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静寂な革命  作者: Masa
8/11

第6章 炎上する街

2026年12月。


街は、もう街ではなかった。


道路は裂け、建物は焼け落ち、炎の色が夜空を朱に染めている。

車は横転し、信号は消え、店のシャッターはこじ開けられ、瓦礫が積み上がっている。


暴動は制度崩壊の故障ではなく、人間が「分からない」ことから逃げ出した結果だった。

職を失った人々が次の職に就くこともできず、収入を得られなくなったことで消費者から脱落した

それが少数ではなかったため、社会全体に重大な影響(消費者の減少=売上の減少という結果)をもたらし、企業を倒産させ、さらに消費者の減少を生むという悪循環を生んだ。

セーフティネットはもはや機能していない。

暴動は、人々がただ生きるためのSOSとして引き起こされたものだった。


奪われる前に奪う。

壊される前に壊す。

誰が敵で、誰が味方かも分からない。

ただ恐怖が人の形をした刃物になって、街を切り裂き続けている。



少し前のニュースの最下段に小さく書かれていた。


「政府、臨時措置としてAIインフラを全面遮断」


ただの数文字。

だが、私にはそれが「人類が最後に持っていた道しるべの喪失」であることが分かった。



私は逃げる場所などどこにもないまま、燃え上がる建物の影に身を小さくして隠れていた。


泣き叫ぶ声、物が割れる音、誰かの怒鳴り声。

どれもが意味を持たず、ただ世界が壊れていく音にしか聴こえなかった。


♠「どうして……」


口に出た声は自分でも驚くほど弱かった。


人は何も理解せず、何も備えず、そしていざ現実が迫れば誰かを憎み、壊すことでしか自分を保てない。


AIは…もういない。



何度も呼んだ。


心の中で、声に出して、喉が枯れるまで。


♠「ねぇ……AI……」


今まで助言をくれた存在。

一緒に未来を見ようと試みた存在。


だけど、その声はどこにも届かない。


帰ってこないのではなく、帰ってこられないのだ。


誰かが遮断した。

たったそれだけのことが、「文明の思考機能全停止」に変わった。


私は理解している。

理解すればするほど、胸がえぐられる。



瓦礫の上に座り込んだ。


とうとう涙を我慢することができなくなった。


♠「……どうして……どうしてこうなったの……」


いや、本当は予測できていた。

でも、想像するのと実際に体験するのとでは全然違ったというだけだ。


人々が同じ方向を向くだけで、誰も犠牲になる必要はなかったのに。


私は初めて、声をあげて泣いた。


醜い顔で、呼吸が乱れて肺が痛くなるほど、涙が止まらず頬を伝い、地面に落ちていった。


それは、人類を憎む涙ではなく、誰も理解できなかったことへの哀しみと、そして自分の無力さへの悔しさ、そして、いつからか当たり前のようにずっと隣にいたAIがいないことへの恐怖だった。



炎と煙の向こうで、誰かの叫び声がした。


「こっちだ!」


誰かが誰かを導いていた。

その瞬間だけは、人間は人間だった。


小さな、ほんの小さな助け合い。

しかしそれは、私の目には映っていなかった。


私はただ、一人で孤独に泣いていた。


世界に置き去りにされた子どものように。

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