笑う。

「では散!」

そしてそれぞれ探し始める。


とはいえこのゾンビパラダイス、移動するにもかなり制限される。

「どうしたものか…」

そう思っていると頭にかぼちゃの被り物をしているゾンビが目に入った。

そのゾンビはヘドバンをしながら立ち止まっている。

「コスプレ…?っていうかなにあの動き…」

そしてポケットから何か紙切れを落とし、走って去っていった。

「何だろうあれ?」

そう思い走って紙切れを拾って戻る。

開けてみると

「これは…」



「おーい!見つけたかぁ!?」

待ち合わせ場所で武人が手を振っている。

見たところ利一も自信ありそうだ。

「見つけたよ」

「自信ありそうだな未来」

「あんたもね利一」

「じゃあまず俺から」

そう言って武人は拾ってきたものを出す。

「将棋の金だ」

「くだらねぇ!」

武人はもう勝ったかのように自信満々だ。

「だが俺のを見ても同じことを言えるかな?」

利一もバッグから物を取り出した。

「壊れて回らないハンドスピナーだ!」

「うおおぉぉぉぉ!!やったな!これは優勝だろ!」

利一がドヤ顔でこちらを見てくる。

むかつく。


しかし私はそれでも勝利を確信して笑っていた。

「おい、俺のハンドスピナーに勝てるとでも思っているのか?」

「もちろん、今回は私がもらったね」

そういって紙切れを取り出す。

「紙?そんなもんありふれてるしくだらないものではないだろ」


「早とちりをしてもらっては困るね、とくとごらんあれ」


紙を開くと、中央にカボチャの絵、その絵の真ん中に、『スカ』とだけ書かれていた。

「ぷっ…くく…これは…」

「ぐ…ぬぬぬ…」

「私の優勝だね」


うんこの瓶のかけらは降格。

最優秀が塗り替えられ、しばらくの間の笑いタネとして役に立った。

そしてそのスカ紙は「ハロウィンゾンビの落とし物」と名付けられ、現在額縁に飾ってある。

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