表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大体二人前  作者: せいじゅうろう
最初の一ヶ月
5/62

5話

特に問題もなにもなく廃坑へと到着する。


元々ここらへんは鉱山が多く、廃坑も多々存在する。


鉱山などがあると、河川の汚染がひどかったりするけど、こちらの世界は魔術があるおかげで処理はそこそこされている。


採掘をするのに、全世界的に魔術師を入れるのは義務になっており、それらを無視すれば当然ながら罰が与えられる。

採掘の監督が一作業員になるだけというパターンも少なくないよー。


「ここが、廃坑?

 案外近いのね。」


町をでて、30分程度で到着する距離にある。


「ええ、出ないといろいろ困りますからね。」


「ところでさ、なんであんたはそんなに軽装なの?」


実際、ローブにワンド、リュックでそのリュックの中も大してものはいれてない。


「ああ、魔術師なんでこんなもんですよ。

 それに、基本サポートですからね。」


「ああ、そう……。

それと、何か急に丁寧な話し方になって気持ちわるいんだけど・・・・・・。」


「失礼だなー。

 職務についたら、当たり前のことなのに。

 そんならこれからは、普通にはなさせてもらうんで、よろしくー。」


「うん、それのが落ち着く。」



色々と釈然としていないようみたいだけど、そのまま疑問はおさめてもらわないと進まないし。

他に聞かれても面倒だしねー。

それに、これからのことは事前の情報より実体験がものをいうのだから、些末な他人事より自分のこれからのが大事だよー。

すげー、大事だよー!


そして、廃坑にの入り口にさしかかる。


「えっ、きゃ、むぐむぐ」

「ちょっと叫ばないでなー。」


叫びそうになってたので、口をおさえる。

まあ、叫びそうになったんも仕方ないかな?

廃坑の奥の方からふたつに光が見えるし。

その高さは子供の人間くらいかなー。


モンスター、魔獣、魔物とか座学で聞いたせいで、襲われるとか思ってしまったんかね。


けど、こんなところにモンスターがいたら、速攻討伐されてないとおかしい話。


そんなことを考えてると、予想していた人物が明るい場所に出てくる。


子供くらいの大きさで、片手にはツルハシ、すこし煤けた感じのする衣服、そして犬の頭と尻尾と毛皮をもつコボルトという種族だ。


「はなしなさい、あれは敵よね、倒すわ!」


「え、あっしでやんすか?」


「いや、落ち着いて、彼は敵ではないですよ。

 ちゃんと市民証を首からかけてますからねー。」


この世界には、当然ながら人族以外の種族も存在する。

そして、モンスターとも魔物とも言い切れない種族がいくつか存在する。

また、種族としては敵対的でも、個人においてはそれが当てはまらない者もいる。


そういった存在のために、市民証というものを個人に持たせている。


もちろん、そういった証は並大抵の努力では取得できない。

ゆえに、彼らは下手な人族よりも尊敬されることもある。

当然ながら、他種族を認めない輩もいるわけだが、そこら辺は割愛。


「ども、おひさーボルト君。」


「その格好に、匂いはソータさんでやんすね。

 どうも、まいどよろしゅう。」


コボルトのボルト君は、ツルハシを脇において挨拶するけど、犬系だけあって姿形よりも匂いのが印象にのこってるんやねー。

確かに、人族に普通にコボルトを見分けるのが難しいように、コボルトも人族を見分けるのが難しいんかね。


「相変わらず廃坑を見回っているん?

 コボルトといえば廃坑というくらいだし、落ち着くんだろうけどもうちょっと色々やったら?」


「いえいえ、あっしはあっしのできる範囲のことをやることで満足なんで。

 そちらは例の転移者でやんしょか?

 そうすると、なるほど・・・・・・ほなお近づきのしるしに一ついかがでやんすか?」


ボルト君は懐から石のようなものを取り出す。

コボルトの伝承では、銀を偽の銀にすりかえる悪戯妖精として知られている。


しかし、手に持っているのはただの石っぽいね。

第一、鑑定なんてそれ専門の職業でないと、いやその職業でもなかなかわからんよね。


武器の目利きができても、宝石の目利きができるわけじゃないしねー。

鑑定なんてスキルがあればなぁ・・・・・・。


「えっと、何これ?

 私はどうすればいいわけ??」


泥炭ピートっす。

 この廃坑でよくとれるっすよ。」


燃料でいうなら最低ランクのものだったりする。

しかし、他にお酒の香り付けなどにつかうなど、燃料以外の使い道も調べてわかってはいる。


けどまあ、そこまで生活に困ってないしねー。

下手に博打うつのも危険だし、機会見てだれかにやらせようとかね。


「いらないわよ。

 それより、はやく廃坑での訓練とやらを終わらせましょう。」


---

「はい、減点2だね。」


パソコンに向かってレイナの評価を打ち込んでいく。


今回の仕事はフォローと採点、それによる再訓練の検討というのが課題だ。

何も問題なければ、色々と便利なグッズを渡そうかと考えていたのだけど、それも大分後になりそうだ。


減点の理由は以下の通り。

・初対面で敵対行動

・情報を得られる相手をスルー


最初がこれでは先が思いやられるねぇ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