9話
「おはよー。」
声をかけるとレイナは寝ぼけ眼をこすりながらも目を覚ます。
「これ、朝ごはんね、一杯あるしレイナが獲ったものだから、遠慮なく食べてねー。」
「うん、ハム・・・・・・あ、美味しい。」
暫く食べていると、頭の中身も醒めてきたようで、食べているものが視界に入ったようだ。
けど、何かわからないようで?マークが浮き出るような表情をしている。
「えーっと何これ?」
肉っぽいけど、肉ともいえず、けど植物ではないんだねー。
それは何かと尋ねられたら・・・・・・。
”光輝"
昨日から残していた火とは別に光源をつくると、少し奥にスライムの死体がようやく目に入る。
暗視はすでに効果時間は過ぎている。
実際、スライムの死体って言われてもわかりにくいんだけどねー。
ただ、まぁ一つ言える事は、ちとグロい。
食べ物には思えないほどに・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・いやー!!!」
レイナの絶叫が響き渡った朝でしたー。
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暫くは静か世界が続く。
まー、仕方ないかなー。
ちょっと、荒療治が過ぎたかもしれないしね。
けど、まぁ、虫よりましだとおもうんだけど、美味しいって言ってたしね。
「ところで、・・・・・・さぁ。」
流石に沈黙に耐えられなかったのか、レイナが話しかけてくる。
「・・・・・・魔術って、どうやって使うの?」
・・・・・・・・・・・・内心叫んだよ。
『ようやくかよ!!』って。
ステータス確認したとき! ランタンを破壊したとき!! 暗視を使ったとき!!!
それぞれ、いいタイミングがあったはずなのに、ある意味すげーよ。
「レイナは火の魔法が無難かな。
何となく、頭の中で手の先に火が出るイメージをしてみてー。」
「イメージしたけど、でないわよ。」
それで出たら、火が垂れ流しになるからねー。
「それじゃ、その状態で、ライターを着火したイメージしてみてー。」
レイナの手の先から、ライターで出したような火が灯る。
「あ、出来た!
結構簡単なのね・・・・・・って、あっつ!!」
そら、普通の火だから暫く近くでつけてたらあついやね。
「まぁそんな感じで、後は自分次第だねー。
あ、けど、破壊も持っているから火球もできるかも。」
実際、火だけだと火球なんて放てないとされているんだよね。
「へー、あ、出来たっぽい」
・・・・・・・・・・・・やば!
「はやく、それから手を離して!
危ない、この場で爆発する!!」
「え、あ、はい!」
腰の入ってない投球ならぬ、投火球が飛ぶがやはり飛距離が危険だ。
近すぎる。
「乱転移」
火球は虚空に消え去り、少し上からくぐもった爆音が聞こえる。
誰もいない廃坑でよかったよ。
・・・・・・後は、通路が無事なことを祈ろう。
「あ、ごめん、ありがとう」
「いえ、こういったフォローをするのも仕事のうちなんよ。
流石に焦ったけどねー。」
ここまで、迂闊なのは久々にみたしね。
もっと、自主練しててほしいもんだ。
「そういえば、あんたは何が使えるの?
ってか、ステータス教えてよ、他人のステータスって見れるの??」
確かに、疑問だよねー。
けど、これはね、本当に残念なんだけどね。
「・・・・・・自分のステータスが見れるのは、転生、転移、憑依を行った異世界人だけだよ。
自分のステータスなんて、知っているこの世界の人間なんていないから。
けどまぁ、何となく親のやっていることを真似て覚えていくのが大体だねー。
ただ、魔術に関しては一ヶ月も訓練して芽が出なければ、その系統の魔術の才能はないとされるんよ。
僕は、基本補助系の魔術しかつかえないから、そのつもりでいてね。」
「あ、そうなんだ。
何かごめんね。」
最初の少しの沈黙が気まずかったようだね。
それとも、苛立ちを察したのかもしれないけど、・・・・・・そこまで機微ないやね。
「それより、ステータスは何か変化あった?
色々知識詰め込んで、戦闘もしたし、魔術も使ったから何か変化あるんじゃない?」
レイナは改めてステータスを確認すると、少し驚いたようで。
「レベルが上がって・・・・・・って、あれ? 最初レベルってあったかしら?
ステータスも上がってる!」
「へー、スキルは?」
「えっと、火球が何か登録されているくらい。」
っち、使えねぇ。
けど、レベルタイプか、ならまだ期待できるかもしれないねー。
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うーん、ステータス流石に教えないよな。
教えてきたら、減点だけど、ちょっと知りたいかな。
魔術については、プラマイゼロにサービスしておくか。
街中でいきなりぶっ放さないだけマシだろう。
スライムって、何ででっかくなると核も大きくなるといわれてるんだろう??