コンと一日の始まり
あけましておめでとうございます(激遅)
今年もなにとぞよろしくお願いします。
黒モヤボアアンとの激闘を繰り広げた長い一日が過ぎ去り、朝がやってきた。これが異世界生活四日目である。
俺は、目を覚まして起きあがると、横で丸くなって眠っていたコンを起こす為に声をかける。
「コン。朝だぞ」
「こゃ?」
コンは、俺の言葉を聞いてその目をあけるも、まだまだ覚醒しきっていないのか再びその目は閉じられていく。コンの目が、開いては閉じて、を何度か繰り返していると、ふとした拍子に俺と目が合う。どうやらコンは、それで一気に目が覚めたようで、小さなあくびをしながらも起きあがったのだ。
俺は、そんなコンの頭を何度か撫でると、そのまま抱きかかえて、朝食を食べに向かった。
「こゃぁぁー!」
コンは、目を輝かせながら、朝食と一緒に用意されていたポムポムの果実を見ていた。
俺は、今にもポムポムの果実に向かっていきそうなコンを両手で抱えて、自分の膝の上にのせる。コンは、おとなしく俺の膝の上に座りながらもその視線は、ポムポムの果実にくぎ付けである。
「ほら、コン。口を開けて」
幸いなことに一口大サイズに切り分けられていたポムポムもあったので、俺はそれを一つ掴みコンの前まで持っていく。
コンは、すぐそれにかじりつくと、器用にも自身の小さな手でポムポムを持ちながら食べはじめたのだ。
「こゃーん!」
コンは、とても幸せそうな顔をうかべている。
俺は、そんなコンの微笑ましい様子を見ながら、用意されていた朝食を食べ始めていく。
「こゃ!」
少し時間が経つと、コンはおかわりを要求するかのように、両手を上下にブンブンと振り始めた。
コンは、じーっと俺の方を見つめてくる。
「わ、わかったから、コン落ち着いて」
「こゃぁ!」
コンは、俺の言葉を聞いておかわりがもらえるとわかったのだろう。両手を上下に振る動きも止まり、どうやら落ち着いたようだ。ただし、コンの視線は、ポムポムの方へと注がれている。
俺は、先ほどと同様に一口大サイズのポムポムをコンの前へと持っていったのだ。
俺たちは、朝食を食べ終わると、一度部屋へと戻っていく。部屋の中に入ると、コンは真っ先に飛び出していき、何かを咥えて俺の方へと持ってきたのだ。俺は、何だろうと思い見てみると、それはリーゼからもらった魔法のブラシであった。
「そういえば昨日は、俺もコンも疲れ果ててブラッシングできなかったもんな~。昨日の分も含めてやらないとな」
「こゃ!」
俺は、魔法のブラシを受け取ると、コンを自分の膝へと持ってきてブラッシングを始めていく。昨日の激しい戦闘とその後のケアができなかったせいか、クセがついていたりなどとても乱れているのだ。
俺は、時間をかけて丁寧にコンにブラッシングをしていくと、コンの本来持っているきれいな毛並みが徐々に戻ってきたのだ。コンは、とても気持ちよさそうにしている。
「ひとまず、こんなものかな。コン、少し休んだらギルドにいくよ」
「こゃーん!」
俺は、ブラッシングを終えると少しだけ休んだ後、魔法のかばんを持ってギルドへと向かっていったのであった。




