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(4)回想_3
そうして、迎えた初夜。
吐きそうになるほど鼓動が早い。
『やって見せるっ、やって見せるわ・・・・・・・・・』
ギュッと胸に手を押し当て、己に言い聞かせる。
”稀代の美姫”として多くの男に求愛をされた姫。
己の魅力を使えば、カレ1人くらいきっと、掴めるはず。
『恥ずかしがっている場合じゃない。
お姉様が言っていたわ。身を捩って、角度をつけて・・・・・・・・・』
何度も何度もイメージトレーニングをして、羞恥心を押さえ込んでいると
カレが入ってきた。
でも、カレの反応に戸惑う。
にこやかに入ってきたはずなのに、姫の姿を見た瞬間、一瞬で無表情になった。
ビクリッと怯え、戸惑う。
そこからは本当に恐怖しかなかった。
押さえつけられ、腕に付いた青痣が、
身が裂かれるような痛みが、
絶叫して、枯れた喉が、己の愚かさを嗤う。
”お前にただ一つになる価値などない”
痛みで朦朧とする中、侍医を呼べ、と命じただけで
こちらに振り返りもせず、出て行くカレの背を見て、意識を手放した。




