迷い人
俺たちが白い部屋から出て、まず目にした光景は、街であった。どこか欧風じみていて、少し古い感じのする街並みだ。
俺がキョロキョロと街並みを見ていると、そこを通りかかった人(おそらく現地人であろう)が声をかけてくる。
「おや?あんたもしかして、迷い人かい?」
迷い人?それは一体なんだろうか。そう思った俺は、返事をする。
「その迷い人というのはなんでしょうか?」
その答えを聞いた彼は、一人ああそうかと納得していたあと、俺にその言葉を教えてくれる。
「迷い人っていうのはな、どこか他の世界から来た人のことをいうんだ。ほら、あんたの後ろにある扉から出てきた人は、みんなどこか別の世界から来た人たちなのさ」
そう言って彼が指さす方向を見ると確かに扉があったのだ。こんな扉から出てきた覚えも入った覚えもないが、どこぞの青いロボットの扉と同じような感じになっているのだろう。さらに彼が言うには、この扉はこちらの世界の住人はおろか、ここから出てきた迷い人でさえ、開けることはできず、一方通行となっているようだ。親切にも色々と教えてくれた彼に俺はお礼を言う。
「親切にも色々と教えていただきありがとうございます」
それに対し、彼は笑顔で答える。
「なにいいってことよ。あんた迷い人ならこの先にあるギルドに行ってみな。そこで迷い人用に説明してくれる場所があるからよ。仕事も斡旋してくれるはずだぜ。もしまたなんかわからないことがあったら俺のもとを訪ねてこい。一応この町で案内人をやってるからよ」
「ありがとうございます」
そうして俺は、ジンと名乗った彼と別れたのであった。
俺たちは、ジンに教えられた通りに道を進んでいく。ちなみにコンであるが、この世界に到着してからは俺の頭の上でスヤスヤモードに入っている。全く起きる気配はない。なんとも気まぐれな奴だ。
そうして、頭の上のコンを撫でながら進んでいるとギルドに到着した。見た感じだとファンタジー世界にでてくるような如何にもといった感じで、先ほどからすれ違う冒険者っぽいごつい人たちが出入りしている。ここに迷い人に説明してくれる場所があるらしいのだが、正直入るのが億劫だ。もし、中で冒険者に絡まれるとひとたまりもないだろう。
俺がギルドの前で、二の足を踏んでると頭をペシペシと叩かれる。叩いてるのは、コンだ。あくびをしながらもその小さな手で器用にペシペシ叩いているのだ。その行為は、まさに何こんなところでためらっているんだよ、とでも表しているかのようである。これでは、どちらか主人かわからない。
そんなコンの行動によって、覚悟を決めた俺は、ギルドの中へと入っていったのだった。




