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小狐さんといく~異世界モフモフ道中  作者: ところてん祐一
第二章:もふもふギルド入会編
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依頼の準備

 「えっ? リリアさんも一緒にきてくれるんですか?」


 「そうっすね。今回だけは同行させてもらうっすよ。とはいってもあくまでもメインはユーゴさんたちっすからね。途中までは、一緒にいくっすけど、それ以降は別行動っす」


 リリアさんの言葉に俺は驚いていると、彼女はそう答えたのだ。

 正直、俺としては、とても心強い。途中まではとはいえ、彼女も同行してくれるのだ。なんというか妙な安心感がある。コンも俺と同じようなことを思っていたのか、膝の上で嬉しそうに尻尾を振っている。


 「ありがとう! 正直心強いよ」


 「あはは。頼りにされるのは嬉しいっすけど、私は口出ししないっすからね。ユーゴさん達の力で進んで行ってください」


 リリアさんは、やや困ったような笑顔を浮かべながら、俺にそう言ったのであった。




 あの後、前回と同じように俺は、依頼を受ける手続きを済ませると、リリアさんと街の出口で落ち合う約束をした。ここから一緒に依頼に向かった方が早いのだが、どうやら彼女には少しやることがあるようなのである。


 「ユーゴさん。私が昨日さしあげた魔法のかばんは、必ず持ってきてくださいね。今回は絶対に必要になるっすからね。絶対っすよ!」


 彼女は、去り際に俺にそんな言葉を残していったのだ。

 正直なところ、俺は、討伐の依頼をこなすうえでは、邪魔になるだろうと思い、持っていかないつもりであったのだ。しかし、彼女にしては珍しく強く念押ししていたので、きっと必要になる理由があるのだろう。そう思った俺は、宿へと魔法のかばんを取りに向かったのであった。



 その後は、特に何かが起こるわけでもなく、宿へと辿り着いた俺たちは、部屋へと戻っていき、魔法のかばんを取るとすぐに宿を出たのであった。


 「とりあえず、リリアさんに言われてた魔法のかばんは持ってきたけど、他に準備する物はあったっけなぁ。なぁ、コン。お前は他に準備する物は何か思いつくか?」


 俺は、服の中からひょこっと顔だけ出しているコンに問いかける。コンは、少しの間、俺の顔をじーっと見たあと、首を傾けたのだ。どうやらコンも特には思いつかなったようだ。

 コンは短く、こゃー、と鳴くと申し訳なそうな顔をしている。


 「コンは、そんな顔をしなくてもいいんだよ。俺が思いつかなかっただけだからさ。ほら、この昨日買ったポムポムでも食べて元気出してくれよ相棒」


 俺は、魔法のかばんの中からカットされたポムポムを取りだすと、コンの前まで持っていく。コンは、俺の顔をちらっと見た後、ポムポムを食べ始めたのだ。


 「こゃーん!」


 コンは、ゆっくりとポムポムを食べ終えると元気に一声鳴いたのだ。ひとまず、コンが元気を取り戻してくれたようで俺は安心したのであった。




 結局のところ俺とコンは、このまま約束の場所へと向うことに決め、歩き始めたのだ。歩いている途中で、昨日ポムポムを買ったお店が見えてくると、コンは鼻をひくひくとさせ、俺の身体をペシペシと叩いてくる。どうやら、昨日と今日でコンは、ポムポムが相当お気に入りになったようだ。


 「コン。まだポムポムは一つ残ってるから大丈夫だよ。それに今から依頼をこなしに行くんだから今は買わないぞ。どうしても欲しかったら依頼を終わってからだ」


 俺は、コンに言い聞かせるように言う。その言葉を聞いたコンは、少し悲しそうな顔をしていた。

 そうして俺たちが歩いていると、どこからか声が聞こえてくる。


 「ユーゴさーん!」


 聞こえてきた声の方を見ると、そこにはリーゼがいたのだ。


 「リーゼ? どうしたの?」


 「いえ、ユーゴさんをお見かけしましたのでつい声をかけちゃいました」


 てへへ、と笑いながらリーゼはこちらに近づいてきたのだ。

 そんな彼女の姿を眺めていると俺は、彼女の頭の上にスラちゃんが乗っていることに気が付いた。


 「えっ? リーゼの頭の上にスラちゃんが乗ってる!?」


 「はい。そうなんです! どうやらコンちゃんの真似をしているみたいで、私の頭の上にのってくるんですよ」


 コンちゃんのことが、羨ましかったみたいですね、とリーゼは微笑む。そんな彼女の言葉を肯定するかのように、彼女の頭の上にいるスラちゃんは、プルプルと震えている。どことなく嬉しそうだ。

 そんな彼女たちの様子をじっと見ていたコンは、少し誇らしげそうな顔をして俺の顔を見上げてくる。どうだ? すごいでしょ、と言わんばかりである。コンの期待に満ちた目に応えるべく俺は、ゆっくりとコンの頭を撫でる。


 「ふふっ。コンちゃん嬉しそうですね。そういえば、ユーゴさんは、これから依頼ですか?」


 「うん。今回は、討伐の依頼を受けるんだ。今から向かうところなんだよ」


 俺の言葉を聞いたリーゼは、少しだけ驚いた顔を見せた後、なにやらかばんの中をごそごそと探し始めた。そして、お目当ての物が見つかったのか、何かを取りだすと俺の方に渡してくる。


 「ユーゴさん。無茶したらダメですよ。危なくなったらすぐに逃げてくださいね。それと、もしもの時は、こちらを上に向かって投げてください。きっとなんとかなるはずですから」


 彼女は、ひと言俺に注意を促すと、渡してきた物についてそう説明したのであった。

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