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小狐さんといく~異世界モフモフ道中  作者: ところてん祐一
第一章:ハジマリのまち
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もふもふさんの真意

 「えっ?」


 俺は自分の耳を疑った。先ほどもふもふさんから聞こえてきた言葉の意味がまるで分からない。面接に合格?どういうことなんだろうか。そうして、俺が混乱していると、その姿を見ていたのであろうもふもふさんは、口を開いた。


 「ふむ、突然のことで混乱してしまったかのう。ユーゴくん、すまんのう」


 彼は、少し申し訳なさそうに俺に謝罪した。後から思い起こすと、もふもふさんが、いっかいのかけだしモフリストに謝罪している光景は、ある種すごい光景であったのかもしれない。しかし、絶賛混乱中の俺にとっては、そんなことなど気にする余裕もなく、俺は素直に謝罪を受け取った。


 「ふむ、私が大丈夫じゃ、落ち着いてくれと言っても中々落ち着けないじゃろ?なので、ひとまず君の相棒を見て落ち着いてくれんかのう?」


 「は、はい。わかりました」


 俺は、もふもふさんからの提案に素直に従い、俺の肩まで降りてきていたコンの方を見てみる。コンは、俺の方をじっと見ていた。その顔は、どこか少し心配そうな顔をしている。そのまま俺は、特に何をするでもなく、コンの方をじっと見ていた。すると、だんだんと俺の心と頭が落ち着いてくるのが分かる。

 そうして、俺は少し落ち着きを取り戻すと、改めてコンの顔を見てみる。その顔は、どこか少し呆れた感じだ。そして、コンも俺が少し落ち着きを取り戻したことがわかると、俺の顔をペチペチと叩いてきたのだ。俺は、少しの間それを受け入れると、その後コンを両手で抱え俺の前へと持っていき、思いっきりモフり始めたのだ。




 俺は、少しの間、コンと戯れた後、ハッと目の前にもふもふさんがいたことに気づく。そして俺は、急いでもふもふさんに頭をさげる。


 「もふもふさん、すみません。目の前にいらっしゃったというのに、そのことを忘れてコンと戯れてしまいまして」


 「なに大丈夫じゃよ。改めて君とその狐が仲が良いということを実感できたしのう。それに落ち着きを取り戻してくれたようでなによりじゃ」


 暖かい目で俺たちの方を見ていたもふもふさんは、俺のたどたどしい謝罪に大丈夫だと言ってくれたのだ。

 俺は、正直ホッとしていた。怒っていないみたいで良かったと思うと同時に、とても申し訳なく思う。

 もふもふさんは、コホンと一つ咳をすると、再度口を開いた。


 「さて、落ち着いたところで先ほどの面接試験合格ということじゃが、結論から言うとこれでユーゴくんのモフリストギルドへの入会が正式に許可されたということじゃ」


 もふもふさんは、そこで一度言葉を切ると、俺におめでとうと言葉をかけてきた。


 「ありがとうございます!」


 俺は、彼にお礼を述べる。まだまだ分からない点も多いが、おそらくこれからそのことについて話すのであろうと思った俺は、口を閉じる。

 そして、一拍置いて、もふもふさんは、話し始めた。


 「ユーゴくん。君はギルドでの依頼達成と私からの勧誘で、モフリストギルドへの入会条件を満たしておっての、後は明日ギルドで面接試験を行う予定だったんじゃ。でもな角うさぎの件といい、少し君を試してみたくなってこんなことをしたんじゃ。改めてすまんかったのう」


 そう言って、もふもふさんは、改めて俺に深く頭を下げる。

 そして、俺は大丈夫ですよと、彼に伝えてなんとか頭を上げてもらった。

 もふもふさんは、頭を上げると話を続ける。


 「実は、ここには私の相棒たちの中でも元々凶暴性を持っていた者たちを数匹を連れてきていての、その子達と君たちが対峙した時にどんな反応を見せるのか見ようと思っておったんじゃ。でも、そんなことなどせんでも君たちの間には、会って間もないながらもしっかりと絆があることを確認できたのじゃ。だからこその合格なのじゃ」


 もふもふさんは、そう言った後、ある一つの方向を指し示した。俺は、そちらの方を見てみる。何やら大きな岩が連なっているように見える。もふもふさんによると、あれは岩竜らしくて、岩竜の他にも違う所に数匹隠れているそうだ。


「ええええー!?」


 俺は、衝撃の事実に思わず声をあげて驚いてしまった。正直全く気付かなかったし、他にも隠れているということだが、どこにいるのか全く分からない。姿をちゃんと見ていないので何とも言えないところではあるが、もしあれと対峙することになれば恐怖でどうなったかわからないだろう。おそらくできたとしてもなんとかコンを逃がしてあげることぐらいである。

 俺があまりもの衝撃に言葉を失っていると、もふもふさんが言葉をかけてくる。


 「なに、もしも対峙したとしても傷一つ負わせるつもりはなかったがのう」


 だから大丈夫じゃ、ともふもふさんは少し慌てた様子で、俺にそう言った。さすがに少し怖がらせすぎたのかもしれないと思ったのかも知れない。

 そして、俺は俺で現にそういうことはなかったのだから、もしものことを考えてもしかたがないと頭を切り替えることにしたのであった。

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