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弐”地獄と天国”

「black world」をお読みいただきありがとうございます。

本文の前にご了承願いたいことがいくつかございます。

・国語的文法などに誤りがある部分がございます。

・誤字、脱字、表記のミスがある可能性がございます。


誤字、脱字等ありましたら、鈴木湊に一報ご連絡いただけると幸いです。

メッセージボックスへの投函。又は感想記入欄。

 ざわざわしている…。固いイス、脚を上げると膝に何かが当たる。

ここは教室だ。入学式が終わった。あの冷たい視線がなんだったのか。それが気になった。そうもやもやした気持ちでいると担任から改めてHRが始まった

「はい。では皆さん改めましてこんにちは!これから3年間皆さんと一緒に頑張っていきます。担任の鈴木章介と言います。担任経験はこのクラスで2回目です。私もまだ緊張していますので皆さんと一緒に頑張っていきたいと思っています。よろしくお願いします」

 相変わらずの幼い声だ。鈴木先生は一人ひとり軽く自己紹介してくださいと指示した。私の出席番号は…1番だ。

 何故私のクラスのは「あ」や「い」から始まる苗字がいないのだろうか。

「では、出席番号順で行きましょう。1番の植田さんからお願いします」

「は、はい…」

私の席が二列目の1番前であることは入学式前に知らされていたので、後ろを振り向く形で立ち上がった。そこに誰がいるのか。何人くらいが私を見ているのか。もしかしたら誰も見てないシカトされているかもしれない。不安が不安を誘っていた。

「私は植田早苗と言います…5歳の頃から目が見えなくなりました。私は高校生活に憧れがあって、みんなには迷惑かけちゃうかも知れませんがよろしくお願いします…」

意外にも暖かい拍手が返ってきた。自分の声が伝わった。このことが嬉しくて自然と頬が緩んだ。

 そこからは順々に自己紹介が進んでいった。皆色んな地域からこの学校に集まってる事。色んな特技など色んな事が聞けた。そんな楽しい時間があっという間に終わってしまい、下校の時間になった。しかし悲しくはなかった。なぜなら明日から毎日登校してくるからだ。

 帰りは教室に早苗おばちゃんが迎えに来てくれた。白杖を預けて、ゆっくりと教室を後にした。

「初めの高校はどうでしたか?」

早苗おばちゃんが優しく声をかけてくれた。

「うん!すっごい楽しかったよ!」

「そうでしたか。それは良かったですね。これから頑張りましょうね。」


 家に帰ると午後5時と音声時計は言った。部屋に置いてある制服を手に取った。まだ着始めて数日。ちょっと固めの制服はまだ新しさがあった。

 私の目が見えなくなった理由を私は知らない。ただ覚えているのは目が見えなくなったと同時に両親と一度も会ってない事だ。いや、もしかしたら会っているのかもしれない。私に声をかけないだけで近くにいるのかもしれない。だとしたら何故私に声をかけないのか。制服のスカートのプリーツは手が切れそうなくらい綺麗だった。


 けたたましい目覚ましの音で目を覚ますと、朝6時30分を示していた。いよいよ高校生活が日常になる。正直まだワクワクしていて眠れていない。

 昨日と同じく、制服を着て、車に乗り学校へ向かう。教室に入室する。昨日と何も変わらない行動。

しかし、ここから変わった。

「ごきげんよう。えっと…植田さん…だっけ?」

右後ろから女の子の声がした。植田…私の事を呼んでいた

「は、はい!おはようございます!植田です!」

「おはよう。私は佐々木望佳って言います。気軽にのぞかって呼んでね。」

佐々木望佳さん。私に初めて声をかけてくれた彼女の事を自然に友達だと思った。

佐々木はすこし間を置いて私に問いかけてきた。

「植田さんは目が見えないんだっけ?」

「うん。太陽とか強い光しか見えないんだよね…」

「これからの学校生活大変かも知れないけど頑張ってね」

彼女はそういうと私の右手を握ってきた。彼女の手は凄く冷たかった。少し鼻で笑うような息が聞こえた。

 午前中の授業は座って鈴木先生の話を聞くだけだったので楽だった。お昼は佐々木さんが一緒に食べようと誘ってくれた。

「植田さんの下の名前ってなんだっけ?」

「あ、早苗って言います」

「じゃ、さなえちゃんって呼んでいい?

