6話
廃坑にはいれば、当然暗くなる。
ヒカリゴケ? そんな不思議なコケが人造物にあるわけないからねー。
当然、ランタンに火を灯すことになるんだけど。
「ねぇ。」
「はい、なんでしょー?」
「ランタンってどうやって火をつけるの?
スイッチらしきものも何もないんだけど。
これ、説明書もないし・・・・・・。」
そりゃ説明書なんてあるわけないし、灯し方なんて事前に確認しておかないとね。
後は、たしか燃料もなかったよね、ランタンだけで明かりがつけれたら、すごいよねー。
「トライ&エラーでがんばってみてね。
そのうち判るよ。」
当然、つかえないことが判るというだけの話。
後は、いきなり洞窟のような空間で火を使うのも考え物だよねー。
酸欠は言うに及ばず、爆発や、ここにモンスターでもいれば良い目印だよ。
ってことを考えていると。
ボン!!!
何故か爆発音が聞こえてくる。
「えっ・・・・・・不良品掴まされた!!」
「いえ、ありえないから。
冒険者ギルド内で用意されたものでしょ、それなら不良品でも爆発はありえないから。」
「それじゃなによ、これ!」
ランタンは木っ端微塵になっている。
火種もない、油もない、なのに爆発っていう事自体がまずおかしい。
「多分、魔術が発動したんだと思うんよ。
元々火の属性あったからねー。
ついでに、おそらく破壊や粉砕も一緒に発動したんじゃないかな。」
「はぁ、何、私ランタンに満足に火もつけられないの。
落ち込むわ。」
「あれじゃ、誰でも火はつけられないよー。
火種がない、油がない、ランプの調整方法も知らないじゃ意味無いしね。」
驚いたように目が開かれ、こちらに顔を向けられる。
そして、徐々に感情の色が現れてくるので、気勢を削ぐ為に今度は質問を投げかける。
「ちなみに三日間の講習では話出なかった?」
そう聞くと、何かを掴もうとして空振ったあと、頭をかかえて座り込む。
「そんなの、覚えてられるわけないじゃない。
ランタンが必要ってだけ覚えていたんだから・・・・・・。」
中々覚えるのは大変な人はいるからね。
けど、それって嗜好と姿勢の結果じゃないのかなー。
面倒毎は避けたいけど、必要な事は教えて欲しいって感じの気がするよ。
中には、火の付け方を教えてもらって、練習もしているのに、ランタンを忘れたって人もいたって話しだし。
「しょうがないから、魔術使うね。
『暗視』・・・・・・これで、暗くても普通に見えるよー。」
『暗視』は、原理的には現代の暗視スコープと同じで、光量を増幅しているだけで、当然同じように大光量に弱い。
最近のは安全装置もついてるそうだけど、魔術はそうそう便利に作り変えるのは難しー。
凄くむずかしーよ。
「こんな便利な魔法があるなら使ってよ!」
「魔法じゃなくて、魔術ねー。
あくまでサポートなんで、手助けは必要最低限しかしないから。」
「なによ、ケチね!!」
レイナはプリプリと怒りながら廃坑の奥に進んでいく。
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ランタンの用意はあれど、準備はなしと。
生死の関わる情報なのに、聞いてないし復習もしていない。
更に、何も聞かずに火を使おうとする。
魔術についても何も練習なし。
魔術をつかえた事に対してのリアクションもなし。
反復練習をしようという姿勢もないね。
味方になる人間に対して不満をぶつけると・・・・・・。
点数だけでいうなら、マイナス10点の状態だけど、内容が凄いね。
さてと、これから一週間なんだけど、耐えれるかねー?
ランタンはハリケーンランタンと呼ばれる類のものです。
昔は家にあったのですが、引越しなどの影響か、いつの間にか無くなっていました。