花
ノゴーンは街中を歩いていた。
ツェツェグの町で花屋を営んでいるノゴーンは売るための花を摘むために花畑に向かっていた。
「この時期はオクルリヒゴタイが綺麗だな」
オクルリヒゴタイというのは濃い紫色の筒状の花である。ツェツェグの町の人から大変愛されている。
「売れてくれると良いなぁ」
ノゴーンは貧困であるため花を売ってなんとか食い繋いでいた。
しばらくしてオクルリヒゴタイの花畑がある場所に着いたが
「うそ...だろ...」
ノゴーンは頭の中が白く溶けるような衝撃を受けた。咲いているはずのオクルリヒゴタイが枯れていたのだ。
「なぜだ!!」
ノゴーンは怒り狂った。それと同時にこれからの生活の不安を覚えた。ノゴーンは花を売らなければ生きていくことが困難だと考えていた。
「ん...これは...」
ノゴーンは枯れたオクルリヒゴタイの隙間に綺麗な一本の赤い花を見つけた。ノゴーンはその赤い花を手に取ってじっくりと見て
「美しいオクルリヒゴタイだ...なぜだ?突然変異でもしたのだろうか」
ノゴーンはあるはずのない赤いオクルリヒゴタイを見て奇妙に思った。
「こんな珍しい花、高値で売れるぞ!」
ノゴーンは赤いオクルリヒゴタイを持ち帰って売ろうと考えた。しかし
「やめよう...この花は花畑の守り神かもしれぬ」
ノゴーンは一瞬金に目を眩んだがそれよりも花畑を守ってくれる神だと考えて摘むことを諦めて帰ることにした。
「これからどうしよう...」
ノゴーンは花畑の守り神を摘むのをやめたが金がないため生活は苦しいままである。