ギルドへの登録
早くもストックがやばいです笑
「まず、迷い人についてどのくらい知ってるっすか?」
受付嬢は、そう俺に尋ねて来る。とはいっても俺が知っていることは、先ほど街中で教えてもらったことだけなので、それを正直に答える。
「他の世界から来た人のことをここでは、そう呼んでいるということしか知らないです」
受付嬢は、俺の答えを聞いてなるほどとうなずいている。
「なるほどね。それだけ・・・とは言ってもそれが全てみたいなものっすけどね。後、先ほどまでと同じくため口でいいっすよ」
彼女は、苦笑しながらそう答えた。
ただし、と彼女は付け加える。
「迷い人はその特性上この世界の人間とは違ったスキルを持っていると言われているっす。だからその貴重なスキルを目当てにしてる人も多くいるから外では、あまり迷い人だって言わない方がいいっすよ」
「まじか!?」
俺は、その言葉を聞いて衝撃を受けた。先ほどの女冒険者とのやりとりがうかつだったと今更ながらに気付いたからである。ジンや彼女は、良い人であったからよかったものの一歩間違えばどうなっていたか分からなかったのだ。今後は、その辺りも気をつけないといけない。
「どうやらその様子だと外で言ったことはあるみたいっすね。一応このギルドは迷い人の保護みたいなこともしてるっすからここにいるうちは多分大丈夫っす。でも気を付けてくださいね」
多分とかそんな恐ろしいことは言わないでほしい。いや、自分のうかつさが原因だからしかたないのだけど。
それはさておき、もう一つ気になっていたことを俺は聞いてみる。
「それよりスキルというのは?」
彼女は答える。
「簡単にいうとその人が使える特殊能力みたいなものっす。お兄さんの場合だと、服から顔を出している狐さんっすね」
俺はそう言われて下を見るとコンが服の隙間から顔だけ出していた。いつの間にやら起きていたようだ。おそらくこいつを召喚したのが俺のスキルになるのだろう。
俺は、コンの頭をなでながらなるほどと相槌をうつ。
「どんなスキルかはわからないっすけどその狐さんが関係してるはずっすよ。それと迷い人は強力なスキルを持ってることが多いっす。それでなくても固有スキルっすから狙われるんすよ」
あとは有名なスキルがここに載ってるから見といてくださいと言われ、本を渡される。後で休めそうな場所があれば、まずは読んでみよう。
とりあえず、迷い人の説明については以上で終わりのようだ。わかったようなわからないようなといった感じだが、今のところは大丈夫であろう。そういえば、ジンが仕事も斡旋してくれるといっていたような、と思っていた矢先に彼女から声をかけられる。
「じゃあ、お兄さんうちのギルドに登録させてもらうっすから名前を教えてほしいっす」
どうやらギルドに登録されるらしい。多分色々とやってくれるのだろうと思い、名前を答える。
「俺は、ユーゴだ」
ちなみにこいつはコンだ、とおなかの方を指して答える。
「はい。ユーゴさんとコンちゃんっすね。ちなみに私は、リリアっす。以後ユーゴさんたちの担当になりますのでよろしくっす」
そう言って、リリアは手を差し出してきた。俺は、その手を取り握手する。
その後、ギルドカードを発行するといって、彼女は一枚のカードを取りだした。彼女の話によるとここに俺の血とギルド職員であるリリアの血を垂らすことで、登録が完了するらしいので、近くにあった鋭利なものを使い、軽く指を切って血を垂らす。リリアも同様に血を垂らした。
「これにて登録完了っす。このカードはうちのギルドで預かるので、なくしてしまう心配はないっす」
どうやらギルドカードは、ギルドにて一括管理しているようだ。正直渡されても失くしてしまいそうだったのでありがたい。
「これで一通りは終わりっす。ユーゴさん、おそらくっすけど今日の宿とかは何も決まってないですよね?なので、ひとまずこちらの宿にお泊りくださいっす。そして、また明日の朝にうちに来てください。その時にお仕事を紹介しますので」
そう言って、リリアから宿の場所が書かれた地図をもらった。どうやら宿代は、最初はギルドの方から負担してくれるらしい。迷い人用の救済システムらしい。また、仕事がもらえ次第返さないといけないみたいだが、正直ありがたい。
「リリアさんありがとう!」
リリアにお礼を言って俺は、ギルドを出ていったのであった。




