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「ゲーム」の思惑にはのりません。ヒロインは静かに生きたい  作者: 桃田


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第35話

 事務でのやり取りは、簡単なものだった。学園長に押印してもらった書類を届けるだけだったから。


「学園長先生から、連絡がありました。

アルビノエス先生、良かったですね、助手の方が決まって。勤務は一週間後からですか。承知しました。それまでに職員証を作成しておきます」


 後から師匠に聞くと、学園の職員は先生も含めて皆、職員証を持っているのだという。その職員証に掲示されている範囲の施設に出入りが出来るようになっているのだそうだ。カードリーダーのような仕組みが施設にはあり、職員証はそれに使うのだそうだ。


 住む場所については、学園内にある独身寮に部屋が空いていたので、そこを貸してもらえる事になった。

3年半の契約だ。取りあえず、成人までは、ここにいられる。それを聞いて、なんとなく安心した。それで、自分が不安だった事に気がついた。


借りられる部屋には、今日から使えると言われた。宿泊する予定の宿屋に連絡を入れておかないと。


 様々な手続きが滞りなくすんだ。師匠に付き添われてグレンジャー先生とアッサム先生のところへ挨拶と御礼に向かった。


まずはグレンジャー先生のところへと伺ったら、アッサム先生も一緒にいて何か話込んでいるようだった。


「なんてことだ。先に僕の所に先に来てくれていれば」

 グレンジャー先生にはそう言われた。


「いいだろう」

 と勝ち誇る師匠は、大人気ないと思う。というか何を勝ち誇っているのだろうか。後から聞いた話だと、どうやらこの三人は結構仲がよいらしい。よく飲みにも行くそうだ。


「ソル君、アルビノエスの所が物足りなくなったら、そうじゃなくても気が向いたら是非、僕の研究室に来たまえ。いつでも歓迎するよ。君には、本当に期待してるんだ」


「おう、俺だってお前には期待してるんだ。アルビノエスやグレンジャーで物足りないなら、俺の所でも良いぞ」


 グレンジャー先生やアッサム先生にそう言われた。期待している、その一言がすごく嬉しくて。本当にここに居ていいんだという気がした。


「はい、ありがとうございます」

 笑顔で言ったら、ちょっと師匠の顔が引き攣った。


「おまえ、グレンジャーの助手の方が良かったのか ? 」

「え、なんでですか? 師匠の助手になる手続きしたじゃないですか。弟子の面倒を見てくれるって、言ったじゃないですか。どうしてグレンジャー先生のところの助手って話になるんですか。質問しに来ていいっていう話じゃないんですか」


 何を言い出したのだろう。早速、首にされるのだろうか。何かやらかしたかと不安になったら、師匠に大笑いされた。なぜだ。


「そうだ、そうだよな。いや、言い方が悪かったよ。お前にも誰の助手になるのか選択権があるなと思ったんだよ。それで、そう聞いただけだ。俺は、お前に助手をして欲しいからな。お前がグレンジャーの方が良いって今更言っても、譲らないぞと言いたかったんだよ」


 悪い悪いと言いながら頭をまたガシガシされた。

「師匠 ? 」

「ああ、助手だけど弟子として取ることにしたんだ」

 首を傾げる先生方に、師匠が笑って答えていた。


 その後、遅くなったお昼ご飯を食べた。それからソルの姿から制服姿に戻って寮に荷物を取りに行った。寮にはまだ誰も帰ってはいなかった。元義姉も男爵家に戻っているという話を寮監さんから聞いた。呼び出しがあったそうだ。直ぐに動かず、今日になって漸く帰ったんだよ、と話してくれた。


すれ違いになったのは、ちょっとラッキーだったかも。荷物をまとめて、師匠の研究室まで持って行って、ソルの姿に戻って新しい部屋に持って行こうと思っていたから、変なところで遭遇したら不味いなあと思っていたからだ。




仕事するスペースも必要だろうと言うことで、研究室の続き部屋になっている資料室に机を貰っている。貰ったときは、ちょっと感動した。


資料室に置いてある本については、時間があるときには自由に読んで良いと言われている。知らない魔法陣の本などが沢山あって、楽しみだ。

さっき借りた冊子を机の卓上本棚に仕舞う。新しいノートも買ってこないと。


 ソルの姿は、隠蔽ではなく道具を使うことにした。眼はコンタクトレンズのような物で色を変え、顔貌についてはイヤーカフの魔導具を使って雰囲気を変えて男っぽくした。年齢も少し上に見えるようにしてある。


身長は底上げ靴を使った。声はチョーカーのような魔導具で調整。髪はバッサリと切って染料で薄茶に染めた。助手のソル(男)の出来上がりだ。胸は一応、サラシで巻いた。


「いや、大丈夫だよ、そのまんまでも」

 と師匠に言われて、思わずド突いたけど。まだ子供だからいいんだよ。そのうちでっかくなって、師匠を慌てさせてやる。


髪の毛については、随分と伸びていた。バッサリ切ったその姿に、師匠には引かれてしまった。


「お前、いくら男装するからって、女の髪は大事だろう。そんなバッサリ切っちゃうなんて。それにギザギザじゃないか。ちょっとこっちへ来い」


 ブツブツ文句を言いながらも、綺麗に切りそろえてくれた。冒険者時代に同じパーティの人とかにも、散髪したんだとか。

本人にしてみれば、頭がとっても軽くなって気分が良い。なんで、あんなに伸ばしてたんだろうと思ったほどだ。ま、長い髪は利用価値も高い。試してみたかったこともあるから、丁度良い。


そうだ、貴族令嬢でなくなったから、言葉遣いも気をつけなくて良くなったんだ。そう気が付いたら、気分も軽くなった。


 助手の件について、ルフィ様らには話そうかどうしようかは悩んだんだ。でも、元義姉や攻略対象者‘ズ(トラブルのもと)が卒業するまでは、秘密にしておこうと思う。


先日の元義姉をみていると、私が師匠の弟子兼助手になったのがバレたら、彼女がどう出るかがわからない。ちょっと怖い。ああ、男爵様にも内緒にしておかないと。王都を出て、別の場所で冒険者になると伝えておこう。

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