エノノノコ草
日に日に投稿時間が遅くなってる気がする。
それではどうぞ
「はい。これで依頼が受理されたっす」
そう言ってリリアさんは、おそらく本に挟んでいたのであろう一枚の紙を渡してくる。俺はその紙を受け取り中を見る。どうやら依頼書のようだ。これによると、エノノコ草を30束程持って帰らないといけないようである。
「ちなみにエノノノコ草はこれっす」
彼女は、そう言ってまた別の本を俺に見せてきた。そこに書かれていた絵を見るとなんだか特徴的な形をしているのが分かる。その先っぽがブラシのような形になっているのだ。しかし、俺はその形にひっかかりを覚えていた。この形、どこかで見たことがあるような気がするのだが、思い出せない。
「何を考えてるか知らないっすけど、説明を続けるっすよ」
リリアさんの言葉で現実に戻ってきた俺は、考えるのは後にしようと思い、一度頭を振って彼女の説明に耳を傾ける。その説明によると、エノノノコ草は、この街を出たすぐのところにある森の中に生えているらしい。街の近くの森なので、比較的安全らしいが、それでも時折凶暴な魔物が出ることもあるらしい。とはいえ、ある程度の冒険者にとっては、さほど脅威ではないらしいのだが。
リリアさんは、そこまで一通り説明すると取ってくるものがあるらしく、そのままどこかへと去って行ってしまった。なので、彼女が戻ってくるまでの間、俺はコンをモフることにしたのだった。コンの頭をなでて、そのまま背中、お腹へと全体に渡ってモフっていく。毛並みを損なわないように慎重に且つだいたんになでていく。コンは、とても気持ちよさそうにしていて、時折身体を動かして、なでてほしいところへともっていく。
そんなふうにコンと戯れていると、リリアさんが何かを持って帰ってくる。
「コンちゃん、気持ちよさそうっすね。それにしてもユーゴさんはやっぱりモフリストとしての才能がありそうっすね」
そう言って俺に言葉をかけてきた。ただ、後半は小さくつぶやいていたので何を言っているのかわからなかった。
そして、彼女は、これどうぞっすと言いながらカゴのようなものとなんだかよくわからない丸い物を差し出してきた。彼女曰く、初心者冒険者採取セットらしい。俺は、それらを受け取って見てみる。カゴはおそらくみたまんまの通りだろうが、この丸いものは何か全く分からない。
首をかしげている俺を見てリリアさんが説明してくれる。
「このカゴは、見たとおりカゴっす。ただ少し特別製で、この見た目の三倍くらいは入るっすけど、入れた分だけの重さはあるっすから注意が必要っす。この丸いのは、一言で言うと魔物よけっすね」
ちなみに採取に必要な道具類一式は、すでにこのカゴの中に入ってるっすと付け加えて、彼女は言う。俺はなるほどと思う。これは、かなり便利そうなシロモノだ。しかし、カゴの重さだけには気をつける必要がありそうだな。
「リリアさんありがとう!それじゃさっそくいってみるよ」
俺は、そう言って彼女にお礼を言った後、ひとしきりを持ってギルドを出ていったのである。
俺は、リリアさんからもらった地図を見ながら、街の外へと向かっていく。出口が近付くにつれ、門のようなものが見えてきた。どうやら、その門で街と外を分けているようであり、そこには門番らしき人が立っていた。街から出ていく分には、特に何もしていないが、入ってくる人にはチェックをしているようだ。
俺は、軽く門番に向けて頭を下げて出ていく。すると門番の男は、俺の方に声をかけてくれる。
「坊主、依頼がんばれよ。暗くなるまでには、戻ってくるんだぜ」
「ありがとう。おっちゃん」
そうして、俺たちは街の外へと出たのである。
これから依頼をこなしていくのかと思うと少しだけ緊張してきた。そんな緊張をほぐすかのようにコンが俺の顔をペロペロとなめる。
「よーし、コン。依頼頑張るか」
そう言って俺は、森の方へと向かっていったのだった。そこに一つの試練が待ち受けていることも知らずに。




