sideキャラクター 復讐の鬼
「こっちだ!」
「逃がすな!」
「ジウ、もう無理だよ……」
「キカ……」
俺達は洞窟に隠れているが見つかるのも時間の問題だろう。
両親も兄貴も俺の目の前で殺された。キカの両親の死体も見た。
俺達は森のなかでひっそりと暮らしていただけなのに、ケルフの連中は「コオニ族はこの森を汚す蛮族だ」と言って村を攻撃してきた。
ふざけるな、お前たちが無計画に木を斬り倒して森が痩せたくせに、俺達のせいにするんじゃね!!
エルフの血筋なんて言っておきながらあの様か!!
とはいえこのままでは……。
プォーン
なんだ!?
<召喚可能な個体を発見。個体名ジウ、ダンジョンマスターに召喚されますか?>
なっ!?
ここから逃げられるのか!?
<YESです>
「どうしたのジウ?」
キカがそう聞いてきた。
この声は俺にしか聞こえないのか?
声の主よ。召喚されるのは俺だけか?
<側にいる別個体も召喚してほしいのですか?>
そうだ。
<検討中……>
<はい、召喚可能です>
なら2人とも頼む!!
<召喚承諾確認。召喚シークエンス実行!!>
その瞬間、俺は意識を失った。
<召喚完了しました>
<覚醒してください、個体名ジウ。個体名キカ>
その声で俺は目を覚ました。
「こんにちは、ご両人。私が君たちを呼んだ者だ」
そこには見たこともない不思議な衣装を着た人物がいたのだった。
これが奴との出会いだった。