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小狐さんといく~異世界モフモフ道中  作者: ところてん祐一
第一章:ハジマリのまち
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スラちゃんと魔法のブラシ

少しおくれちゃいましたが、どうぞ

 そういえば、お兄さんのお名前をしりませんでしたね、と少女は俺に名前を尋ねる。


 「お兄さんのお名前お聞きしていいですか?」


 名前を聞くだけだと言うのに相変わらず彼女は、丁寧である。

 俺は答える。


 「俺はユーゴ。キミは?」


 俺が逆に彼女の名前を尋ねると彼女は、ハッとした顔をした後、答える。


 「私は、リーゼロッテと言います。リーゼと呼んでくださいね」


 先に名乗るべきでしたねと謝罪した後、彼女リーゼは、名前を名乗った。

 俺は、改めて彼女の姿を見る。さらさらとしていそうな金髪と見ている物を癒してしまいそうなほどの頬笑みを浮かべている。ただ、先ほどの慌てっぷりや(俺が悪いのだが)毛櫛を落としてしまったことに気づかなかったりと少し抜けているところがありそうだ。それは、ともかくこの子もギルドのリリアさんとは違った魅力にあふれているのだ。

 そうして、彼女の姿を見つつ少し話していると、彼女の膝もとに青くてプルプルした生物が現れたのだ。先ほど見たときから気になっていたので、俺は、彼女に尋ねてみる。


 「この青い子は、リーゼの相棒?」


 ちょっと言葉は迷ったが、ペットではなく相棒という言葉を選択した。するとリーゼは、少しだけ嬉しそうな顔をして答える。


 「そうなんですよ!この子の名前はスライムのスラちゃんです」


 だいたい皆には、ペットと聞かれるので、相棒と聞いてくださって嬉しいですと彼女は付け加えて答えた。どうやら俺の聞き方は正解だったようだ。少しホッとしていたところ、俺の頭にのっていたコンが一声鳴く。


 「こゃーん!!」


 そう言って、コンが珍しく鳴いたかと思えば、前足で俺の頭をぺちぺちとしている。まるで、自分のことも紹介しろといっているかのようであった。なので、俺は頭の上のコンを持ちあげて俺の前に持ってくるとリーゼに紹介する。


 「さっき鳴いたこの子は、相棒のコンだ」


 リーゼは、紹介されたコンを見て、わぁコンちゃんかわいいですね、と言いながら頭をなでている。ギルドでは、触られそうになった時、威嚇していたコンだが、不思議と今は大人しくなでられている。少し気持ちよさそうだ。さっきと何が違うんだろうかと考えていると、リーゼに話しかけられる。


 「あのー、ユーゴさん。よかったらこのブラシをコンちゃんに使ってあげてください」


 そう言って、リーゼは先ほど返したばかりのブラシを俺に渡してくる。


 「えっ?それはありがたいけど俺今お金ないんだ」


 さすがにただでは、使えないと思った俺は、そう答えて返事をするもリーゼは受け取らない。


 「大丈夫です。もうその依頼は失敗しちゃいましたですし、それを使ってくれる方がいればその子もよろこんでくれますので」


 そう言って、彼女に押し切られた俺は、お金が手に入った時に代金を渡すことを条件にブラシを譲り受けたのだ。そして、このブラシでコンにブラッシングをすることにした。

 まずは、頂いたものとはいえ、ブラシの柔らかさを確かめる為に触ってみる。とても柔らかい。これなら下手なことをしなければコンを傷つけることはないだろう。そう思い、思い切ってブラッシングを始める。このブラシは、まるで魔法にかかっているみたいに手になじみ、コンのブラッシングする場所に合わせて強弱をつけるように手が動くのだ。


 「これは、とんでもないシロモノだ」


 思わず俺は、そう呟いていた。この魔法のブラシによってブラッシングされているコンはとても気持ちがよさそうであった。ブラッシングが終わった後、コンの毛並みはとてもきれいになっていたのだ。それを見て思わず興奮した俺は、その勢いでリーゼに話しかける。


 「リーゼ!このブラシめちゃめちゃすごいよ!本当にありがとう!絶対お金は払うからね」


 俺の勢いに決して押されることなく、リーゼはとても嬉しそうな顔をしている。


 「このブラシ、私とスラちゃんの二人で作ったものなので、そこまで喜んでいただけて本当に嬉しいです」


 彼女も興奮しているのか俺の手を両手でつかんでブンブン振っている。しかし、俺も興奮していたからかまけじとブンブン振られるのに合わせて振っている。後から思い出せば、少し異様な光景だったかもしれない。


 「スラちゃんもありがとうな」


 そう言って俺は、手が空くとスラちゃんの(おそらく)頭の部分を思いっきりなでまわす。スライムのことは、俺には分からないが、青い身体をプルプルと震わせて嬉しそうにしている。

 その光景を見て、リーゼは驚いた顔をしていた。


 「スラちゃんが、他の人に触られて喜ぶなんて初めてですよ!」


 そのリーゼの言葉に俺も同じように答える。


 「コンだって、大人しく気持ちよさそうに他の人に触れるの初めてだよ」


 その後、お互いに似た者同士ですねとリーゼがいった後、お互いひとしきり笑っていたのだった。

この週末の金・土・日が仕事で忙しくなりますので、次回更新が週明けの月曜日となります。

もし余裕があれば、土日のどちらかに上げれるかもしれませんが

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