「うん!好きに呼んでもらっていいよ。」

佐々木さんは私を早苗ちゃんと呼んでくれるようになった。ご飯を食べているとまた一人知らない声が聞こえてきた。

「あ、早苗ちゃんに紹介してなかったわ…。この子はね。っていっても何処にいるかわからないもんね…。意外と難しいのね…」

私に新しい人を紹介してくれようとしたのに目が見えない障害でと滞った。

「あ、どこにいるかはわかるよ!えっと…私から見て右にいる子かな?」

「おぉ!凄い!そうそう私から左にいる子だよ!」

昼食を食べる前にもう一人の人が椅子を引く音が聞こえたので前から察していた。

「あっ!は、、、初めまして。早苗ちゃん。私は神崎彩芽っていいます。これからよろしくね。」

少し自信のないような声で小さかった。しかし私にはちゃんと聞こえてきた。

「うん。よろしくね彩芽ちゃん!」

私たち三人は朝や昼休み。友江おばちゃんが迎えに来る放課後の時間まで沢山話した。私は目が見えない為、会話以外での共感が得にくいので話が合うか不安だったが、佐々木さんと神崎さんが私に合わせてくれた。そんな高校生活は一週間程続いた。


 いつもの日常。私は一人で音楽室に向かって歩みを進めていた。白杖一本で大丈夫なのかと不安がられるが、案外白杖は頼りになる目なのだ。広い廊下には沢山の高校生が次の授業場所に向かって歩いていた。私はトイレに行きたくなった。入学してから一週間の間、三人でよく学校探検をしていたので学校の地図はもう頭に入ったものだと思っていた。しかしこの尿意は意外と切羽詰まった状況であることが伝わった。こう鼓動が増えて緊張してくると冷静に判断出来なくなってくる。

「あ…あの…トイレ…どこですか…」

誰か助けてほしくて周りに呼びかけると、廊下には誰もいないことが分かった。そのあとすぐに授業の始まりを伝えるチャイムが校内に鳴り響いた。歩いたら漏らしてしまう。私はどうしたらいいかわからず廊下で立っていた。しかしそれだけでは済まなかった。私は漏らしてしまった。この瞬間だけ目の前の暗闇に隠れたかった。でもこれは見えている暗闇であって、周りからは日常に私の漏らした尿のゆくえと色が変わったスカートと靴が見えているはず。

「早苗…ちゃん?」

後ろから神崎さんの声が聞こえた

「早苗ちゃん、もう授業始まって…ってあぁぁ!これは大変だね…大丈夫?」

私の知っている人が助けてくれた。これが不安を全て解消してくれて、涙が止まらなかった。

「辛かったね~。もう大丈夫だから。保健室行こうか。ね」

神崎さんの手にひかれて保健室を目指している途中だった。急に神崎さんと私の手を誰かが弾いて立ち止まった。

「何してるのあやめ。こんな汚い人と歩いてたら、あなたも汚れてしまうわよ。早く音楽室行きましょ。」

「あ、でもさなえちゃんが困ってるよ?」

「授業遅れて単位減ったらどうするの?臭い人と歩いててもろくな事ないんだから。ほら早く。」

早足で去っている二人の足音だけが廊下でこだましていた。また急に一人になった。神崎さんに引っ張られた瞬間に白杖を落としてしまって、本当に一歩も動けなくなった。周りに手を振っても壁が無い。あるのは冷たい制服と、私だけ。

 そう思っていた時、後ろから誰かが走ってくる音が聞こえた。徐々に近づいてくると、ゴトンと固い何かを置いた音が聞こえてくると、 キュッキュッと何かを拭く音が聞こえる。

