表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ごっどぶれすゆー  作者: 宮城 英詞
天神様の嫌いなお祭り

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/40

天神様の嫌いなお祭り その7

「……じゃぁ、一体誰が……?」

 目を丸くし、首をかしげる俺たちを天神様は一転して今度はあざ笑うかのような顔で見返す。

 そして彼は、またパソコンのディスプレイを自分に向け操作し始めた。

「……これやから、新し物好きは困るんや。夢中になってるうちは、そのものの危険な事に気付こうともせん。……ほんなら見せてあげまひょ。コレが商品が売れなくなった原因や!」

 そう言ってまたこちらにディスプレイを向ける天神様。そこに映し出されたものに俺は目を通し……。

 ――。

 ……あちゃぁ。

 それは、先ほどと同じようなインターネット上のスレだった。中には先ほどと同じような罵詈雑言、悪口の数々が書き連ねられている。

だが、先ほどと違うのはその対象が、我々のような電気街で扱っている電化製品や、店に対するものであったと言う事である。そしてそれは、最近起こっていた、奇怪な売り上げ現象とがっちりと一致していた。

さすがに明石さんもしばらく内容を読みその事に気付いたらしい。やがて彼女はパソコンのマウスを握り締めながら、わなわなと震えだした。

「……なんやこれ!売れなくなった商品の悪口が目白押しやないか!ああ、これも!これも!こないな穢れた言霊をあっちゃこっちゃに……!」

「……これは、その、レビューですよ。」

「レビューやて?」

「商品を実際使った人の感想を書いて、新しく買う人の参考にするサイト……です。」

果てしなく嫌な予感がしながら、ひとまず俺は建前の趣旨を明石さんに説明した。だが明らかにこのサイトは、商品に対する怨嗟や、怨念が吹き黙っている。

それはどう考えても、明石さんのような神が見て面白がるサイトではなかった。

「せやけどここに書かれてるのは嘘っぱちばっかりやないか!この商品、こんな悪意に満ちたもんや無いで!しかも、商品関係ない会社の悪口ばっかり言うとる奴もおる。」

 そう言って反論する明石さんに俺は本気で返答に窮した。

 まずい、

実にまずい。

確かに、私怨がこもれば、人間あること無いこと言いがちである。それが匿名性の高い掲示板で、さらにからかい半分の人間が加わればなおのことだ。繰り返すようだが、こんな「感情」や悪意に満ちた言霊を神は好む筈がない。

……いや、それ以前に何しろ明石さんの仕事にもろに影響してるのがどうにもならない。

ここまであることないこと書かれて挙句自分の仕事の邪魔までされれは人間だって平静でいられないだろう。特に、明石さんのように短気な人……じゃなかった、神ならなおのことだ。

俺は必死に、慎重に言葉を選んでこの事象を解説しようと試みた。

「……ええっとですね。その、商品を使ってたまたま不幸に合った人が、その思いのたけを書いているというか……。まぁ、その人の主観が入っているだけで、決して嘘じゃないですよ。」

 しどろもどろになりながら何とか弁明して見せる俺、だが、さすがに神の目は誤魔化せそうになかった。彼女はディスプレイをじっと見つめ、しばし文章を吟味すると、険しい顔で首を横に振る。

「……いや、もうこれ書いてある内容がほとんど商品関係となしやん。やれ、どっかの国から金をもらっとるだの、社長や社員が悪い奴だの。こいつら悪口を書き込むのが目的になったるやないか。」

「……まぁ、確かに。」

 そう言われるとぐうの音も出ない、確かにこの「場」は完全に炎上状態。なにか政治的信条や個人的感情、怪しげな噂まで盛り込んで、たぶん商品を使っていないであろう人間の書き込みと思われるものが大半である。ひとまず企業と商品のイメージを悪くする方向性の一致点しか見られない。被害にあった会社も気づいていないのか匙を投げたのか対応している素振りすらない。

 「これはな、明石はん。きっと販売員やメーカーの人間が書き込んでるんや。ライバルや、売れて欲しくない商品を蹴落とすために。えらい醜いことしてるやろ?」

 そう言うと、天神様は扇子の向こうで、こちらの無知をあざ笑うかのようかの表情を向けた。

 本当かウソか確かめようもないが確かに、生き馬の目を抜くのこの業界ではこれくらいの事をする人間などざらに居るのだろう。いたし方のないこととはいえ、確かに醜いと言われれば反論の余地はあろうはずもない。俺は、天神様にその事実を突きつけられ、言葉を失った。

 そして明石さんは……。

 ……。

 ……あれ?

 俺が彼女の方を見ると、明石さんはいつの間にか一心不乱にパソコンにしがみつき、何か掲示板に書き込もうとしている。

それが掲示板に対する反論の書き込みと気付き、俺は慌てて明石さんをパソコンから引き剥がした。

「ちょっと!何やってるんですか!明石さん!」

「決まってるやろ!ここに反論書いてこいつらの間違いを正したるんや!」

「そんな事やったら逆効果だってつい今しがた言ったじゃないですか!」

「アホ!神かて感情の生き物やぞ!こんな事書かれて黙ってられるか!大体こんな嘘だらけのサイト、世の中に穢れをばら撒いてるだけやないか!」

「だからって、真正面から説得したって聞くような相手じゃないですよ!向こうはからかうのが目的なんですから!」

「この世に悪の栄えたためしはないわ!神をなめとったらどないなるか、こいつらにガツンと言わしたる!」

 ダメだ、ネット社会において最も陥ってはならない精神的サイクルに入っている!

 俺は神が我を忘れるという最悪の事態にどうして良いかわからず。ただ、明石さんを押さえ込むしかできない。

 慌てて助けを求めようとした俺だったが、そんな俺の姿を天神様は、あざ笑うように見ていた。


ネットで悪口描いたなら

神様みんな怒り出す。

頭を冷やせと言ったとて

神はそれでは収まぬ

お稲荷さんを怒らせる

天神様は何がしたい?

その行動の真相は?

それは次回のお楽しみ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