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「ゲーム」の思惑にはのりません。ヒロインは静かに生きたい  作者: 桃田


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第17話 夏のお仕事

 男爵様から銀行があるのを教わった。貸金庫とかもあるそうだけど、物品で預けるようなものはない。今まで、貯めていたお金を銀行へ預けても良いかも。衣食住にお金を回さなくても良いからね。貯金が貯まる、チャリン、チャリン♪


 ギルドの仕事は、清浄を使って、色んな所の清掃も引き続き引き受けてた。勿論、それだけではない。外に行く薬草の採取なども当然行きます。仕事は幅広く請け負います。魔物の討伐とか遠くに行く依頼、泊まりがあるような依頼は無理だけどね。鉄級だから、それほど大変な仕事は基本的にはない。


 男爵様との夕食は、その日の出来事とか、学園での話とか色々と話をしている。

「生活魔法の清掃が上手だと褒められ、清浄までできるようになりました。今度、よかったら、屋敷の清浄もやらせてください」

 王都では、年に一度大掃除を行うのが慣例になっている。日本の年末大掃除と同じだね。その時には屋敷には清浄をかけるのだ。今まではギルドから魔法使いを呼んで、清浄をかけて貰っている。貴族のお屋敷は色々と溜まりやすいと聞くから、それでかしら。


「それは、難しいね。毎年同じ魔法使いの方にお願いをしているからね。彼等もそうした仕事で活計を得ているのだよ。それに、何かあったときにそうした魔法使いの方にお願いすることもあるから、縁は大事にしなければいけないんだ」


 と言われた。まあ、そういうものかもしれない、ということで家を丸ごと清浄するというのは諦めた。ギルドの仕事だけでも十分か。魔法、沢山使ってみたい。


男爵様とは魔法の話はできるけど、ギルドの話は出来ない。でも、誰かにしたい、依頼の話を。守秘義務があるような依頼は受けてないし。でも、話す相手がいない。アンはちょっと口が軽いから、やたらな話は出来ない。



 ある日、薬草採取に出掛けた時のことだ。薬草に関してかなり珍しい種類の群生地を見つけた。クワイレーレとかいう名前の植物だ。森の中の道からそんなに離れていない場所なんだけど、今まで気がつかなかった。


学園で習っている薬草学の本に載っていた植物で、なんか特殊な薬に使われるとか。あまり知られていない植物のようだ。鑑定でもそれに間違いなし、と太鼓判を押された。薬草の生えている場所を地図に落とし、周りの環境についてできるだけ詳しくメモを取った。同じような場所があれば、この薬草が生えているかもしれないからちゃんと控えておく。これはマリウスさんに習った。


 その日は薬草を何種類か採取してギルドに持っていったら、状態がとても良いとミリィさんに褒められた。マリウスさんの教えのおかげです、ありがとうございます。


「あら、これは」

 採取してきたクワイレーレを見るとミリィさんの顔つきが変わった。ちょっと考え込んでから、それ以外の薬草の清算を先にしてくれた。


「ちょっと待っててくれるかしら」

 奥に行くと、何やら他の人と話をして

「少し、時間を貰えるかしら。付き合って欲しいところがあるの」

 残ったクワイレーレを取りまとめて袋に入れると手を引かれて外へ出た。


 どうにもその薬草がちょっと特殊な物だったらしく、ミリィさんに薬師ギルドに連れて行かれた。その薬草が使われるのは、普通の薬ではなく魔法薬と呼ばれる魔法を組み入れたかなり特殊な薬で使われるものだったらしい。魔法薬は、病気に効くというよりも、魔物を狩る時に、それを幻惑させたり、麻痺させたりする為の薬なんだそうだ。あとは、魔力を回復させる物とか、人用の魔法薬もあるそうだ。


私が見つけた薬草は、探知能力を一時的に上げる魔法薬の材料として使われるそうだ。かなり希少な魔法薬で、下手にその薬が出来そうだという話になると、冒険者ギルドで騒動になりかねないと言われた。それで、ミリィさんと一緒に薬師ギルドに行くことになったようだ。


「これは、もう少し手に入るだろうか」

 薬師ギルドで対応してくれた人にそう聞かれた。

「これが生えていた場所で取り尽くしてはいません。ですが、取り尽くすと終わりになってしまうと思います。ただ、これが生えていた場所と同じような場所を探してみます。もし、見つかればまた採取してきます」

「その時は、ここに直接持ってきてくれるかい。それから、」


 幾つか、同じような場所に生えていると言われている薬草についても教えて貰った。もし、一緒に見つかれば採取して欲しいと。どのような採取の仕方が良いのかを聞く。

「そんなことを聞いてくる冒険者は珍しいね。そういう点を気にしてくれるのはこちらとしても有り難い」


 と喜んで教えてくれた。また、後出しになるが、見つけて持ってきて貰えれば、冒険者ギルドに依頼を出してそれを引き受けた形にしてくれると言ってくれた。


「鉄級には指名依頼はないので、そういう方法を取るのよ。そういうやり方もあるから、大丈夫よ」

 ミリィさんも口添えしてくれた。

「できれば、薬草採取の方に時間を使ってくれると嬉しいわ」


 何日かかけて同じような環境条件の場所を探し当て、運良く何カ所かその薬草が生えている場所を見つけた。それから、一緒にあるかもしれないという薬草も何種類か見つけた。でも、同じ場所には無かったな。どうして同じ場所にあるって、認識されていたんだろう。どんな場所にあったのか、それぞれの場所のデータを取っておいたから、あとでまとめておこう。


 それらを採集して薬師ギルドに持って行く。

「いや、話は持ちかけたけど期待はそれほどしていなかったんだ。ちゃんと勉強すれば、薬草採取専門でも食べていけるようになるよ」

 と褒められた上に、礼金も多めに上乗せしてくれた。それから珍しい薬草だけでなく、薬草全般についてはこちらに直接持ってきてくれて構わないとも言われた。その時も、後出しの依頼という形を取ってくれると約束までしてくれた。


「君の採取してきた植物は、いずれも状態が非常に良い。他のと一緒にしてしまうのは、勿体ないからね」

 それから、薬草の下処理の仕方なども教えてくれた。今度は、その下処理をし易い形、もしくは下処理した状態で納品したら喜ばれるかも知れないなと、思った。だけど、今は学校に通っているので夏季休暇の間だけ仕事をしているというと、非常に残念そうにされた。『薬草図鑑』を一冊くれた。色々と書き込みがしてある。


「もし良かったら、これを参考にしてくれ。今後も期待しているよ」


 この夏季休暇は、薬草採取の仕事で大変潤いました。薬師ギルドに足繁く通うことになったけれど、冒険者ギルドにも毎日顔を出していた。残念ながら、マリウスさんの姿を見ることは無かった。何かまた長期の仕事を請け負っているのだろうか。

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