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ごっどぶれすゆー  作者: 宮城 英詞
天神様の嫌いなお祭り

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22/40

天神様の嫌いなお祭り その1

  神はこの世を六日間で創り給うた

そして、第七日目には、二日酔いを与え給うた。

――R・キャパ


 9月。未だ残暑厳しいこの時期になっても、俺は懲りることもなく、やはり神々の下で仕事を続けていた。

夏からつい最近まではあちこちで祭りなどの行事が目白押しで、非常に忙しかったのだが、ボチボチそれも一段落。ちらほらと秋祭りはあるものの、あの世からやってくる先祖霊様たちの相手に走り回っていたお盆の前後から比べれば、現在は実にのどかな時期であった。

 そして今日も今日とて、俺は事務所のパソコンを操作し、神々の仕事を手助けする。本日も、出勤するなり立ち上げたパソコンに届いたメールに、隣の席の小さな神に声を掛けた。

「南さん。「秋葉神社」ってとこからメール着ていますよ。」

「あ、本当ですか?」

 手助けと言っても、神々も使い方を覚えた今、最近の俺の仕事はほとんどパソコンの増設やメンテナンスが主となっていた。

南さんもメールで他の神々との交流を行うようになり、最近は時折彼女宛に見知らぬ神様からメールが届く。

どうも、IT化しているのはウチだけではないようである。

これも時代の流れか。

俺は南さんが鼻歌交じりにメールを見る姿を感慨深く眺めていた。

「秋葉神社って、ひょっとして東京の秋葉原ですか?」

「はい、元は火除け地に建てられた防災祈願の神社で、あの一体の地名の由来になっているんです。この間のお祭りのときにアドレスを交換したんですよ。」

「お祭り?……ああ、そういえばお盆のとき南さん、出張していましたね。」

「はい。有明でお祭りがあるので、私は最近いつもそっちに行っているんです。3日間で10万人近くも集まるすごいお祭りなんですよ。」

「へぇ。どんなお祭りなんですか?」

「そうですねぇ、みんなで、自分で作った本を売ったり買ったり、あと仮装したり……。」

「……変わったお祭りですね……。」

 が、しかし、この仕事を始めて早六ヶ月。正直、未だ神々の世界は、謎だらけだ。

そういった意味では、いかに道具が使えるからといっても、この仕事で俺はいまだ修行中と言ったほうがいいだろう。

 ……もっとも、周りに居るのは数百年以上生きているような神々ばかりなわけで、彼らに追いつけることなど俺の存命中に可能とはとても思えないが……。

「あの一体は今や関東では有数の電気街やからな。関西有数の電気街の管理をしているうちらとしては、お互いに情報交換をして参考にしようと、まぁこういうわけやな。」

 そう俺たちの背後で言ったのは明石さんだった。彼女も最近はパソコンの使い方にすっかり慣れ、掲示板を使用してこの近辺の家電関係の神々と独特のつながりを形成しつつある。一度機械になじんでしまえば、さすがは福の神。商売に関するやり取りや人脈作りは彼女にとっては簡単なことのようであった。

 ちなみに残る与根倉さんはというと……。

 ……実のところ何をやっているのか俺もよくわからない。

 自分でスマホを買ってきて、「縁結び」と称してなにやらサイトを見て回っているようだが……。

……まぁ、俺に使い方を聴きに来ることが無いので、あの手の道具を使いこなしている事には間違いないようである。

 スマホに向かっているときの彼女は独り言が多いので、彼女に関しては通信中は話かけないのが現在、事務所内での暗黙の了解となっている。

 神でも人間でも、犯してはならない自分の世界がある……と、思うようにしている。

 そして、そんな日常の中、その騒動は幕を開けた。

「……ところでパソ神さん知らへん?朝から姿が見えへんねんけど。」

「あ、遊園地のスサノオ様にパソコンの使い方を教えに行っていますよ。」

「ああ、またかいな……。ま、好奇心旺盛な神さんやからなぁ。いまや立派なネットジャンキーやなぁ。」

「……普段はやること無いですしねぇ。神様って。」

 俺がこの事務所に雇われてからの数ヶ月間で、この近辺の神々のIT化も確実に進んでいた。特にパソ神様はこの一帯で扱われている商品の九十九神の代表としてあちこちでパソコンとの付き合い方を講釈して回っている。

怪しげな警句を挨拶代わりに唱える事を省けば、まぁ彼は彼なりにその役目を果たしていると言えるだろう。おかげでこの近辺ではここ数ヶ月で、インターネットやパソコンに関する理解が急速に進みつつあった。

 しかしまぁ、それでも仕事が絶えないのが、この業界の辛いところ。

 いかに情報伝達や作業の効率化が図られたとはいえ、人の感情と神々のわがままは尽きる事はない。

あいも変わらず、俺の上司、明石さんはそんな課題に頭を悩ませていた。

「う~ん……。そうか、この近辺でまた急に売れんくなった商品があるって言うからちょっと一緒に来て欲しかったんやけどなぁ。」

 彼女はそういうと少し曇った顔で腕を組む。聞きなれた話に俺は、

「またですか。」

 と同じく眉をしかめる。

 ここ数ヶ月で俺も始めて知ったことであるが、どうも一部、彼ら神々の「ご利益」が通じないような出来事がちらほら起きているらしい。

 具体例を挙げるなら日ごろの素行の悪い人間が大金を手にしたり、心のこもった商品でもちっとも売れなかったりといったレベルの話であるが、それは彼らにとっては随分と不気味なことであるらしい。霊的な能力はさっぱり無い俺には理解できないが、彼らはその対処に日々追われているのであった。

 さらに不可解なことに、ここ数ヶ月で、その件数は急激に増えつつある。

俺がこの仕事を始めてから数えても、彼ら神々ですら原因がはっきり理解できないトラブルが目に見えて増えていた。最初は夏場の風物詩のようなものかと思っていたが、気候が徐々に涼しくなった今でも、それが途切れるどころか急増しつつある。

 最近、仕事の話とくれば大抵はこの類の話で、さすがの神々も最近眉間にしわを寄せることが多くなったようである。

 今回の件も、それに類するものであった。


みんながパソコン使いだし。

無事、回りだしたお仕事だけど、

なぜだか増える厄介ごとに

今度はどうする榊君

さて新章のご依頼事は?

続きは次回のお楽しみ。


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