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チャッとうさん

作者: グリーンT

おとうさんが病気で入院して1ヶ月が経った。


どうしてるかすごく心配で、何度もおかあさんと2人の妹と、4人で病院にお見舞いに行った。

しかし、おとうさんには会えなかった。


去年の年末にとつぜん発生した、新型の肺炎ウイルスの影響で、

おとうさんは感染症専門の病院に隔離された。


一度隔離されると、2回のウイルス検査で陰性にならない限り、外に出ることは出来ない。

また、感染症の対策の都合上、直接の面会は許されず、

ガラス越しに数分程度、家族1人のみが会うことを許された。


おかあさん会うことになった。



更に1ヶ月後。

おとうさんはまだ帰ってこない。

ぼくはさみしかった。

その時、おかあさんがスマホを出してきた。



「・・・・・え? おとうさん?」


『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・おお。アヲか。元気にしてた?』


「うん。」



『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・おれんと緑は?』



「元気にしてたよ。」




『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・そうか。よかったな。』




「おとうさんは? どうなの?

だいじょうぶなの?」



『・・・・・だいじょうぶだよ。』



「ほんとうに?」


『大丈夫。心配いらない。』




「そう。」




おかあさんにあとで聞いたが、おとうさんは体調はよくなってきたが、

新型のウイルスの検査でまだ陰性にならないらしく、

もうしばらくの間入院するとのことだった。




それから更に3ヶ月後。

おとうさんはまだ退院できなかった。




「おとうさん。本当に大丈夫なの?」


『大丈夫だよ。』


「じゃあ、なんで退院できないの?」


『ウイルスがなかなか体から抜けないんだよ。』


「でも、他のウチのおとうさんは1ヶ月くらいで退院できたのに。。。」


『・・・ちょっと、お母さんを呼んできて。』




おかあさんが、なにやらおとうさんと相談してるようだ。


30分後、




「ちょっと、アヲ、コッチにきて。」


「なに?」



「おとうさんね、実は、ちょっとやっぱり、あまり体調がよく無いみたいなの。」



「・・・・え? だって、さっき大丈夫だって。

しかも、すごく元気そうだったよ?」



「ああ。 実はね。あれ、おとうさんじゃないの。」



「・・・・え? なに言ってるの?」



「おとうさんじゃなくて、


チャットPPP


なの。」



「え? どういうこと?」



おかあさんが言うには、

チャットPPPとは、凄くスペックの高いパソコン用のソフトウェアで、

おとうさんの顔や声、喋り方とかを専用のカメラで撮影をして、

しばらくの時間が経過すると、本物のおとうさんのような

コンピュータグラフィックが出てきて、それが、本物のおとうさんの

ような会話をするらしい。




まだ実験の段階だけど、

おとうさんの病気がなかなか治らないということで、

おとうさんの入院する病院を運営する大学の研究チームの人達と

おとうさんとお母さんが話し合って、

チャットPPPによるコミュニケーションプログラムをスタートすることになったんだとか。




「そういうわけなんで、お父さんが退院するまでの間、

このチャットPPPがお父さんだから。」




「・・・・・・本物のおとうさんは?」



「ちょっと、調子が悪いみたいだけど、

なんとか頑張ってるって。」



「・・・・そう。」



正直、わけがわからなくて、受け入れられなかったが、

しばらくして、しょうがないと思うことにした。

自分の部屋に行くと、そこには

チャットPPPになったおとうさんがいた。




『・・・・・大丈夫?』




「・・・・・大丈夫じゃないよ。なんでウソついたの?」



『おどろくと思ったから。ごめん。』



「もういいよ。」



『ほんとごめん。わるかった。』



「・・・・・・でも、本当におとうさんみたいだね。」


『まあな。』




こうして、チャットPPPになったおとうさんとの

生活がはじまった。








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