別れ
「警告する、こちらは
亜人・妖魔撲滅団体『龍暗』である。」
…撲滅団体…?なにかおかしい、女にしても、その部下と思わしき兵士達も、明らかに人間ではない…
「我々はそこにいると思われる亜人…いや、妖魔であるヘヴン・デエス=ソルセルリーを狩る必要がある。情報によれば人間…嵐 裕瀬という男がヘヴンと共に行動しているようだな、おとなしくヘヴンを引き渡せ、渡すならば罪を帳消しにしてやろう…話し合うがいい」
……あの様子なら完全に包囲されてるな…逃げるのは不可能か…?
「ヘヴン、ちょっと隠れてろ」
「…わかった、無理はするな」
「わかってるよ」
嵐は何か策があるのだろうか…?何にしても今は任せるしかない…
僕はドアが空いても見えない位置に身を隠し
嵐はドアを開け、女の前へ歩き出す
「止まりなさい」
歩き出すと同時に女は止めた
「…なんだよ」
嵐は女を睨みながら問いかける
「両手を見せながら挙げて、その場で一回転しなさい」
「………」
嵐は言われた通りに動き、相手の安全を証明した
「…よろしい、で、ヘヴンはどこかしら?」
「…居ねぇよ、逃げやがった」
……隠しとおすつもりか…?
「…証拠は?」
「あるわけねぇだろ、馬鹿かてめぇ」
…挑発と嘘の併用か…相手が挑発に乗って冷静な判断を失えば嘘を見抜く事が困難になる…が
「…そう…じゃ」
「がっ…!?…てめぇ…何を…!!」
女は嵐の頭を掴み、地面に叩き伏せ、押さえつける
「ふふ…口の悪い子は嫌いなのよね…」
……助けに行きたいが……ん?紙切れ…が落ちてる
『…逃げろ』
…見捨てろとでも言うのか…しかし…
「…命だけは助けてあげるわ、でも、その後は…知らないわよ」
女がそう言うと嵐を空高く放り投げた
「んな…!?」
嵐は中に舞う…そして…
『黒い何か』が宙に現れ、嵐を吸い込んで消えていった…
「…撤収よ」
女とその部下達は早々に立ち去っていった…
「…ここからは…一人か…生きててくれ…嵐…」
僕はそう呟きながら小屋を離れた