「なんてあいつは自分勝手なのかなぁ…」

そんな男の子の声がした。

「あの、すいません…」

「あぁ、気にしないで。俺は香川諒介。同じクラスなんだけど…わかんないよね(笑)」

確かにクラスメイトはほぼわからない。でも入学式で聞き覚えのある声だった。

あの音は…バケツと雑巾…?となると今、彼がしていることは…

「い、いやいや!いいですよ。臭いですし、恥ずかしいので私がやりますから…」

「いいから、もうちょっと待ってね。あと少しで終わるから。」

彼が私の漏らしたものを片付け終わると、私の近くに寄ってきた。

「今から保健室に行くからじっとしててね」

身体が持ち上がった。これがお姫様抱っことかいう奴だろうか…普段歩くより冷たい風が頬に当たる。彼は私を担いで走っている。やけに濡れた部分が冷たく感じる。

 保健室に到着してからは彼はすぐに授業に戻ってしまった。それからの事は恥ずかしくて覚えていない。

 この出来事は6時間目であったことから、教室に戻らずそのまま保健室に早苗おばちゃんに来てもらった。帰りの車にて

「早苗おばちゃん。ごめんなさい。制服汚しちゃって。」

「いいんですよ。大変でしたね。制服は洗濯すれば問題ありませんから。」

この年でお漏らしとか恥ずかしくてたまらなかった。

 次の日になっても恥ずかしさは消えることは無く、私が布団から起き上がることが出来なかった。早苗おばちゃんは今日は休みましょうか?と提案してくれた。制服が乾いていないなど、私自身に全うな理由を付けて休むことにした。この正当化は良くないが仕方ない事でもあろう。

 布団で横になっているとふと、佐々木さんと神崎さんとの関係が不安になってきた。神崎さんは私を助けようとしてくれた。でもそれを佐々木さんは阻止してきた。何故なんだろう。今までの佐々木さんならきっと助けてくれたんじゃないかと思う。私は佐々木さんに何か悪い事をしたのか。原因を探しても一向に思い当たる節が無い。そう考えていると私はすっかり寝ていた。

 何時になったのだろうか。音声時計は午後6時を教えた。喉が渇いたので下に行って麦茶でも飲もうとしたとき、下からピンポ~ンとチャイムの音が聞こえた。早苗おばちゃんは

「は~い」

と玄関に向かった。数分しないうちに早苗おばちゃんが私の部屋に来た。

「早苗ちゃん。クラスの子がお見えになりましたよ。さぁ、どうぞ」

失礼します。と男の子の声。この声には聞き覚えがある。香川諒介君だ。

「ごめんね。急にお邪魔しちゃって。配布物だけ私に来たらヘルパーさんに上がってと推されちゃってさ」

少し笑いながらこう話した。私は急に恥ずかしくなって

「昨日は本当にごめんなさい!私があんなことしちゃったせいで、授業に遅れるし嫌だっただろうし…」

必死で謝ると彼は軽いトーンで

「あぁ、昨日の6時間目の事かな?なんにも気にしちゃいないから安心して。音楽の先生が一向に君が来ない事を不思議に感じてて、俺が少し見回ってただけだから。今日休んだ理由は昨日の事で?」

彼は図星で休んだ理由を当ててきた。

「うん…」

「クラスの殆どは知らないし、俺も言ってないから安心して。あ、でもあいつの問題が残ってるのか。望佳の奴だな。あいつは俺からきつく言っておくから安心して明日からまたおいでね?」

優しく諭すように私に話してくれた。

 スカートのプリーツはすっかり丸くなってしまった。

 明日からはまたしっかり登校しようと心に決めた。でも昨日のことはまだ序の口に過ぎなかったのだ…

 皆さんこんにちは。鈴木湊と申します。

続編投稿に時間がかかってしまいましたこと。申し訳ありませんでした。

2019年に第一話を投稿して、早2年程経過しました2021年に第二話を投稿します。ここまで時間がかかったのは、単純に筆者の生活が忙しく書けなかったという言い訳をさせてください(笑)

 BlackWorldは非常に読みにくい小説です。私の小説作品の中でも一際目立って読みにくいものに分類されます。しかし、そこは読者皆様の想像力におまかせしていますので、自由な考えで結構です。リラックスしてお読みください。

 次話の投稿もいつになるかわかりませんが、なるべく早く皆様の端末にお届けできたらいいなと思っております。どうぞご愛読の程、よろしくお願い致します。


では。また。

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