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小狐さんといく~異世界モフモフ道中  作者: ところてん祐一
第二章:もふもふギルド入会編
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角うさぎとの別れ

 もふもふさんの提案により、俺たちの今後の方針は決まった。俺は、彼に一言お礼を述べた後、リリアさんと一緒にこの部屋を出ていく。


 「ユーゴ君、リリア。ギルドの外まで見送りにいくわ」


 そう言って、イリアさんも一緒に部屋を出てきたのだ。

 ちなみにコンと角うさぎは、もふもふさんの話が終わるや否や二匹して、何故か俺の頭の上に乗ってきたのだ。二匹も乗せれるほどの広さは俺の頭の上にはないのだが、そこは器用に乗っている。俺としては、正直重たいところではあるが、コンはともかく角うさぎとは必然的にこのギルドで別れることになるので、好きなようにさせることにしたのだ。

 そんな俺の頭の中には、とある電気ネズミを乗せた少年の姿が浮かんでくる。


 「今ならあの少年の超人じみた能力のすごさが分かる気がする」


 俺は、思わずそう呟いたのであった。


 「ん?ユーゴさん。なんか言ったすか?」


 俺の呟きが聞こえたのであろうリリアさんが俺に声をかけてくる。俺は、それになんでもないと答え、歩みを進めていく。結局、リリアさんもそれ以上聞いてくることなく、ギルドの出口まで俺たちは辿り着いたのだ。




 「それじゃあお姉ちゃん。私たちは、あちらのハジマリのギルドに戻るっす」


 リリアさんは、イリアさんにそう言ったのだ。イリアさんも彼女の言葉に、また後でね、と返事をしている。

 そんな二人の会話を聞いていた俺は、初めて聞く名前に驚いた。あちらの方のギルドにそんな名前があったとは知らなかったのだ。改めて、考えてみるとギルドの名前以外にもまだまだ知らないことが多い。覚えることはたくさんあるなと、俺はしみじみと思ったのであった。

 俺がそんなふうに考えていると、イリアさんから声をかけられる。


 「ユーゴ君、これから頑張ってね!分からないことは、なんでもリリアが教えてくれるから大丈夫よ」


 「お姉ちゃん。勝手にぶん投げないでほしいっす」


 イリアさんの言葉にやや呆れた様子で、リリアさんは突っ込みを入れていた。

 俺は、そんな彼女を横目にしながら、イリアさんの方へと向きなおして返事をする。


 「ありがとうございます。なんとかがんばってみますね!」


 「応援してるわ。あっ、それと・・・」


 イリアさんは、そう言った後俺の方へと手を伸ばしてくる。俺は何だろうと思っていると、彼女の手は、俺の頭の方へと向かい、そのまま角うさぎを捕まえていた。


 「ぷぅちゃんはこっちよ!」


 角うさぎ、もといぷぅちゃんに彼女は、そう話しかけていた。捕まえられたぷぅちゃんは、俺の方を見ながら悲しそうな目をしている。


 「ぷぅー」


 こころなしか、その声も悲しそうだ。なんというか、見ている俺までなんだか悲しくなってくる。


 「こら、ぷぅちゃん。ユーゴ君を困らしちゃダメよ」


 イリアさんは、ぷぅちゃんの頭を丁寧に撫でながらも優しく語りかけている。おそらく彼女の言葉は理解しているのであろう、声は出さなくなったのだが、やはりその目は悲しそうである。


 「ごめんな。また、会いに来るからな!」


 俺は、ぷぅちゃんに目線を合わせると、そう語りかける。それと同時に、俺の頭から下りたコンは、ぷぅちゃんのもとへと行くと、ぷぅちゃんの頭を何度か舐めている。その様子は、まるでコンが何かを伝えているかのようだ。

 そんなコンの協力もあってか、ぷぅちゃんは少しの間俺の目をじーっと見つめた後、コクンと頷いてからイリアさんの手をすり抜け、彼女の肩へと乗っていったのだ。


 「イリアさん!その子のことよろしくお願いします」


 俺は、そう言うと彼女に向けて頭を下げた。

 彼女は、そんな俺の姿を見て、少しだけ驚いた表情を見せたあと、俺に返事をしたのだ。


 「ええ、任せて!いつでも遊びにきていいからね」


 俺は、彼女の言葉を聞いた後、もう一度頭を下げて、リリアさんと一緒にもふもふギルドを後にしたのであった。



 「ユーゴさん。ギルドに戻ったらさっそく依頼を受けてもらうっすよ」


 ハジマリのギルドへと戻る道すがら、リリアさんは俺にそう声をかけてきたのだ。

 この彼女の感じだともしかして、俺が受ける依頼はもうすでに決まっているのだろうか。そう思った俺は、彼女に聞いてみる。


 「リリアさん。もしかして、もうどの依頼を受けるのか決まってる?」


 「勿論っす。もふもふギルドに向かう前から決めてたっすよ。ちなみに依頼内容は、ギルドに着いてからの秘密っす」


 どうやら、最初から依頼内容は決まっていたようだ。しかし、ギルドに着くまではその内容は教えてくれないようである。どんな依頼かは気になるところではあるが、リリアさんが選んでくれている以上きっと今の俺にとって必要なことなのであろう。コンと共に、まずは依頼を達成できるようにがんばろう。

 そんなことを考えているうちに俺たちは、ハジマリのギルドへと戻ってきたのであった。

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