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障子の穴

作者: 愛煙家

マゾヒズムとは


痛みによる

興奮効果のあるドーパミンなどの脳内興奮である





そして知らずとも


眉尻から流れる血液を眺めながら

私は、恍惚と


鉄の装飾による


補間に

事後の倦怠感が切り離された自慰行為の様な、

気恥ずかしさを


子宮 脳 脳幹


どこまでを指すかは

見当もつかない全身から 感じている。


けしてパラフィリアではない


倒錯性は自身にないと思っているし

割礼など


どの程度か想像しただけで全身から

毛が剥けてしまいそうな おぞましさも感じる


ともすれば 阿部定のように


男性器を切り落としたい願望はない


とも言い切れないのが矛盾であるのか。



そんな机上論を並べているうちに


16Gのニードルが馴染んで来たようだ。


シャフトが


なじんでいるなら


14GのEXニードルに拡張しようか。

考える。





とりあえず消毒をしよう。


バスルームのコックからお湯を出し。


体にタオルを巻きつけキッチンまで塩を取りにいく



高揚した気分は塩を送りつける

武田信玄のようだ


水滴をたらしながら


塩を探す。



濡れてしまったら拭けばいい。





ピアスを空けている私に怖いものなど何もないのだ。


塩を取りバスルーに戻り

桶の中に塩を飽和するギリギリまで入れる。


そのまま全部入れてしまえばいいのだが、


それは少し勿体無い。


塩を送っても 無駄にはしてはいけないのだ。



私は、特撮ヒーローは好きではない。


町を壊しすぎなのだ。



真の英雄は民を想うべきなのだ。

身体もサイフも。


そして守銭奴英雄は


塩水をタオルに染み込ませ



眉尻に置く。





次は唇にするかな。

















去年の門松をかたずける季節に


私は 身体改造と言う物知らなかった。


イヤリングでも可愛いものはあったし。


お店で頼めば 加工もしてくれることは知っていた。




首都圏ではあるが

流行はcancanとzipper

そしてchoki2などからトレンドを追いかけているような

半ば都会にすんでいた。


大学入学と同時に

仕送りで北千住に城を構え、



そして、本当のトレンドは

街中から発信され、

数多くのブティックから


光らないトレンドを消えていく様を知り、


雑誌で取り上げられるころには賞味期限が切れる直前だと


知ったのだ。






季節と流行り廃れの移り変わりを、

板チョコの割り数ほど感じたころには、


私は、この町の先端を追いかけるほどには成長していた。



大学ではOB懇談 親睦

新歓 季節 数々の飲み会に参加し、


涙を流せば

昼夜とわず 駆けつけてくれるような

仲間が何人か出来ていた。


総てが順調に、

何事もなく、不可もなく、


他の学部との飲み会に参加したとき、私は




総てを否定され


今の私を肯定するような、



革命を起こすことになった。



其の日私は


red pepperのジーンズを履き、


それ可愛いねと言われた時に


「これ、韓国のブランドなの、一目ぼれで楽オクで買っちゃった!」


なんて台詞を用意して


髪は18ミリのロッドでトリートメントカールを掛けてもらい、


オードリーの様な、光を発するようなメイク


香水は 周りと差別するためにあえてくどい


ジャンヌアルテスのペギュシルクだ


正直私はこの香りが好きなのだ。


甘さと安っぽさ、

そしてメープルシロップを煮詰め

蜂蜜とバニラエキスで整えたような、作り物の香りが、




そして

待ってたよといわれる為に


開始10分遅れで


和民にむかったのだ。




店内に入り、時間を確認し、

走り回る店員に案内され

騒がしい喋り声と

怒号の様な音頭を聞きながら


テニスサークルご一行様

という紙が張られた襖を開けた




「おー 遅かったじゃん!こないかと想って心配したよ」




狙ったとおりだ。

手練手管を使えるようになったのだ。


そんな色目を使う男の隣に腰掛け

取りあえず モスコ頼んでいいかなと告げ


今日の面子をみわたす。


60点


90点


72点


規格外


50点


100点!



0点


顔がいいのだが、詰まらなさそうだ。

折角 お酒の席なのだから楽しそうにしろよ!


本なんか読んで、何の心算なのだろう?


僕はクールなんですとでもPRしたいのか?

そうじゃないなら漫喫でもいって来い!


