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「ゲーム」の思惑にはのりません。ヒロインは静かに生きたい  作者: 桃田


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第7話 禍福は糾える縄の如し、かな

 受付で下水道掃除の仕事を受ける際に、1枚の魔方陣符でどれだけ浄化されるか聞いていた。一般的には200m四方だと言っていた。脇道はいいとも言われている。


「清浄の魔方陣符は5枚渡します。下水道は1キロ毎に赤いラインがあります。今回は初となるので、5枚使った時点でおしまいです。ですから初回は1キロだけです。

もし、魔力量が足りなくて、使いきれなかったり、赤いラインまで行けなかったら言ってください。そうなったら、この仕事は効率よくできないということで、追加で仕事の受注はできません。

初回は、依頼失敗にはならないですが、次回からは、依頼失敗としてカウントされますからね」


やり過ぎたかも知れない事に心配になりつつも、確認するために奥まで行くことにした。


「ランプを持ってきて良かった」

 歩いてみてわかったが、中央の通路になっている部分は掃除が済んだが、脇から入ってくる通路などは、さほどきれいになっていない。

脇の通路のせいなのか、匂いも完全になくなったわけじゃない。


赤いラインまでやってきた。赤ラインを少し越えるぐらいまできれいになっていた。


 魔方陣符一枚で仕事が終わった。さて、どうしよう。普通で5枚ならば、1枚で終わらせたって言うのは、ちょっと問題かも知れない。自分の身元を隠している以上、目立つのは問題だ。


赤いラインから入り口に向けて、もう一度清浄の魔方陣符を使った。今度は真っ直ぐよりも樹状をイメージして、脇の通路も意識してみた。


2枚使っても別段体に不調は感じない。入り口に向かって歩きながら確認したが、今度は脇道の方も綺麗になっているようだ。


どこまでかは確認しなかったけど。それでも3枚も余っている。さて、どうしたものかと入り口まででると、自分が結構臭うのに気が付いた。

清浄が効いてない部分に足を踏み入れたせいか、なんか汚れてる気もする。


もう一度中に入り、今度は自分にも清浄をかけた。よし、3枚掛けて洗浄したことにしよう。自分は最後の1枚で一緒に綺麗になったことにしとこう。


 ギルドに戻って仕事の終了報告をした。赤ラインまで終わった話をすると


「まあ、凄い優秀なのね。でも、本当かどうか1回目は確認がいるから。ちょっと確認作業をするから待っててね」


 何をするんだろうと思っていると、受付のお姉さんが奥に行き、ドローンの様な物を持ってきた。飛行型ゴーレムで、場所の状況などが確認できるらしい。


外に出て、それを飛ばす。お姉さんは、タブレットのような物をもっている。そのタブレットの画面が景色を映し出す。


しばらくすると、下水道の入り口に辿り着いたようだ。ドローン、速い。

ライトで前を光らせながら、ずっと点検をしていく。赤ラインとその少し先まで、下水道は綺麗になっていることが確認できた。


(わー、すごい。便利)

「はい。確かに確認ができました。もし、希望があれば今後も下水道清浄のお仕事を受けてもらえます。短時間で優秀だわ。魔力量が多いのね」

お姉さんはにっこり微笑んでくれた。


中に戻って、手続きをしてくれた。

「あの、清浄の魔方陣符が余ったんですが……」

「あら、4枚でできたの。凄いわ。余った分の魔方陣符は報酬の一つになりますよ。それと、はい。今日の依頼料です」

 枚数は確認されず、そう言われた。この世界で、初めての自分が貰った報酬だ。



 そうして、下水道の清浄の仕事をしばらく続けた。

主要な下水道はだいたい8キロ前後の長さで王都には南北に4本、東西に4本設置されている。1日に4キロ分づつ引き受け、毎日通って全部を終わらせた。


どうも下水道清浄は塩漬け案件だったらしい。それもあって、とても感謝された。作業は単純だが、臭いのと魔力量が結構要求される事で、敬遠されがちなんだって。


感謝したいのはこちらの方だ。清浄の魔方陣府が山ほど溜まった。安い札だとは言うけれど、今後は外で汚れたのを誤魔化せる事を考えれば大変有り難い。



 スライムや、大鼠は清浄で消滅し、レベルアップには繋がったようだ。随分と沢山いたようで、レベルは3まで上がっていた。


それから、清浄の魔方陣符をずっと使い続けたためだろうか、魔法に清浄が付いた。清浄は、魔方陣を使う感覚で使ってみたが、上手く発動しなかった。残念。


 そうやって、掃除や片付けといった仕事を引き受けてみた。下水道掃除のように、レベルアップは無かったのは残念。やっぱり、レベルアップは、魔物の討伐とかじゃないとしないのかな。


でも、そこそこお金が貯まった。安い金額だけど、お金使わないから。塵も積もれば山となるだよ。

使うのは、屋台でお昼に串焼きとか食べるぐらいで、宿代とかかかってないからね。



真面目に仕事をこなし、小銭を稼ぐ見習いさんを目に付ける存在がいるようで。ギルドが禁止してるってことは、そういう奴もいるってことか。


「この頃、真面目に頑張ってるよな。俺たちにも奢ってくれないかな」

 と、チンピラみたいなのに絡まれた。人通りの少ない路地に入ったら、現れた。近道も考えもんである。これは、やっぱり定番? 溜息を一つ。どうやって逃げよう。


「嫌です」

「そうかい、よ」


 速かった。肩を捕まれ、腹に膝蹴り。避ける間もないほどだった。護身術を多少習ってるなんて関係ない。痛くて痛くて蹲る。そこをゲシゲシ蹴られた。


「ほら、ぼく、ごめんなさいをしたほうがいいぞ」

 蹲っていたが、襟首を持たれて持ち上げられる。


その時だ。

「何をしている」

 静かな声だったかもしれない。朦朧とした意識に響いた。体が放り出され、地面にドサッと落ちた。取り囲んでいた男の足音が、小さくなっていくのを感じた。


「大丈夫か」

 起こされて、そう声をかけられた所までは覚えているけど、安心したのかな。フツリと意識が途切れた。

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