決 戦 -Final battle-
【 狼炎 視点 】
※展開が速いので注意してください
※基本一人称で書いてあります
※突然、加筆修正いたしますのでご了承ください
俺の目の前で突然悪夢が広がった
勝利が目の前だったはずだ。
けれど
俺の目の前には炎を纏い残骸と化した十三体の星将と二体の地星将。
本当に一瞬のことだった。
その白く輝く機体が戦場に降臨した直後。
圧倒的な速度と力で巨兵機の操縦席が無残にも押しつぶされて行った。
操縦者が脱出する間もなく巨兵機は沈黙していった。
この時俺は、その神々しくも禍々しい白い機体に魅入られ動けなくなっていた。
怖いくらいに、美しい白い巨兵機。
いや、あれはただの巨兵機ではない。
地魁星が、俺の脳に俺の知りたい情報を直接を送り込んでくる。
天翔族に伝わる最強の天星将 天魁星
その残酷な起動条件故に禁忌の機体として封印されていたはずの最強にして最悪の天星将。
俺がそう思考している僅かな間だった。
たった、それだけの間に俺以外の残っていた地星将までもが地に倒れ伏していた。
全ての情報を受け取る前に外部で起こった爆発で、地魁星との情報の接続が切れた。
我に返り、気がつけば今、この戦場に立っているのは俺の地魁星と目の前の天魁星のみ。
俺は今まで、地魁星の操縦者として操者として戦場に立ちただ一度も戦慄したことなど無かった。
それが、どうだ
今、俺は目の前に立つ白い機体に恐怖を覚え操縦桿を握る手の震えが止まらない。
喉が異常に渇き、冷や汗が頬を伝う。
どのくらい対峙していたのだろうか。
時間にして数分だったような 一瞬だったような。
気付けば 天魁星の動きが止まっていた。
- 狼炎?
その声は唐突だった。
こんな戦場で聞くはずもない彼女の声。
ー ユウ?
反射的に呼んだ生涯の伴侶にと望んだ、愛する彼女の名。
あの時目の前で、天翔族に攫われたはずの彼女の声がこんな所で聞こえるはずがない。
聞こえるはずがないのに。
聞こえてくる。
声なき声。
電脳空間に響き渡る、彼女の悲鳴。
ユウ、何故?
何故お前がそこにいる?
何故?!
何故、敵の天魁星の操縦席に居る?!
!!
嫌な予感が脳裏をかすめた。
まさか!
まさか天翔族、彼女を動力源にしやがったのか!?
聞こえてくるのは、助けを求める身を引き裂かれる様な、悲痛な叫び声。
胸を締め付けられるほど悲壮な声で俺に助けを求める声。
その助けを求める声と裏腹にいきなり攻撃を仕掛けてくる天魁星。
間一髪で交わし致命傷は避けたが左腕を持っていかれた。
目にもとまらないほど速い天魁星の攻撃。
地魁星での運動性能、反射性能でなければとても交わせるものではない。
俺は、地魁星を半自動操縦に切り替えた。
積極的に攻撃は出来ないが防御するには耐えられるだろう。
それに、攻撃されれば反射的によけ、タイミングが合えばカウンターを仕掛けるだろう。
その間に俺は、天魁星に外部から回路侵入するために意識を電脳空間に侵入させる。
入った瞬間、俺以外にも外部から侵入している形跡を見つけた。
外部接続された部分は防御壁回路外だった為、怒りにまかせて問答無用で強制切断させる。
外聞接続していた奴は、強制切断されてただではすまないはずだが、知ったことない。
ユウの味わった苦しみを少しでも味わいやがれ!
と、そう思った瞬間、ものすごい衝撃で一気に電脳空間から締め出された。
意識を現実に戻すと、操縦席の周辺はショートし火花が散っていた。
どうやら操縦席を保護する装甲に打撃を受けたようだ。
流石に天魁星も地魁星の装甲を一撃で破壊出来なかったようだ。
幸い俺自身に大した怪我はない。
あっても衝撃の時掛けた内壁の欠片で出来た切り傷だけだ。
外部映像を見ると天魁星の装甲が大きく歪んで火花を散らせているのが見えた。
ピクリとも動かなくなった天魁星。
血の気が引いた。
俺は焦った。
焦りつつももう一度、電脳空間に意識を侵入させる。
今度は、悠と天魁星との接続を外部から強制切断するために。
そのためには、厳重な防御壁回路を攻略していかなければならない。
今の天魁星の状態を見ると一刻の猶予もない。
早くしなければ色んな意味で悠の命が危ない。
待っていろ、ユウ!
俺が必ず、助けるから!!
【注 意】この先の展開が二分岐されています
⇒ハッピーエンドを希望する方はこのまま次話のお進みください
⇒アンハッッピーエンドを希望される方次話を飛ばしてください