ま そんなやつ何処にでもいる


私は いい男を捜す

そして 上手い具合に

流行に乗っかるだけなのだ。


男はカバンよりは

大事だが 靴よりは大事な存在ではないと

ハリウッドスターがいた。


上手い   座布団二枚だ。

いや、ここは女の子らしくクッション2つだ。というべきか。






みんなに酒が回り始め

私は、 さり気なく100点の横に席を移動した。


みんな 楽しそうですねなんて言いながら

目を細め、アンニュイか気配りを出来るのか

曖昧に仄めかし、ちらつかせ

食いつくのを待つ。


「そうだねー。みんな可愛い子ばっかりだし

テンションあがってるねー。

このまま オールの雰囲気だよ。

あ 君もね。そのジーンズにかっこいいね!

何処で買ったの? 今度、そのお店つれてってよ!」


なんて

おとこなんか簡単だ。



上手くアドレスを聞かせるために誘導していたら

100点は、トイレに立ってしまった。


あと少し、

今度はどんな会話をしようかなんて考えていたら。


視界に腕が生えてきた。


隣では0点が

欠伸をしていた。


邪魔なやつだな


だけど私はモスコとカシスオレンジのおかげで気分がいいから、

愛想を振りまいてやろうじゃないか。


「酔っ払っちゃったの?お酒弱いなんて可愛いね!」


きっとテレながら

『そうかな、可愛いなんて言われるよりカッコいいっ』…聞かないんですか?」


 え?


「え?」



「まずタメ口を使うような年か、聞かないんですか?」




なんだこいつ 生意気だ



それっきり会話はなかった。


悔しい。

思い通りにならない。


かっこつけてんのか?

カッコいいとおもってんのか?

何様のつもりだよ

マジ ふざけんな

マジでウザい。

こいつ ありえない。


こんなやつと会話する価値はない。

早くトイレから帰って来い100点!



恨みを念じながら帰りを待つ、




トイレから帰ってきたのだから

お絞りでも渡してあげるのがいいか。


…それじゃキャバクラか。

じゃ 簡潔にお帰りとでも言うべきか。


二択で迷ってるうちにいつの間にか100点が返ってきているようだった。

違う女の子の隣で。


早く帰って来いお前の居場所は私の隣だ。


目線が合うように相手を監視する


目があったらニコリと微笑んでやれば

返ってくるだろう。


監視しているうちに盗み聞きまで発展していた。






…君かわいいね。そのネックレスも可愛いよ!

何処で買ったの? 今度、そのお店つれてってよ!」








ふざけるな。


さっきは私にカッコいいって言ったじゃないか!


なんだ コピペか?!


著者めんどくさくてコピペしたんだな?!


言ってて意味わかんないけど。



くそ あんな女の何処がいいんだ

何処にでもいるじゃないか。


トウキューで指を刺せば5割の確立で

コピーが見つかるようななりのやつなんかに。


男と女がいるから

5割がMAXなんだ。


そんな平々凡々な女のけつなんか追っかてんなよ。

ニコニコ笑ってんじゃねえよ。

この腐れまんこが、たいしたなりじゃねえくせに、図に乗るな

この田舎者。


いや私もそうなんだけど、悪口としてなんだ、


「君も変わんないじゃん」




あれ 誰だ 今の声?



「平々凡々の女の尻を追っかけてる奴を追っかけてる

君は平々々凡々々じゃん」



誰だよ 


ふざけんな あんな奴と一緒にするなよ!

誰がそんなこと言ってるんだ



「そんな奴と一緒なのわかってる?」



誰だお前?


一緒じゃない、一緒じゃない



一緒なんかじゃない、あんなコピー品みたいな印象ない奴なんかと



一緒じゃない!


「君だって変わんないでしょ?

だからあいつは誰でもいいからあっちに言ってるんでしょ?」


ふざけるな

Fウサケるな

フ酒るな

ウザイ

ウざぃ

うZAぃ

キモイ

kじもい

クモイ

アリエナイ

アリえなI

あRいえNAい!!!



