He resigned

「もう少し考えてみてもいいんじゃないの？」

　「いや、もう決めましたから。」

　「そもそも何で？理由は？」

　「1つじゃないです。下の奴らは問題ばかりだし、環境だって最悪、相談したくても同僚だっていないじゃないですか。」

　「そうだね。確かに大変な持ち場ではあるよね。」

　「なのに何か問題が起これば最終的に糾弾されるのは自分なんですからもう限界です。」

　「でも前にやりがいあるって言ってたじゃない。」

　「その時はそう思いましたよ。でもね、あいつらは少し良くなったと思ったらすぐに元に戻る。

進歩が全くないんですよ。」

　「でもあいつらにだって見どころはあるわけでしょ？」

　「一人一人と膝を突き合わせて話せば確かに見どころのあるやつはいると思います。だけど一人一人にかまっている余裕も時間もないです。」

　「厳しいところだね。一人一人だと見どころのある奴、いい奴はいるけど集団で見ると全く進歩がない。」

　「いつもは自分なんていないように振る舞われて、何か突発的事態が起きると自分のせいにされるんですもん。たまったもんじゃないですよ。」

　「でもまあそういう立場だからね。どうしようもないよ。」

　「だからもうやめさせていただくんです。」

　「やめてどうするの？」

　「さあ、今は何も考えずにゆっくりしたいです。」

　「わかった。考えを変えるつもりはないんだね？」

　「ええ。」

・・・・・・そしてこの世から神様はいなくなった。