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吉兆花



 この世界のどこかに一輪だけ

 精霊を宿す花がひっそりと生えていると言う。

 その花を見つけて精霊に願いを託せば

 必ずお願いは叶うと言う。

 しかし、その花が咲くのは百年に一度だけ

 次は誰が世界にひとつだけの花を見つける事が出来るのだろうか?

挿絵(By みてみん)



「先輩~!玲音先輩!」

 日向ぼっこがてら学園の校庭を歩いていると、背後から玲音を呼びながら駆け寄ってくる人物がいる。

「ん?悠貴珍しいね学園に居るなんて。島の発掘調査の方はどうしたのさ」

「最近小さな地震が多発していて、安全対策がしっかり整うまで研究室で古文書や、関係資料の解読作業しているんです」

「ふーん。そう。それで何か俺に用?」

「先輩!富士山に登りましょう!富士山」

「何?急に?悠貴。俺こう見えても忙しいんだけど?そんなに簡単に休みなんか取れないから。それに富士山登頂はしたこと有るしさ。今、わざわざ休み潰して行きたいとは思わないんだけど?」

「世界にひとつだけの花探しにいきましょうよ!」

「ん?何それ?」

「最近世界中の古文書読み倒していたら世界のどこかに願いの叶えてくれる花が一輪だけ百年に一度咲くらしいんです。

 古文書から推察するとそれがちょうど今年で一番高い不死の山の山頂に咲くって」

「どんな花なの?」

「さあ?」」

「さぁ?って………。しかも不死の山っで富士山……。安直過ぎ無いの?」

「とりあえずちょっと考古学研究室に来て見てくださいよ!」

 悠貴は玲音の腕をひっぱり校舎へと向かう。

「うーん。さっさと戻んないと廉にさぼって居ると怒られるんだけど~」

「いいから、いいから!もし、見つかれば先輩のタイムマシーンで過去に行ってみたいって夢も叶うかもですよ!」

「うーん………。それ夢じゃないんだけどさぁ……… 」


 考古学研究室


挿絵(By みてみん)

「先輩これこれ。ほら、ここに」

 悠貴は本棚から分厚い古文書をとりだしてあるページを開く。

「ここにって言われても俺、考古学の研究は学生以来してないから。この古文書を簡単に読める訳無いだろ?」

 玲音が時間がないと遠回しに言っていると

「あーいた!こら玲音!また油売って!まだ他に回らないといけない所残っているんだぞ!用事済ませたら直ぐに戻ってこいよ!」

「あぁ廉!俺はちゃんと戻るつもりだったんだけど悠貴が………」

「廉先輩!富士山に登りましょう!」

「えっ?何唐突に?富士山まで行かなくても島の山散々登り捲っているだろ?」

「あー居た居た!廉!これおじさんに渡しておいて……」

 と言葉を遮る様に何時もの男達が次々と現れる。

「ちょうど良かった!千景先輩も富士山登頂しましょう!」

「?!……。悠貴!俺が登山の趣味が有るように見えるか?ほとんど不休で働いている勤労少年に登山とか」

「千景……。勤労青年な?少年と言うのは流石にきつい年だぞ?」

「うんうん。最近病院に隠りぱなしで老けたよな?千景は。富士山登頂する体力無いんじゃない?」と玲音は囁く。

「失敬なパンダ!富士山くらい登頂できるわ!体力無くして医者が勤まるかよ!」

「なら千景先輩も富士山登頂に参加で」と悠貴は嬉しそうに言う。

「えっ?まて。それとこれとは別だろ?しかもなんで富士山?」

「玲音先輩、説明お願いします。」

「なんで俺?悠貴がすれば良いじゃんか?」

「俺1時から教授のお供で外出しなければならないので潤にはちゃんと誘ってありますから。それとその古文書先輩に預けておくんで先輩も解読してみてください。あぁ!時間だ!遅れると怒られるので後はよろしくお願いします」と言い残し悠貴は去って行く。