「あんた ふざけるな ウザイ キモイ ありえないって

 そこらの奴と何も言ってることかわんないじゃん。

激昂したって変わんないんだから みんな 明日になったら


君の顔を忘れて


翌日には声を忘れて


翌日には服を忘れて


翌日には存在を忘れて


翌日には忘れたことも忘れるよ。


それと終電だから僕は帰るね。」






そして


呆然としていると


二次会をすることになり。


0点はいなくなっていた。












其の日から私は緩やかに速やかに

迅速に可及的速やかに、



自壊してた。




私は 


私の


私で


私を


私について、


私であって


私を行使するには

私が必要で、

私を必要なのは、

私だけれども、


私は私でなくて、


私を探しているけれど

探してる私も

私なのだと

私は知っていて


それでも私は

私でないことも知っているが、


私は


私も


私で在る事も

私の様に知っていて


しかし私の中で


私と


私は


私として


私が認識できなくて、



結局私は、

私が繰り返す


私と


私について


私自身で考えることを堂々巡りで


私はそれをいたちごっこと、


私が気づいて私わたしワタシワタシWATASIわタシワタしWAたしワタシWATAしワタシわたしワタシWATAし

私わたしワタシワタシWATASIわタシワタしWAたしワタシWATAしワタシわたしワタシWATAし

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私わたしワタシワタシWATASIわタシワタしWAたしワタシWATAしワタシわたしワタシWATAし



ワタシが!私が!わたし!












わたしはゲシュタルト崩壊を起こしていた


世界は簡単に壊れ

流行も簡単に壊れていくこと

そして流行をまとったものを


壊していくことを


この町で知った



109も

竹下も


いく気がしない

私がもういるのだから。



そして


スウェットで

学校も行かず一人で部屋に閉じこもりコンビニとビデオショップしかいかず


私の世界を守っていた。



あの時あの子を見かけるための試験だったのかもしれない






世界はビデオショップで

7日もかけず

一瞬で


アップデートとアンインストール

と多少のリカバリー


を加え構築された。





そして一瞬で世界はまた私を乗せて回りだした。







其の日ビデオショップにはにきび面の店員と


見慣れないギターケースをもった少女がいた。



あれは cancanなどに載っている

スウェード系のパープルジャケットと

シックなキャミソール そして一見少女趣味なパッチの

フリルスカート

髪型は長めのアレンジボブ


耳には不釣合いに大きいピアス


風変わりな模様だった


DVDを手に取るたび色が変わる




色が変わる?


色が変わる!


いや 模様が替わっている!




目を凝らしていると


それは

模様ではなく


何もなかった。


ふちの中は空洞なのだ。



大きい穴だ。





指が通りそうなほど


世界が見渡せそうなほど



大きい穴が開いていた




私は立ち尽くし







世界を見渡していた





そして世界の穴からは


「ヘドウィグ&アングリーインチ」のジャケットから

恋空のパッケージが移り変わる瞬間を写し通していた。








そして私は

あの少女の服装も総て切り離し


あの穴に魅せられ


あの穴が網膜と視神経総てに

焼印を押されたように張り付いていた。









あの穴のことを考えるにつれ、


忘れたことに気づきそして、


忘れたものも存在したこと。


忘れるものも 忘れないことも


私でコントロールできること。



そしてred pepperのジーンズのように


私もそれが方向性と目的は違えど出来ていたこと



その事実をインストールし


私は



ピアススタジオに通い


世界の隙間を作り

眺める世界を作る穴を 増やしていった。


ピアスの穴を拡張するのはとても不思議なことだ。



肉体に穴を作り


存在しない隙間を作り出していく


無から 作り出す景色なのだ。



空けることで

私は 服装も戻り

大学にもかよい


周りに少し変わったといわれながらも

微笑み、「そうかな?」なんていいながら。


私を私として見てくれる人間を探しているのだ。



本質はイメージをコントロールするために穴を開けているのではない事を

知った私には、恐れることも何もない。


劣化していく記憶にも

忘れ去られていくことにも


笑いながら、手を振り送ることが出来るのだ。




私は 


私という服に穴を開け


私の中の


私という名の自我を覗けるように


世界に隙間を作るのだ。



そして 障子の穴から覗く子供の様に


世界を眺める人には


世界の中の私が見えることを伝えてやるのだ。



最近 0点をよく思い出す。


また何時か在った時




0点が、世界を覗いたなら、



今度は私が見えますか?と


今度は忘れられそうですか?と




皮肉を言ってやる。


私は世界を写すのだ。


神のように



世界を眺めてやろう。






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