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「ゲーム」の思惑にはのりません。ヒロインは静かに生きたい  作者: 桃田


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第24話 隠れキャラ登場?

 3年生になり、いくつか新しい授業が組み入れられる。

その一つが『魔方陣学』だ。清浄の魔方陣符ぐらいしか使ったことがないので、とても楽しみだ。


アンが言ってたけど、メイドや侍女なんかは割と魔方陣符を使うことが多いんだって。部屋の掃除や灯り、温度調整とか色々とあるらしい。魔力量が多い人ばかりではないからというのもあると言っていた。アンは魔力量が多めだったので、あまり魔方陣符を使っていなかったから、他の魔方陣符を見せて貰えなかった。

魔方陣符は冒険者ギルドなどで売っているんだそうだ。冒険者の魔法使いとかのよいお小遣い稼ぎになっているとか。魔方陣符の作成は訓練になるので、若手の魔法使いにとっては鍛錬にも良いのだとギルドで聞いた。


授業では魔方陣符の理論と作り方まで教えてもらえるという話だ。自分で作れるようになる、なんて素敵な響きだ。今後のお小遣い稼ぎの一つになるかもしれないから、気合いを入れよう。


 さて、最初の授業が始まる。ワクワクしながら待っていると、先生が入ってきた。杖をついて入ってきたその人の顔を見て、あまりの衝撃にしばし呆然として、その後の記憶がしばらく無い。

「君たちの魔方陣学を担当するマリウス・アルビノエスだ」


入ってきた先生がマリウスさんだったのだ。なんで ???


頭の中がパニックを起こし、漸く落ち着いてきた頃には、授業は半分ぐらい終わっていた。皆、熱心にノートを取っているのに気がついた。慌てて、残りの分に関してはノートをとるが、最初に説明された部分が判らない。後で、誰かにノートを見せて貰えるだろうか。


授業の最後に一人ずつ今日の授業内容について質問された。皆がスラスラ答える中、私への質問は、殆ど話が頭に入ってこなかった最初の部分が中心に問われた。


これは、呆けていたのが判っちゃったんだろうな。そのため、しどろもどろになり何も答えられなかった。ひたっと睨まれてしまった。

「放課後、研究室に来なさい。皆に次の講義には課題をだすので、その資料を取りに来なさい」

 冷たく、そう言いつけられた。



放課後、かなり緊張しながらマリウスさんの研究室へと向かった。ルフィ様やミリア様なんかにも具合でも悪いのではないかと心配を掛けてしまったが、

「いえ、ちょっと考え事をしてしまって。大丈夫です。授業に集中できていなかったので仕方ないかと。次の授業からは気をつけます」


 失敗した。私が何故、呆けたのか判らなかっただろうから、マリウスさんのソフィリアという生徒への第一印象は最悪だろう。

次の授業からは、挽回しないと。下手な言い訳をしてはいけない。取り敢えず、まず謝ろう。深呼吸一つ意を決して、研究室のドアをノックした。


「入りたまえ」

 研究室の奥の机で何か作業をしていたのだろうか、椅子に座ったまま、こちらへ向いた厳しい顔のマリウスさんがそこにいた。

研究室に入っり、扉を閉める。

「今日は、申しわけありませんでした」

 頭を下げて、まず謝った。


それをうけてマリウスさんが言った台詞が、

「ソル。お前、なんで女装してこんなとこにいるんだ」

 そう言って、軽く睨みつけられた。ソル、え、何、何でばれてるの? 

ここでも、しばし呆けたのは仕方がないよね。


漸く、頭を再起動させた。

「えー、なんでわかったんですか」

 思わず、お嬢様言葉を忘れて驚いて尋ねると


「まだ、そういう事は習っていないのか。熟練した魔法使いとかにはな、相手の魔力が見える奴がいるんだ。俺は魔法がメインじゃ無いが、人の識別がつくぐらいには魔力が見える。俺には人によって魔力の色や形が違うように認識できる。

それに鼻も良いんで、匂いでもわかる。俺は、それで個体識別してるだ。

魔法をある程度扱える人間は、全員ではないが何らかの方法で個体識別する奴はいるぞ。主に魔力からだけどな。だから、普段は魔力がもれないようにしている連中もいる。極力識別されないようにな。

お前、只でさえ魔力量が多いけど、ダダ漏れだ。判らない方がおかしいぞ。もう少し、押さえる方法を学べ。

お前がいいとこの子供だっていうのはわかっていたが、貴族だったんだな。

それとも貴族を謀っているのか?それは、この学園だから無理か。 なんで女装なんてしてるんだ」


「えーと、女装じゃなくて冒険者ギルドで男装してたんです。私の性別は、正式には女です」

頭をポリポリ掻きながら、説明した。


マリウスさんの口が大きく開いた。そこまで驚かなくともよくない。

なんかちょっと、いやだいぶ腹ただしい。女には一切見えてなかったって事かい。いや、男に見せかけてたんだから、それで良いんだけど。


いや、女装ってなんだよ。普通はさ、「お前、女の子だったのか」の方じゃないのかよ。なんだろう、無性に腹が立つ。


落ち着け、私。魔力は見えても、性別はわかんなかったって事だよね。でもさ、驚きすぎじゃない ! そこまで驚くような事なの ! 待て、冷静になろう。はい、深呼吸。


「いや、ギルドで会っていたときの態度は、どうみても女の子じゃないだろ」

 小声でブツブツ言っているけど。悪かったなあ、貴族令嬢らしくなくて。


それから、驚いているマリウスさんに、自分の置かれている立場について簡単に説明した。


平民から男爵家に入ったこと。優秀な義姉がいるし、どちらにせよ将来は家をでることになるから、冒険者を目指そうと思ったこと。


女の子の姿だと舐められると思って、男の子の姿で登録して仕事をしていること。因みに義姉は、上の学年で1組に所属していること。


「ああ、そう言えば4年生に、お前と同じ家名の生徒がいたな」

 マリウスさんは、顎に手をやり少し考えるようにしてそう呟いた。


自分の話を一通りしてから、マリウスさんのことについて尋ねた。


「長期休暇の度にギルドには行ってたんですよ。全然会えませんでしたね。なんか間が悪いのかなと思ってました。

でもなんで、学校の先生をやってるんですか。こんな依頼もあるんですか ? それとも、冒険者と兼業でやっているですか。確か魔方陣の授業は1、2組だけですものね」


 マリウスさんはふっと息を吐いて、笑った。

「ああ。依頼でしくじってな」

 ぽんと座っている左足を軽く叩いた。


「左足を持ってかれた。これ、義足なんだわ。で、冒険者は引退だ。伝手で、ここの教職を紹介されたんだ。今までは学園長先生がこの授業を持っていたんだが、今年から俺が担当することになったんだ」


 笑っているけど、笑ってるけど。

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