リーゼの新たな一面
サブタイトル後で変えるかもしれないです
「えっ? ニーナ……先生?」
俺は、リーゼが言い放った言葉に耳を疑った。俺の聞き間違いでなければ、ニーナという名前の人は、俺のすぐ近くにいる小さな女の子のはずだ。とてもじゃないけど、リーゼの先生をやっているようには思えない。
「リーちゃん、失敗しちゃうなんてめずらしいね!」
「先生……、ごめんなさい」
今度は、俺の目がおかしくなったのか、ニーナちゃんが精一杯背伸びして、リーゼの頭を撫でている姿が見える。そんなニーナちゃんの姿は、実にかわいい。
「リーちゃん、よしよし……。あっそうだ。リーちゃん、ユーくんがきてるよ!」
「ユーくん? 誰かお客さんでも来てるんでしょうか?」
そんな呟きと共に振り向かれたリーゼと俺の視線がばったりとあうと、彼女は、とても驚いたような表情を浮かべたのだ。彼女の頬は、徐々に赤く染められていっている。
「ユ、ユーゴさん!?」
「リーゼ。こんにちは」
「はい、ユーゴさんこんにちは……じゃないですよ! もしかして、先ほどの先生とのやり取り全て聞かれてましたか?」
「聞いていたと言うよりかは、見ていたって感じかな」
リーゼは、そんな俺の言葉を聞くと、先ほどよりも顔を赤くしながら俺の肩に掴みかかり、俺の方に乗り出してきたのだ。
「ユ、ユーゴさん! 違いますからね! ニーナ先生は、小さな姿をされてますけど、私の立派な錬金術の先生ですから。決して小さな女の子に慰めてもらってたわけじゃないですからね!」
「う、うん。わかったよ。リーゼ、ちゃんと分かったからちょっと落ち着いて」
リーゼは、ニーナちゃんに撫で撫でされていた姿を見られたのが恥ずかしかったのか、必死に否定している。興奮していることもあってか俺との顔の距離が妙に近く、その勢いがとても強いのだ。俺は、その勢いにやられて思わずのけぞってしまう。
「ユーゴさん!」
「わ、わかったってば……。リーゼ、顔が近いよ」
「えっ? あわわ、ごめんなさいです~!」
リーゼは、慌てて俺の肩から手を離すと一気に離れていく。そんな彼女の顔は、今にも湯気が立ちそうなほど真っ赤だ。かくいう俺自身の顔もとても熱くなっていて、きっと彼女みたいに赤くなっているのだろう。
「リーちゃんもユーくんもどうしてそんなにお顔が真っ赤なの?」
ニーナちゃんは、不思議そうに首を傾げていたのだ。
「ユーゴさん、先ほどは取り乱してしまいごめんなさいでした」
俺とリーゼが落ち着きを取り戻すと、彼女は、先ほどのことについて申し訳なさそうに頭を下げてきたのだ。俺は、慌ててそれを止めにはいる。
「いやいや、大丈夫だから。リーゼ、頭をあげてよ。俺の方も盗み見してしまったような感じでごめん」
「ユーゴさん、ありがとうございます。いえいえ、私こそもっと周りを見れていたら良かったのですが……あっ! せっかくですので、先生をご紹介しますね!」
リーゼの顔が悲しそうな顔から一転、笑顔に戻ると、彼女は少し離れたところでスラちゃんとコンと追いかけっこをしているニーナちゃんのもとへと小走りで向かっていった。俺も彼女に続いていく。
「ユーゴさーん。改めて、こちら私の錬金術の先生のニーナ先生です。ニーナ先生は、国から認められた数少ない錬金術師で、各地の色んな組織から依頼が殺到するような凄腕なのです。本来であれば、ニーナ先生自身のアトリエで調合されてたりするのですが、ちょっと事情があって今は私のアトリエにいてくださってるのです」
「ニーナだよっ!」
リーゼに紹介されたニーナちゃんは、俺の方に眩しい笑顔を向けてくれる。そんな彼女の頭の上には、スラちゃんがのっていて、そのまた上には、コンがのっていったのだ。今のニーナちゃんの姿は、可愛い物にさらに可愛い物がかけられて、とんでもなく可愛い状態になっていて、思わず俺の頬が緩みっぱなしである。
「ニーナちゃん、よろしくね」
ニーナちゃんは、ニコニコとしたまま俺の言葉に頷くと、頭にスラちゃんとコンをのせたままこの場を去っていったのだ。
「そういえば、ユーゴさん。私に何か用事があったのでしょうか?」
「はっ、そうだった。リーゼ、実は依頼のお願いをしに来たんだ……」
俺は、リーゼの言葉に本題を思い出すと、リリアさんから預かってきた依頼書を差し出して、経緯を説明していく。
俺は、一通り依頼の説明を終えると、リーゼは何やら考えているようなそぶりを見せていた。
「リーゼ、どうかな? 作れそう?」
「そうですね……。おそらく、大丈夫だと思います。ですので、依頼は受けさせてもらいますね!」
「リーゼ! ありがとう!」
俺は、リーゼが依頼を受けてくれることにホッとしたと同時にとても嬉しくなって、彼女に大きく頭を下げたのであった。