「…………。なんで俺?」と玲音は残った2人に聞くが2人とも手を上げて「さぁな?」と答える。

 玲音は仕方なく悠貴から聞いた話をそのまま2人に話す。

「胡散臭い!根拠が薄すぎる」と千景はいい放ち、廉は古文書見ながら「玲音お前これ読めるの?」と聞く。

「初めて見る古代文字判る訳無いじゃん。でも悠貴の言ってた様にここに一番高い山、ここは不死、ここの花は何となく判るかな?学生時代に見た古文書に似ているからさ」

「ふーん……。まぁ、まだ取って無い休暇有るし気分転換に久しぶりに富士山に行って見るのも良いかもな。」

「廉がそう言うなら俺も休み取れれば……。でもどんな花なんだよ?」

「さあ?世界で一つだけの花だから見れば分かるんじゃない?それにこの古文書登るまでに解読進めれば………」

「誰が進めるんだよ………。言っておくが俺は無理だからな?休みすら不確定なのに………言っておくからな俺は付いていくだけだからな!」

「ふーん………。千景は願いかなえてもらわなくてもいいんだ………」

「なぜそうなる………」

「取敢えずそれぞれ数ページ手分けして解読してみるか?」と見かねた廉が提案し研究室内のコピー機でコピーを取る。

「………………」



 富士山登山当日宿泊予定のホテルロビーにて


「先輩方登山中は、足元変わった花咲いていないか気を付けて登って行ってください。高い場所や見えにくい場所は潤がドローン飛ばしてくれますから潤に言ってくださいね。あと植物図鑑アプリダウンロードしましたよね?図鑑に載っていない花ですよ」

「図鑑なんか要らないよ生き字引呼んでいるから」と玲音は言う。

「ん?」と一同が顔を見合すとエレベーターでちょうどアレックスが降りてきた。

「ごめん、ごめん待たせたかな?」と楽しそうにやってくる。

「なるほどね。アレックス教授が知らない品種なら可能性が高いという事か」と千景がうなづく。

 こうして6人富士山山頂へと向かう。5合目過ぎたあたりから目を皿のようにして一行は探すがしかし当然簡単に見つかるわけもなく山頂までたどり着く。

 山頂でも散々岩の隙間や石の下まで探すが見つからない。

「俺、あの古文書見ていて完全に解読できたわけではないけど………。日本一高い山ではではなくて世界一高い山なんじゃ………。不死は富士じゃなくてやはり不死身の不死でそれを願う人達が探したってことじゃないかな?」と廉がぽつりと呟く。

「あ~俺も少しそこ気になった~地球で一番高い山で不死は山自体が成長し続けていること・・・・・・。年々高くなっているか?広がっているか………」と玲音も解釈を言う。

「世界一高い山ってエベレスト??」と悠貴が聞く。

「標高だとエベレストだが裾野からの高さだとマウナケア山だ。地球の中心からの高さだとチンボラソ山と言われている。世界一高い活火山は チリとアルゼンチン国境にあるオホス・デル・サラードだな 」

「古代から火山活動やその時代の地形や文明によって左右されるから今の概念から考えて探しても無理なんじゃないの?」

「………………」

 一同黙り込む。

「悠貴この古文書どこから発掘されたものだ?」と千景が聞く。

「さぁ?まだ俺これ全然解読できてないし……。玲音先輩たちが解読進めてくれたらラッキーって………………」


「………………」


「さぁ富士山登頂も楽しんだことだし悠貴おいて俺達は下山して温泉でも入ってうまいものでも食うか?もちろん悠貴のおごりで」と千景は言う。

「そうだな。せっかく有休取ってきたんだ。おいしいものでも食べて帰るか?悠貴のおごりならいくらでも食えそうだ」と廉も賛同する。

「それじゃあ~いくらなんでも悠貴がかわいそうだよ?立て替えておいて給料から天引きするように総務に頼んでおくよ」と玲音が言う。

「悠貴!ごち」と潤も一言。

「えええっ。待ってくださいよ!そんなことしたら俺当分あの島か研究室籠ってなきゃダメじゃないですかぁ~勘弁してくださいよ~」

「ユウ!マコトにちゃんと確かめておけばよかったのにね~。でも僕は色々な日本の高山植物見れてラッキーだったけどねえ~。レオン!また誘ってね」とアレックスだけ大満足で下山して行った。


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