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「ゲーム」の思惑にはのりません。ヒロインは静かに生きたい  作者: 桃田


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第6話 いざ行かん、冒険者ギルドへ

 では、勉強を頑張ろうかと思っていたのだけれど。考えてみたら、義姉と一緒に勉強してたのよね。そのせいで、先生方からもう十分だという話になってしまった。来年の学園へいく3ヶ月前位に復習をすれば良いという話になり時間ができた。


「ねえ、アン。お願いがありますの」

私付きの侍女のアンに、私は幾つかのお願いをすることにした。


 やってきました、冒険者ギルド。王都の冒険者ギルドは、大通りの立派な建物で、とても目立つ。見習いとしてならば、10歳から登録はできる。時間があるなら、早いうちから実績は作っておきたいと思ったのだ。


 屋敷を抜け出してここまで来た。男爵様は仕事で、昼間は屋敷にいることは殆ど無い。母は、姉の事で対立したためか、私に関心がなくなったようだ。家でお茶会をするときにも、子供だから呼ばれない。同じ家に住んでいるというのに、ここしばらくは殆ど顔を合わせる事が無くなった。


食事は晩ご飯以外は、自室で食べるようになっていた。それで、晩ご飯も自室で食べると言ったらあっさり、認められた。義姉もそうだったしね。


現在は、アンに協力して貰って外へ抜け出している。何かあれば、ないと思うけど、言い繕ってもらえるように。アンには、色々協力してもらっている。


出掛けている間の食事は、彼女に部屋に運んでもらい、お昼ご飯とおやつは彼女に食べてもらっている。

彼女が協力してくれる最大のポイントは、食べ物だ。なぜか私が作ったお菓子も彼女は好きなのだ。甘くないお煎餅を沢山作ることで手を打ってくれた。


カルロスの作った甘いお煎餅は好きじゃないから。私が作っているお煎餅は、特にアンのお気に入りのようだ。彼女はお饅頭も、私が作るデカいほうが良いと言う。私も一口サイズのお上品なお饅頭よりも、でかい方をかぶつく方が好きだ。


で、時間があるときは私が手作りをして一緒に食べている。カルロスのは、別物として頂いてます。カルロスのものはそれはそれで大変お上品でおいしいのには間違いはない。


私の毎日のお茶菓子とお昼が全て彼女の胃の中に入る。その条件で、留守番を頼むことになった。それ以外にも、まあ、あるのだけれど。一番大きいのはお菓子だと言っていた。


出かける前に古着屋で、服も買ってきてもらう。そうして支度を整えて、男装して冒険者ギルドにやってきました。人がいっぱいいる大きなお屋敷じゃやないからね。抜け出すのも簡単よ。


ゲームでも冒険者ギルドに登録して、アルバイトをするというのがあったので、大体雰囲気は判ると思う。


長髪は三つ編みにして帽子に詰め込んで、口覆いをつけている。身なりは古着屋で買ったものだけを身につけている。


目の色については、隠蔽を使って碧眼に。最初は効果があまり期待できるかわからなかったので、前髪で隠してみた。髪の色は薄茶色にしている。


「冒険者見習いの登録をしたいんですが」

登録の受付は、入って直ぐのわりと見つけやすい場所にあった。綺麗なお姉さんが、ニッコリ笑って受付をしてくれた。


登録の用紙をもらい、そこに書き込む。名前はソル、偽名で登録した。名前は登録したら変えられないけれど、本名でなくても構わないはずだ。


小さな木の札を貰う。見習いの札だ。簡単な説明を受けて、見習いの仕事の掲示板に来た。

掲示板には、依頼書が簡単な内容が書いてある。これを受け付けに持っていって、詳しい説明を受けて、依頼を受ける。


よく、登録の時に絡まれるというテンプレがあるが、ここではあり得ない。なぜならば、スラムや教会の孤児院の子が、お金を稼ぐために登録に来るからだ。普通の家の子もお小遣い稼ぎにやってくる。


そんな見習い希望者や見習いをからかおうものなら、ギルドを叩き出される。見習いの受付は、登録と同じ場所になっていて、他と離されているというのもあるかもしれない。


王都の仕事は雑用が多く、それらをこなしてくれる見習いや鉄級が、一定数必要なのだそうだ。また、見習いと階級持ちは別物、そういう意識もあるから絡むことも無いのだろう。


扱いも別になる。見習いには年会費の支払いは発生しない。それと上の階級に上がるためには、試験を受けるため試験料を払う。それなりのお金を払えるようになることも、見習いでなくなるための条件のようだ。


見習いから上の段、鉄級以上になると年会費を収入に応じて支払うことになる。これは、保険も兼ねているので皆きちんと払うそうだ。全額ではないが、引退時に払い戻しがあるとか。退職金かな。

一番下の階級である鉄級は、ペーペーなので負担の軽減があるそうだが。まあ、今は関係ない。


 見習いの仕事は、町中の配達や清掃が多い。あとは小さな細々とした手伝いなど。王都だと薬草採取とかないんだよね。まず外の仕事っていうのが、見習いでは無い。で、今回はその中で下水道の清掃を受けた。


下水道の清掃は、汚いし臭いんだけど、他の依頼と違ってスライムや大鼠といった魔物が出現すると聞いた。でも、そんなに沢山出てくるわけでは無い。


魔法は全然使えないけど、護身術で剣は多少使えるようになったと思う。だから、大丈夫かなって。後で聞いたら、大鼠もスライムも襲ってこないんだって。だから見習いの仕事にできるんだとか。ちょっとガッカリ。


清掃に関しては清浄の魔方陣符を使う。魔方陣符は、魔力さえ持っていれば使えるので便利。これはギルドで必要な分をくれる。


魔力をより多く万遍なく発揮できれば、より広い範囲を清掃できると言われた。魔方陣符の簡単な使い方はレクチャーしてくれた。


11~12歳になると、魔力回路が安定して魔法を扱う体ができると言われている。でも、10歳ぐらいから魔力を放出するぐらいだったらできるのだ。


魔方陣府はすでにある程度魔力が注入されているものなので、魔力を少しだけ入れれば、発動してくれる。だから10歳からなら魔法が使えなくても魔方陣符は使用できるのだ。それもあってギルドの見習い登録は10歳から可能になっていると聞いた。



 下水道の入口は、とんでもなく臭く、汚かった。口覆をしていても、なんの効果も無いみたい。できるだけ口で息を吸うようにして、少し中に入った。う、う、匂いが付きそう。

【清浄】、魔方陣符に魔力を流し発動させる。方向は奥に向かっていくように意識して。


なんということでしょう。奥の方までピカピカになって、水も随分浄化されたみたいだ。清浄での力で、中にいたスライムや、大鼠たちまでも浄化されたみたいで消滅したようだ。奥に進んでいくと、小さな魔石がポツリポツリと落ちている。


すっご、ヒロインの魔力。これは、何処までキレイにしちゃったんだろう。場合によっては、不味いことになったかな。


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