コンとの戯れ
二月半ばほどから連勤と体調不良で中々更新できずすみません。
それではどうぞ
リーゼのアトリエを出てから、俺たちは少しだけ街の中をぶらつくと、そのまま宿へと戻ってくる。本当は、もう少し街中の探索をしたいところであったのだが、思いのほかリーゼのアトリエで時間が経っていて、すでに日が暮れはじめていたこともあり断念したのである。
いつもの部屋に戻ってきた俺は、ベッドの上に座り、一息つく。特別何かをしたわけではないのだが、妙に身体が重いのだ。昨日の黒モヤボアアンとの戦いの疲れが抜けきっていないのだろう。
「そういえば、昨日は温泉に行けてないし、一休みしたら行くか……」
俺がぼんやりとそう考えていると、何やら魔法のかばんの中を漁っているコンの姿が視界に映ってきた。コンは、頭をかばんの中に入れつつも器用に前足を入れて何かを探しているようだ。
「何を探してるんだろう?」
気になった俺は、そのままコンの観察を続ける。
コンは、少しの間かばんの中を探していたが、やがて目当ての物が見つかったのか、前足を使って目的の物を引っ張り出そうとしている。しかし、中々出てこないようだ。悪戦苦闘をしていたコンであったが、どうやら少しずつ引っ張り出してくることに成功したようで、先っぽの方だけかばんの外に出てきたのだ。コンは、それを口でくわえるとそのままずるずると引っ張りだしていく。そのままコンは、それを俺の元まで持ってきたのだ。
「これは……! もふじゃらしじゃないか。コン、遊んでほしいのか?」
コンが一生懸命魔法のかばんの中から取り出して持ってきたのは、もふじゃらしだったのだ。
俺は、コンからもふじゃらしを受け取ると、空いている方の手でコンの頭を撫でる。
「こゃ!」
コンは、嬉しそうに俺に撫でられながらも先ほどの言葉を肯定するかのように鳴いたのだ。その瞳は、じーっと俺の方を見つめている。
「よし、じゃあ温泉に行くまでの間、遊ぶかコン!」
俺は、コンを撫でていた手をいったんとめると、もふじゃらしをコンの前で左右に揺らし始める。コンは、体勢を低くして大きく尻尾を振りながらそんなもふじゃらしを見つめている。少しの間、膠着状態が続いていたが、ついにコンが動き出した。まるで獲物をとらえるかの如く、一瞬にしてもふじゃらしへと飛びかかっていったのだ。
「コン、甘いぞ!」
俺は、コンが飛びかかる直前にもふじゃらしを後ろに引くことで回避したのだ。もう少しタイミングが遅ければ、もふじゃらしはコンに捕まっていたことだろう。
「こゃぁー!」
コンは、少しだけ悔しそうに鳴き声を上げながらもやるきに満ちた様子で、尻尾をブンブン振りながら動いていないもふじゃらしを見つめている。今にも飛びかかってきそうな勢いだ。
「コンのスイッチが入っちゃったみたいだな。これは長くなりそうだ」
俺は、一度コンの方を見た後、再びコンとの遊びに集中していったのだ。
しばらくの間、部屋でコンと戯れていた俺は、キリの良いところでそれをやめると温泉の方へと向かっていく。温泉では、特別何かが起こることもなく、俺とコンは温泉に入ってさっぱりとすると、そのまま部屋へと戻り、眠りについたのであった。




