8話
脳内にアラームが鳴る!
『危険哨戒』の魔法のおかげなんだけど、目覚ましにこれは簡便やわー。
薄目を開けて、レイナをみるけど、見事なまでに船を漕いでいる。
鼻ちょうちんが出来ていたら拍手するところなんだけど、流石にそんなのは見れないかー。
「レイナ、敵だよー。
起きないと、死ぬよー。」
「ん、うーん?」
「はいはい、起きる起きる。
危険が危ないからねー。」
寝ぼけているようなので、軽くはたいて起こす。
今回の敵は、そういった物音を感じてもあまり反応しないから心配しなくていいのが楽だよ。
「なに~?」
「うん、スライムってやつだね。」
「えっ?」
スライムだね、単細胞粘液生物のでっかいやつ。
某ゲームとちがって、目も口ないからね。
そんかし、魔法でも物理でも倒せる、核が弱点だけど、巨大化しているのは周囲の粘液質のところだけでなかなか狙えないんだよね。
切り刻めば関係ないけどー。
「えっと、キモイ夢・・・・・・じゃないわよね。」
スライムが結構近づいてきてて、粘液のところに気泡見たいのいっぱい作ってぶつぶつになってて、レイナの言う通り、かなりキモイ状態になっている。
これは、食胞って組織をを作り出してて、その中に消化酵素を流し込んで溶かして同化する食事方法を取るんだけど、それを利用して中の消化酵素液をぶちまけて攻撃してくる。
けどまぁ、人が早々死ぬほどじゃないんだよねー。
それでも消化液にまみれるのは嫌だし、先手を打とう。
焚き火の火はまだ消えておらず、まだ火のついている木をスライムに投げつける。
粘液状のため直ぐに火は消えるが、危険と判ったのかこちらに近づくのをやめる。
「スライムって、キモイわね。
涙滴型じゃないスライムって何考えてるの?」
まだ寝ぼけ気味で、しかしながらしっかり包丁を抜きスライムを斬る。
本当なら、ああいうのには鈍器の方がらくなんだけどー、刃物でも十分通じるからね。
第一、適当に三割くらいの体積を破壊、分離できたら倒せるし、プラナリアみたいのもいるけど、今回のは普通のタイプだからねー。
あっさり倒せたようだよ。
ずいぶんと切り刻んでいるようだよー。
「そんじゃ、寝るわ・・・・・・。」
「あーっ まぁいいか。
話は明日かなー。
まだ見張り交代の時間じゃないんだけどー。」
今度は毛布をかぶってぐっすり寝てしまっている。
仕方ないので、スライムを幾つかに切って焼いている。
粘液状とはいっても、単純に水分が多いだけでたんぱく質には変わりないから十分焼けば食べられるしねー。
中にはいろんな毒をもつやつもいて、そういうの食べたらいちころだけど、それは見た目で識別できるから、こいつ等は結構楽なんだ。
天日で干したほうのが味は良くなるけど、焼くだけでも結構乙な味なんだよね。
ただ、これをレイナが食べられるかどうかは、ちょっと微妙かな。
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見張り失敗っと、見越して『危険哨戒』しておいてよかったな。
しかし、スライムが出るようになっていたか。
蝙蝠や虫が住み着き、それらを餌にするためスライムが住み着き、モンスター達がスライムが育つまで食料が増えた穴に住み着くんだよな。
これは、報告しておいたほうがいいかもしれないな。
しかし、戦闘に関しては問題なかったな。
刃渡りが短剣よりも短い包丁だったのが心配だったけど、武神の加護があるせいか迷い無く効率的に切り刻んでいたようだし。
けど、やっぱり向いてないかなこっちは。
それなら、保存食が切れた辺りで引き上げるかなぁ。
アメーバの食事方法を態々調べてみてた。
酸で構成されてたらおかしいしね。
そういえば、某目口のあるスライムって口の中どうなっているんだろう??